2. 病気を理由とする降格処分に対する反論のポイント
病気を理由として不本意に降格させられた労働者としては、降格処分の無効主張を検討しましょう。
降格処分の無効主張に当たっては、会社の主張に応じて適切に反論することが大切です。以下の要領に従い、どのような反論が有効であるかを検討しましょう。
(1)労働契約に降格処分が定められている場合
降格処分の要件に該当しているかどうかを確認し、該当していない場合はその旨を反論しましょう。
一見して要件に該当している場合でも、人事権の濫用を理由に降格処分の無効を主張する余地があります。
(2)労働契約には降格処分の定めがないが、就業規則に定められている場合
就業規則における降格処分の定めが、いつ設けられたのかを確認しましょう。
入社した時点ですでに降格処分の定めがあった場合は、①の場合と同じ要領で反論を検討しましょう。
入社後に降格処分の定めが追加された場合は、就業規則の変更による労働条件の変更が無効であると反論することが考えられます。仮に変更が有効だとしても、①の場合と同じ要領でさらに反論しましょう。
(3)労働契約・就業規則のいずれにも、降格処分の定めがない場合
労働者の同意がなければ、会社は降格処分を行うことができません。同意していないことを理由に、降格処分の無効を主張しましょう。
取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
https://abeyura.com/
https://twitter.com/abeyuralaw