【ヒット商品開発秘話】Webアニメ総再生回数2200万回、累計出荷数57万個を突破したタカラトミー「トミカヒーローズ ジョブレイバー 特装合体ロボ」玩具シリーズ
2023.10.23車を「着る」から確立した変形プロセス
ジョブロイドとアーマートミカの合体後、いったん車体が前後に分離してジョブロイドに変形するが、変形プロセスは玩具で実現可能なものを確立した上でアニメに落とし込んでいる。
高城氏によれば、当初はジョブロイドが車を着ることを考えていた。次のように振り返る。
「変形ロボットはこれまでにもいろいろ登場していますが、今までのものとは違う見え方ができないかと考えたときにまず思いついたのが、車を着ることでした。車を服のように上半身、下半身に記させて合体する、というイメージです」
実現の可能性を探る中で、車のどのあたりが手や足、頭になるかを考えたが、車体を分離しないと人型ロボットに変形できないという結論に至る。このような理由から、現在のような変形プロセスが確立された。変形手順1:ジョブロイドの足を前に出す
変形手順2:ジョブロイドの頭をたたむ
変形手順3:腕を上げて逆さまにする
変形手順4:アーマートミカの下にジョブロイドを差し込む。差し込んだら前方に少しスライドさせる
変形手順5:アーマートミカの前方とジョブロイドの頭に指を添えて持つ
変形手順6:アーマートミカの前方を指で押し込む。すると、アーマートミカの後ろ半分が分離すると同時にフロントドアが開き、フロントガラスのあたりからジョブロイドの頭が飛び出る
変形手順7:分離したアーマートミカ後部を2つに分け、足を引き出してからジョブロイドの腕に「カチッ」と音がするまで差し込む
変形手順8:手順7を繰り返しジョブレイバーの両足をつくる
変形手順9:武器を持たせれば完成
実車のイメージを崩さすジョブレイバーのシルエットを追求
アーマートミカは実車のため、ジョブレイバーに変形するとはいっても過度なデフォルメはできなかった。デフォルメすると実車のイメージが変わり、子どもが知っているものではなくなるからだ。実車のイメージやサイズ感を変えることなくジョブレイバーのシルエットがバランス良くなるものに仕上げないとならなかった。
とりわけ頭を悩ませたのが、アニメ第3話と第7話に登場したHonda VFR白バイ/同黒バイと、第5話に登場した川崎重工BK117 D-3消防ヘリ/同ドクターヘリだった。バイクとヘリコプターは自動車に比べ細身。どちらも開発では、一度設計し試作をつくったものの、思ったようなシルエットにならなかったり合体・変形させづらく遊びにくかったりしたことから、設計を一からやり直したほどだった。
トミカ ジョブレイバー JB06 ポリスブレイバー Honda VFR 白バイ
特にヘリコプターは尾翼が薄いことから、消防ヘリがファイヤブレイバーに変形したりドクターヘリがメディブレイバーに変形したりしたときのシルエットは尾翼の生かし方がカギを握った。
「ヘリコプターの尾翼は細い上に厚みがないので、どう分割するかが悩みどころでした。最終的には、細い点を生かしてスリムなシルエットにし他のジョブレイバーと差別化を図ることにしました」
このように振り返る高城氏。分割された尾翼は両脚となり、細い脚によって他のジョブレイバーにはない独特なシルエットになった。
トミカ ジョブレイバー JB04 ファイヤブレイバー 川崎重工 BK117 D-3消防ヘリ
トミカ ジョブレイバー JB05 メディブレイバー 川崎重工 BK117 D-3 ドクターヘリ
アニメ第5話に登場する、川崎重工BK117 D-3 消防ヘリが変形したファイヤブレイバーと同ドクターヘリが変形したメディブレイバー