レトロデザインのフルサイズ決定版
いまNikonのカメラの中で、私が最も興味をひかれるのが「Z f」である。レトロなデザインとインターフェイスを採用していながら、「Z6 II」をベースにハイエンドの「Z9」の機能も搭載されている。撮影時はシャッターダイヤルを回してもいいし、前後にあるダイヤルでシャッター速度と絞りを変更することもできる。オールドニッコールの使用を前提にMF時にも被写体検出機能が使える。フォーカスポイントが、例えば瞳に自動移動するので、そこをすかさず拡大してピントを合わせられるのだ。ダイヤルは真鍮製で、前カバーとトップカバーはマグネシウム合金製である。カラーはブラックのみ。シャッターボタンにネジが切ってあるがケーブルレリーズは使えない。さらにアクセサリーターミナルが省かれてコントローラーが接続できないという謎の仕様になっている。まあ、スマホアプリをBluetoothで接続すればリモコンでシャッターは切れるのだが面倒である。ケーブルレリーズ対応にするとかなりのコストアップにつながるため採用が断念されたという。
まあ、それは些細なことなので気にせず、マウントアダプターでAI NIKKOR以降の約360種類のFマウントレンズが使えるメリットが大きい。またモーター内蔵レンズなら、AE/AF撮影にも対応する。フルサイズなので焦点距離も変わらない。超広角系レンズなら、絞り込めばパンフォーカスになるのでMFでもバンバン撮れる。何よりも一眼レフカメラらしいデザインと質感が最近のミラーレスでは起こらない所有欲を掻き立て、満足感も得られる。さらに2024年1月15日までZ f プレミアム エクステリア 張替キャンペーンが行われており、5色のカラーから自分だけの1台に仕上げられる。これはかなり魅力的なフルサイズミラーレスだ。
写真・文/ゴン川野