iFi Audio/静電型ヘッドホン対応アンプ「iCAN Phantom」
iFi Audioが展示したのは、静電型ヘッドホン対応ヘッドホンアンプ「iCAN Phantom」である。静電型ヘッドホンは特殊な構造で音を鳴らすため、高電圧を必要とする。STAX互換の580Vになっているモデルも多いが、独自電圧を採用するブランドもあり、専用アンプと組み合わせるのが必須だった。これに対して「iCAN Phantom」を各社の電圧に合わせて、カードを差し替えるという方式を採用。静電型だけでなくダイナミック型の平面磁界型ヘッドホンも駆動できる。ボディはツートンカラーで別体に見えるが一体型だ。内部は完全バランス構成で、トランジスタ増幅と真空管増幅のどちらかを選択できる方式だ。価格は約50万円を予定して年内発売予定。
「iCAN Phantom」は2段重ねのようなユニークなデザインでXLRバランスから4.4mmバランス接続に対応、バランス対応プリアンプとしても使える
トップはスモークガラスで中が透けて見える。円盤はエアダクトの役割を果たす
切り替えスイッチより間違いにくく確実に選択できるカード式のバイアス電圧設定機能を採用。カードの裏には対応するブランドとモデル名が記載されている
OJI Special/4.4mm端子搭載「BDI-D C44B2Tuned 3 LIMITED2」
日本のハイエンドヘッドホンアンプブランド、OJI Specialの最新モデルはアンプの動作特性の変更機能の追加によって、ローインピーダンス、または超高感度なヘッドホンでも最適なアンプの動作が得られるようになった。切り替えスイッチは正面からは見えないボディ下部に設けられた。これは私もリクエストしたのだが、4.4mmバランス出力端子を搭載。ハイエンドモデル初の快挙ではないだろうか。
早速、試聴させてもらったが、いつ聴いても安定したピラミッドバランスで高解像度と滑らかさをバランスさせた絶妙なボーカルが心地よい。前回よりも音の粒立ちがよくややクールな印象を受けたが、設計者の西尾仁孝氏によれば、会場が変わって電源事情が良くなったのが原因かもしれないとのこと。それよりも大きな差は動作特性の変更で、同じヘッドホンでも大きく音色が変わることがあり、ゲインの最適化の大切さを実感した。
「BDI-D C44B2Tuned 3 LIMITED2」(140万8000円)はスペシャルチューニングが施されたヘッドフォン祭限定バージョンである
XLR4pinバランス端子の上に4.4mmバランス端子が追加されている
写真・文/ゴン川野