ASAPという言葉をご存知だろうか。ASAPは日常生活のみならず、ビジネスシーンでも多用されている言葉だ。しかし、意味や使いどころを考えて使用しないと、不要な誤解を招いたりトラブルが起きてしまったりする可能性もあるので、注意が必要だ。
本記事ではASAPとはどういう意味なのか、について解説する。また、ASAPを使うべきではない場面や、ASAPを他の表現で言い換える方法についてもまとめた。
ASAPの意味とは?
ASAPは「as soon as possible」の略であり、日本語に直すと「できるだけ早くして」という意味になる。海外での日常生活などで、ASAPは多く使われている。
そして日本でも、外資系企業やIT企業などで、ビジネスシーンでASAPを使う人がたまにいる。ただし、場合によっては相手に不快感を与えてしまう表現でもあるので、使用には注意が必要だ。
ASAPの類語
ASAPの類語としては次のようなものが挙げられる。
- できるだけ早く
- なるべく早く
- 少しでもいいから早く
また、若者の間では「なるべく早く」を略して「なるはや」と言うことも多くある。ASAPの意味を知らない人も多くいるため、相手によってはこのような言葉に言い換えることも大切だ。
ASAPの読み方
ASAPの読み方は固定されておらず、人によってさまざまな呼び方をしている。代表的なASAPの読み方には次のようなものがある。
- アサップ
- エイサップ
- エーエスエーピー
もっともASAPは口頭よりも、メールやSNSなどの文面で使われることが多いため、読み方が固定されていなくてもさほど困ることはない。口頭でASAPを使う場合は、相手に伝わらない可能性があるので注意が必要だ。
ASAPを使う場面の例
ASAPを使う場面の例について解説する。ASAPは次のような場面で使われることが多い。
- 仕事を早く進めて欲しいとき
- すぐにメールを返して欲しいとき
- 待ち合わせをするとき
それぞれ、どのように使っていけばいいのかみていこう。
仕事を早く進めて欲しいとき
部下に急ぎの仕事を追加で頼みたい。あるいは、すでに任せている仕事の優先順位を上げて欲しい。こんな場合に、ASAPは多く用いられる。
「大至急」「急いで」という言葉を使うよりも、「ASAPでお願い」といった方が相手を追い詰めている感じがなくなるため、部下相手に多用する人も多い。
部下に作業を依頼する際は、あまり高圧的な言い方にならないように気をつけることが大事なので、そういう観点からするとASAPは便利な言葉と言えるだろう。
すぐにメールを返して欲しいとき
情報確認を早めにしなくてはいけない場合など、相手にメールの返答を急いで欲しい場面はときどきある。
たとえば、「明日までにプレゼン資料を作成しなければならず、資料に必要な情報を部下のみが知っている」場合、「ASAPで共有してほしい」と言えば、本日中にメールが返ってきやすくなるだろう。
メールは24時間以内に返すのが一般的と言われているため、メールの返信を明日に回してしまう人は多くいる。「ASAPで返信して」と伝えれば、相手は「もっと早く返した方が良さそうだ」と察することができるだろう。
待ち合わせをするとき
部下や友人と待ち合わせをするときにも、ASAPという言葉が使える。たとえば、すでに自分が待ち合わせ場所に辿り着いたとき、相手から「ごめん、1時間くらい遅刻する。」とメールがきたとする。
このような場合に、「ASAPでよろしく!」と返信すれば、相手はできる限り急いで来ようとしてくれるかもしれない。
ASAPを使う際の注意点
ASAPは相手を気遣いながらも、行動を早めて欲しいことを伝えられる便利な言葉であることは間違いない。しかしながら、同時に注意して使わないといけない言葉でもある。
特に次の4つには気をつけた方が良いでしょう。
- TPOを考えて使う
- 上司や取引先相手には基本使わない
- 命令的にならないようにする
- 具体的な締切日を提示した方が良い場合も
1つ1つの注意点について詳しくみていく。
TPOを考えて使う
ASAPは時と場合を考えて使うのが基本だ。ビジネスで頻繁に使われる略語ではあるが、たとえば社長も交えた厳格な会議などでは使わない方が良いだろう。たとえ部下相手でも、「ASAPで頼む」などと言えば、TPOを考えない人とみなされてしまうかもしれない。
ASAPはどちらかと言えば、カジュアルな場面で使うことが多い。
上司や取引先相手には基本使わない
目上の人に対して「ASAPでお願いします」というのは、失礼になることが多いので注意だ。もっとも、社風によっては使っている場合もある。ただ、他の言葉で言い換えられる言葉をわざわざ使う必要はないだろう。
命令的にならないようにする
部下に対してASAPを使う場合、命令的にならないように注意が必要だ。「ASAPで頼む」というのは「早くして」と直接言うよりも空気を和らげることができる。
とはいえ、口調次第では相手を追い詰めている感じが強くなってしまう。どんな言葉を使うかも大切だが、口調や表情などに気を配るのも、コミュニケーションにおいて大切だ。
具体的な締切日を提示した方が良い場合も
部下によってはASAPという言葉を使わない方が良い可能性もある。「ASAPでお願い」と指示すると、いつまでにやれば良いのか混乱してしまう人は多くいる。特に新入社員の場合、作業スケジュールを立てるのにもまだ慣れていないため、具体的な締切日を提示した方が作業を進めやすいことが多いだろう。
ASAPの言い換え表現の例
ASAPは友達や部下に対しては使っても良いが、目上の人や上司に対しては基本的に使わない方が良い。とはいえ、日常生活でよくASAPを使っている人は、仕事でもASAPを使いたくなってしまう場合があるだろう。
そこでASAPの言い換え表現について解説する。ASAPは次のような言葉に言い換えることが可能だ。
- 「今日中にご対応いただくことは可能でしょうか?」
- 「〜していただけますと幸いです」
- 「お忙しいところ大変恐縮ですが」
このような表現なら目上の人や上司に対しても使うことができる。言い換え表現の例の使い方について、それぞれ詳しくみていこう。
「今日中にご対応いただくことは可能でしょうか?」
「今日中にご対応いただくことは可能でしょうか?」は「対応してもらう」を謙譲語にしたものだ。相手に対する指示ではなく、相手に質問する表現のため、上から目線に感じにくい。なお、「ご対応いただけますか」の方が簡潔で分かりやすい場合もあるため、状況に応じて使い分けよう。
「〜していただけますと幸いです」
「〜していただけますと幸いです」は「してもらえるとありがたいです」の敬語表現だ。柔らかく丁寧な印象になるため、ビジネスシーンで多用されている。
「お忙しいところ大変恐縮ですが」
「お忙しいところ大変恐縮ですが」もビジネスシーンでよく使われる表現だ。頼みづらいことを上司やクライアントに頼みたいときにも使いやすい。相手を気遣う気持ちが伝わりやすいのが良い点だ。