DIME MAGAZINE
福島原発からの処理水放出で反発を強める中国だが、中国国内で実際に見た日本企業への影響を解説する。
処理水の問題とは？
2023年8月24日に福島第一原発から処理水が海洋放出された。
2011年3月11日に東日本大震災による原発事故が起きたときに、原子炉を冷やすために海水が使われ、その使った水、破損した建屋に入った水等は放射性物質を含み、汚染水として敷地内に保管されてこととなった。その後、その汚染水は、浄化設備でトリチウム以外の放射性物質を安全基準値まで浄化処理された。トリチウムは「水の分子」となっているためそれ以上分解できない。トリチウム自体は、宇宙から地球に降り注ぐ宇宙線により、川や海、水道水に広く常に存在しており、処理水を海水とさらに混ぜて希釈して放出し、トリチウムの濃度は発電所から2～3km離れたところでは周辺の海水のトリチウム濃度と同じになるように放出されている。濃度の基準はIAEA(国際原子力機関)、WHO（世界保健機構）などの国際的な安全基準を満たしている。
日本以外でも、世界の原子力発電所では安全基準をもとに放出されている。
この処理水放出が行われるとともに、中国国内で反発が起き、さらに日本産水産品を全面禁輸とする措置が取られた。福島原発の処理水放出は約30年かけて行われる予定であり、科学的根拠なくこのままずっと禁輸が行われるのか分からないが、実際に影響が出始めており、8月の中国が日本から輸入した魚類などの水産物は前年同月比67.6％減、化粧品は不買運動で22％減となっている。
中国国内でも処理水の問題を契機に、「日本人学校に卵が投げられる。」「日本人が宅配員に味噌汁をかけられる。」「日本人が髪の毛を引っ張られる。」など、起きている。命にかかわるような事件は起きていないが、大使館から大声で日本語を話さないようになど注意を呼びかけられている。
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