乗客のサインを見逃さないアイコンタクト
乗客の中には、お弁当などを購入する際に、声をかけずにアイコンタクトや手を挙げるなどのボディランゲージで訴えかけてくる人も多い。パーサーは常に車内をくまなく見回し、乗客のサインを見落とさないようアイコンタクトをとっている。
ひとりずつ目を見て、乗客の表情を確認。注文や困っていることはないかを察知する。もちろん笑顔は絶やさない。
鉄道客室乗務員が通過したあと、「やっぱり頼めば良かった!」と遠慮している人もいる。そんな乗客がいないかどうかを確認するため、客室内で振り返り、車内全体を見回す“振り返り販売”も行っている。
ワゴンで通路を塞がないよう配慮
注文を受けた際、ワゴンをできるだけ幅寄せし、乗客がスムーズに通過できるよう通路の空きスペースを確保している。重いワゴンを、まるでクルマの縦列駐車のように停止させるので、それなりのテクニックを要する。
座席に接触しないよう注意しながら、寄せたい席ギリギリにワゴンを寄せる。
車輪がしっかり前を向いているか確認。揺れる車内で安定させるためだ。
商品を渡す際のホスピタリティ
揺れる車内では商品提供時にも、最大限の注意を払う必要がある。今回は、車内販売で最も人気のあるホットコーヒー提供時のポイントについて教えてもらった。
通路側の乗客には「熱いのでお気をつけください」と必ず声をかけてからコーヒーをテーブルに置く。
窓側の乗客には、テーブルをお出し頂くようお願いし、専用のトレイで提供する。
この際「熱いのでお気をつけください」に加え、「蓋を持つと危険ですので、側面をお持ちください」と声をかける。
“お客様へ安全に美味しく召し上がっていただきたい”というパーサーの気持ちと一緒に商品を提供している。
美しい立ち居振る舞いを意識
乗客と会話するときは、ひざを折り、目線の高さを合わせる。鉄道客室乗務員らの礼儀正しく、エレガントな立ち居振る舞いは、乗務時だけでなく、勤務外の日常生活でも心掛けているという。こうした努力が、東海道新幹線の乗客らの旅を癒してくれるのだ。
お弁当を届けるときは、商品の正面を向けて渡す。ちょっとした気遣いだが、美しく見えるものだ。