「FeliCa帝国」日本
筆者が先日記事にした『TicWatch Pro 5』のキャッシュレス決済機能は、日本ではどうしても評価が分かれてしまう。
Google Pay対応スマートウォッチ「TicWatch Pro 5」があぶり出すキャッシュレス決済の落とし穴
遠藤周作の作品『沈黙』に出てくる「この国はすべてのものを腐らせていく沼だ」という台詞は、そのままガジェットにも当てはまるかもしれない。 Mobvoi Infor...
というのも、TicWatch Pro 5はNFC Type A/Bのみに対応、つまりFeliCaには非対応という製品なのだ。
これでは、交通系ICカードもiDもQUIC Payも使えない。その上、Wear OS版Google Payが日本で利用できるようになったのは去年10月の話で、今もこれに対応しているクレカは決して多くない。
故に、TicWatch Pro 5に手持ちのクレカを搭載できないとしたら、それは製品自体の問題ではなくカードの発行会社もしくは金融庁の判断の問題なのだ。
TicWatch Pro 5があらゆるクレカとの紐付けに対応し、なおかつ様々な店舗でクレカタッチ決済を利用できるようになれば、日本人の行動様式も革命的に変化するだろう。
たった1枚のカードで、日本でも海外でも同じように非接触型決済ができるからだ。そして、ここ数年の鉄道事業者(主に私鉄)やバス事業者の動向を観察すれば、「日本でもクレカタッチ決済を積極的に活用しよう」という方向へ傾きつつあることがよく理解できる。
が、それでも日本は「FeliCa帝国」である。
Pixel Watch1本で生活が成立
現実的な思考を維持するとしたら、スマホやスマートウォッチに搭載する非接触型キャッシュレス決済はFeliCa銘柄を選んでおきたい。
此度のPixel Watch(より正確に書けばWear OS)のiD・QUIC Pay対応は、極めて現実的な方向性の進化である。モバイルSuicaも導入すれば、まさにPixel Watch1本で生活が成立するのだ。
これは「キャッシュレス決済のできるスマートウォッチ」が、もはやApple Watchのみではなくなったということも意味する。
もちろん、今後はPixel Watchに続くWear OS搭載スマートウォッチが矢継ぎ早に登場し、市場投入されるだろう。どのような製品が爆誕するのか、これからも注目する価値は大いにあるはずだ。
【参考】
QUICPayが Google Pixel Watch で利用可能に-PR TIMES
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000813.000011361.html
Google Pay™ の「iD」が Google Pixel Watch に対応しました-iD
https://id-credit.com/information/2023/0728.html
Wear OS by Google に新しく「QUICPay」と「iD」が対応し、 Google Pixel Watch で利用可能に-Google Japan Blog
https://japan.googleblog.com/2023/07/NewPaymentOnWearOS.html
取材・文/澤田真一