障がいのある人に対してどのような配慮を行っているかについては、「能力が発揮できる仕事に配置している」の選択率が高い
・職場では、障がいのある人に対してどのような配慮を行っているかについて、「特例子会社等」と「一般組織」に分けて調査した。
・「特例子会社等」で最も多いのは「調子の悪いときに休みをとりやすくしている(69.2%)」、次いで「能力が発揮できる仕事に配置している(66.7%)」だった。
・「一般組織」で最も多いのは「能力が発揮できる仕事に配置している(59.6%)」「苦手なタスクを避けて得意なタスクを任せるようにしている(59.6%)」だった。
→特性に応じて能力が発揮できるような業務アサインは、両群共に実施率が高いことがわかる。
・一方で、両群間で実施率の差が大きかったのは、「支援スタッフを配置している(特例子会社等38.5%、一般組織13.6%)」「職場でのコミュニケーションを容易にする手段を用意している(同53.8%、33.8%)」「働く場所に関する自由度を高くしている(同56.4%、38.4%)」「調子の悪いときに休みをとりやすくしている(同69.2%、52.6%)」だった。
→この差には、図表1で見たような、抱えている困難の違いも影響していると思われるが、一般組織においても障がいがある人の雇用が増えるのにともない、支援スタッフや特別なコミュニケーション手段などの追加投資や専門的なフォロー態勢、働く場所や休みなどの制度の変更や特別ルールなどについて、導入を検討する必要が出てくるかもしれない。
職場での経験(人事や上司から説明があったなど)が、障がいのある人に対する個人的な働きかけを高める
・回答者個人が、一緒に働く障がいのある人に対し、どのような働きかけを行っているかについて、「一般組織」に対象を絞って調査をした。
・支援的コミュニケーションに関する3項目(「うまく仕事を進められるよう、仕事を手伝ったり問題解決に協力したりしている」「必要とするときに、話を聞いたり相談にのったりしている」)について尋ねたところ、いずれも「あてはまる」「どちらかというとあてはまる」の合計が約6割と半数を超え、「どちらともいえない」が約3割だった。
・「あてはまらない」「どちらかというとあてはまらない」は約1割と少ない。
→「どちらともいえない」が比較的多いのは、積極的に関われていない、十分に関われているかどうか自信がない、といった人が一定数いることを示しているかもしれない。
・前述の3項目を「個人的な働きかけ」として尺度化し、個人的な経験や職場での経験の違いごとに、平均値の差を比較した(図表3下)。
・「学校や地域において、障がいのある人と日常的な接点がある(あった)」や「自分自身が、障がいを理由とした配慮を受けて働いている(働いたことがある)」といった、個人的に障がいのある人に対する理解を深める経験の有無により、働きかけの程度には一定の差が見られた。
・一方、それにも増して、働きかけの程度に差が見られたのは、職場での経験の有無である。「人事や上司から障がい特性や必要な配慮についての説明があった」「本人と障がい特性や必要な配慮について話し合った」「どのような支援をしていけばいいかについて、職場で話し合った」といった職場の取り組み経験があるほうが、個人的な働きかけの程度が高かった。
→障がいのある人に対する理解を深めるような個人的な経験に巡り合わない場合でも、職場において、説明や対話をしっかりと行っていくことで、働きかけを促進していくことができるといえる。