乾杯にふさわしいビールに仕上げるためのこだわり
今回、3社で進めることとなったクラフトビールの開発。開発時の苦労について栗栖さんは次のように振り返る。
「どのようなことを決めてプロジェクトを始めるべきかも分からない状態でした。一緒にお仕事をする方は、プロの方ばかりなので、そうした方とどういった言葉を使って会話をすべきかも、難しく感じましたね」(栗栖さん)。
特に頭を悩ませたのは、象印として作りたいクラフトビールのコンセプトの筋を通すことだったと栗栖さんは続ける。
「今回、開発には専門性を持つ方々に関わっていただきました。みなさんが素敵な提案をしてくださいましたが、私たちが作りたいのは、あくまで象印食堂での乾杯シーンに合わせることをコンセプトとしたビール。みなさんからの意見や想いを伺いながら、全体の認識を合わせていく部分は難しかったですね。『素晴らしい提案ですが、ここがこう違うんです』と、意思疎通を図る必要がありました。クラフトビール初心者である私たちがプロの方たちに意見をしていくのは心苦しく、緊張する日々でしたね」(栗栖さん)。
ビール開発の初心者ながらも、プロたちと連携していくために意識したこと
象印に入社して「まさかビールの商品開発に携わることになるとは」と語る栗栖さん。今回の開発時に心掛けていたことは「対話」だという。
「それぞれのプロの方と対話をし、考え方をしっかり理解することを重視していました。専門性を活かしていただきながらも、すべての判断は『象印食堂でお客様が乾杯するシーン』に合っているかを基準にしたんです。お客様に関わる象印社員の方や食堂の店員さんともお話をして、自身のイメージの解像度を上げながら開発に携わりました」(栗栖さん)。
さらに、開発にあたってクラフトビールに関する知識も自ら積極的にインプットしていったという。
「クラフトビールにまつわる専門用語を学んだり、専門店で試飲や店員さんの解説を受けたりもしました。今回の開発を通して、クラフトビールの世界に興味を持てたんです。たくさんの原料やさまざまな国のスタイルがあり、その先にそれぞれの国の食文化が広がっていて、クラフトビールの奥深さを感じましたね。勉強をしながら自分自身がハマってしまいました(笑)」(栗栖さん)。