ビジネスの世界では、横文字キーワードが飛び交うもの。
でも、その言葉、きちんと意味を理解した上で、正しく使っていますか?かっこよく話している上司であっても、「あれ?この使い方間違ってない?」「これって、こんなシーンで使う用語だっけ?」と、感じることはありませんか?
とはいえ、相手にそれを指摘するのも失礼だし、そう思った自分自身も、どう間違いなのか、きちんと説明するのも難しい……。そこで、元・国連の専門官で外資系企業や国内企業の経営指導や講演で大活躍の、日本マネジメント総合研究所合同会社・理事長の戸村智憲先生に、ビジネス頻出キーワード3つを厳選して、正しい使い方をレクチャーしていただきました。
サステナビリティってなに?
――SDGsやESGが当然のように語られる中で、その主役ともいえる「サステナビリティ」という言葉があります。頻出用語ですが、意外とフワッとした理解というか、地に足の着いた理解ができればなぁと思うのですが…
戸村先生 そうですよね。SDGsやESGってサステナビリティのかたまりのようなものですが、けっこうフワッと使われていたりしますよね。意外と、そういったことを教える講師や指導者であっても、かなりおおざっぱに理解されていたり、理解そのものがあやしい方々が少なからず見受けられたりもします。なので、多くの読者のみなさまの理解不足というより、これは指導者の問題かなぁとも思ったりします。
日本で「サステナビリティ」っていうと、何か「自然環境の保護」だけを思い浮かべがちな方が散見されます。でも、「サステイナブル」と併せて整理しますと、実は、元々、国連主導で進めてきた「持続的発展(サステイナブル・デベロップメント)」全体を指します。
おいおい、「持続的発展」とか、かみ砕いてないじゃないか、という読者のみなさまの声が聞こえてきそうですね。ちゃんとスパッとまとめますので、ちょっとだけ、気長にお付き合い頂ければと思います。
お互いに幸せになりあう取り組み
戸村先生 この「持続的発展」は、自然環境だけでなく、労働環境や人権擁護/救済の社会環境なども含めて、「経済成長」(要するに設ける活動)と様々な「環境保護」や健全な経済活動(コンプライアンス等も含む)を両立させようというキーワードがサステナビリティです。
なので、今話題になっている某中古車買い取り・販売業者さんが、実は、クルマだけでなく従業員の人権まで買い取って、生殺与奪を会社が握り、人とクルマの両面で社会のルールを積極的に無視・侵害して、儲かればなんでもアリで私腹を肥やしていた事例は、完全にSDGs・ESG・サステナビリティに逆行しています。わかりやすい問題例と言えるでしょう。
やっぱりごちゃごちゃと書いていて、スパッとまとめてないじゃないか!という読者さまの声が聞こえてきそうですので、そろそろ、戸村版のまとめをしておきますと以下のようになります。
「サステナビリティ」 = ①ムリなく・②ムダなく・③長続きする・④理にかなった・⑤お互いに幸せになりあう取り組み
これは戸村流(©戸村智憲)の簡単で理解・整理しやすいサステナビリティのまとめです。
時々、外資系企業で海外の方とお話しする時、日本でこれまでやっていたムダの多い業務の仕方を、「これってサステイナブルじゃないよね」と言われることがあります。職場の謎ルールなども含め、ムリでムダが多く、理にかなっていない上、誰もが幸せにならない仕事は、「サステイナブルな仕事」ではないのです。
上記の5つのポイントに従って生き働くようにすると、自然と健全にサステナビリティを高められる状態になります。
①と②が効率性・効果性、③が持続的発展性、④がSDGs・ESG(人権やコンプライアンスなども含む)の理にかなう方向性、⑤がダイバーシティ, エクイティ & インクルージョン(DE&I)といった多様性の尊重と相互の受け入れあい(多様性と相互受容性)となる感じですね。