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急成長を遂げるBYDと高収益体質のテスラ、2大電気自動車メーカーの根本的な違いとは?

2023.10.15

4か月ほどで6回の値下げ?

しかし、テスラにも焦りが見えてきました。

下のグラフはテスラの営業利益率の推移です。驚くべきことに、年度ではなく四半期ごとのものです。わずか1年ほどで営業利益率は17.2%から9.6%まで下がっているのです。

テスラの営業利益率推移

※TESLA:2023 Q2 Tesla Quarterly Update

当然、原材料高やエネルギー高の影響を少なからず受けているでしょう。しかし、要因として大きいのは販売価格の引き下げです。

テスラは2023年4月18日にモデルYとモデルSの値下げを発表しました。なんと、この値下げは2023年に入って6度目。1度で3,000ドル(45万円)程度引き下げました。

値下げを行っているのはアメリカだけではありません。ヨーロッパ、中国、日本でも大幅な価格の引き下げを行っています。

また、上で紹介したモデル表を見ると分かる通り、トラックのTesla Semiや近未来的な新型車Cybertruckなどの新型車の開発、市場投入準備を進めています。ラインナップを拡大してシェアを獲得しようとする姿が浮かびます。

こうした要素がテスラの利益を圧迫しているのです。

パーフェクトな自動車にこだわらないBYD

電気自動車業界の黒船とも言える存在がBYDです。

この会社はもともとバッテリーメーカーとして創業しており、現在も車載用の全個体電池の開発を行っています。

電気自動車の普及のポイントの一つが、エネルギー密度の向上です。

BYDは2021年にLFPバッテリーのみを使った低価格の電気自動車を販売すると発表しました。

LFPはエネルギー密度が少ないという最大の弱点があります。しかし、長寿命でコストパフォーマンスに優れているという長所もあります。

エネルギー密度が低いため、多くの国内自動車メーカーはLFPの搭載には後ろ向きでした。しかし、BYDは電池セルの搭載効率を高めることにより、エネルギー密度の向上を図りました。搭載方法を工夫することにより、弱点を克服したのです。

こうして、BYDはコンパクトEVを当時166万円という超低価格で販売することができました。

シェアの拡大という大命題のもとで、技術力と知恵、工夫を総動員して戦略に合致した安価な自動車を作り出す。これがBYDの強さの秘訣です。

日本は電池のエネルギー密度の分野では、世界をリードしています。しかし、長距離移動に耐えられるという機能にこだわりすぎたあまり、電気自動車の販売台数で遅れをとっているように見えます。

BYDは、街乗り用として電気自動車、遠出用にはPHV(プラグインハイブリッド車)を販売するというように、用途に合わせてモデルを切り分けています。

完璧な製品を送り出そうとする日本の自動車メーカーと、目的に合わせて手法を変化させるBYD。地殻変動が起こる自動車業界で、その違いが浮き彫りになってきました。

取材・文/不破聡

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