プロとライトの2モデル展開
日本におけるID.4はまず、導入記念車的なローンチエディションから発売されたが、現在は上級のプロとライトの2モデル展開となる。両車の違いは少なくなく、プロの場合、最高出力204ps、31.6kg-m。バッテリー総電力量77kWh、いち充電走行可能距離618km(WLTCモード)。ライトは最高出力170ps、31.6kg-m。バッテリー総電力量52kWh、いち充電走行可能距離435km(WLTCモード)となる。モーターの最大トルクは同一だ(装備類の違いは後述)。
タイヤサイズも異なり、プロは下半身を引き締める前235/50R20、後255/45R20。ライトは前後ともに235/60R18サイズとなる。なお、価格はプロが648.8万円。ライトが514.2万円。価格差は134.6万円に達するものの、日本におけるざっくりとした販売比率はプロ8:ライト2だという。
今、電気自動車の購入予備軍が気になるいち充電走行可能距離だが、実際には公表されているWLTCモードより少ないのが当たり前である。が、プロのエアコンなどを使った実質走行可能距離は500km程度とみていい。ただし、具体的にはバッテリーを0%まで使い切ることはあり得ない。実例として、東京~仙台を走ると、走行距離は約380km。電費6.1km/kWhで、バッテリー20%残で到着できる。実質、400kmが無充電で安心して走れる航続距離ということだ(10%残として)。言い換えれば、片道200km程度のドライブ先なら、無充電での往復もできないことはないということだ(走行状況、気温などによる)。
フロントにエンジンを積まない電気自動車はパッケージング面でも有利だ。身長172cmの筆者のドライビングポジション基準でその背後の後席に着座すれば、ガラスルーフ付きのプロで頭上に120mm、膝周りに230mm(日産アリアは同120mm、300mm)の空間があり、フォルクスワーゲンのエンジン車と違い、フロアがフルフラットなため、後席の居心地は温度調整可能な後席エアコン吹き出し口もあって、すこぶる快適である。
後席使用時543L、後席可倒時1575Lの容量(ゴルフ7ヴァリアントは同605L、1620L/VDA)を持つラゲッジルームも十分なスペースがある。実測で開口部地上高750mm。奥行935mm(後席格納時のフロア長は1550mm)、幅995~1260mm、最低天井高590mm。床下には高さ120mmの隠しスペースも存在する。