CFOに求められる資質とは
CFOは財務に詳しいだけでは務まらない仕事です。通常は財務や経理の経験以外にも、さまざまな知見を持った人が選ばれます。また、責任が重い立場なので、スキル面だけでなく人間性も重要視されます。どのような資質が求められるのか見ていきましょう。
財務・会計・経営の知識
CFOには財務や会計に対する深い理解が必要です。財務や会計に関する十分な知識がないと、経営目標を達成するための適切な財務計画を策定できません。
税務申告にあたって必要な、『財務管理業務に関連する法律の知識』を習得していることも重要といえます。公認会計士の資格と経験を持つ人がCFOに就任するケースがあるのも、これらの知識を持っているためです。
また、CEOやCOOなどをサポートするために、経営計画について正しく理解できなくてはなりません。経営陣の一員として、経営者目線で物事を考えられる能力も求められます。
積極性やコミュニケーション力
CFOには、会社全体の成長のために、あるべき姿を積極的に追求する姿勢が求められます。経営陣から頼られる場面が多く、コミュニケーションの取りやすさも重要です。
相談に乗ってもらいやすい雰囲気や、常に的確な回答ができるように準備しておく用意周到さも備えていなければなりません。また、財務や経理に詳しいだけでなく、ほかの業務への理解も必要です。
事業を成長させて企業価値を上げるためには、財務・経理だけでなく、労務・人事・法務・広報など、幅広い部門の業務内容を理解する姿勢が大切といえます。
CFOと同様の略し方をする役職
CFOやCEO以外にも、CXOと略されるさまざまな役職があります。Xの部分に入る語が変わることで、役割が異なると覚えておくと混乱しません。CXOと略される主な役職の特徴や、CFOとの関係を見ていきましょう。
経営における最高責任者「CEO」
CEOは『Chief Executive Officer』の略です。日本語では最高経営責任者と訳され、経営における最終的な判断の全ての責任を負います。経営方針を定めて企業経営全体を統括する役割があり、実質的なトップです。
社長との違いが分かりづらいと感じる人もいるでしょう。CEOはアメリカの企業における最高経営責任者の呼び方で、日本の法律では明確な定義は存在しません。
社長や会長、代表取締役などがCEOを兼任するケースもあります。CEOの方がCFOよりも上の立場です。経営に関する方針や計画を決定し指示を出すのはCEOであり、CFOは財務面からサポートするために、財務管理業務を担当します。
事業部門を統括する「COO」
COOは『Chief Operating Officer』の略で、日本語にすると最高執行責任者という意味です。CEOが決定した方針に基づき、利益を出すために業務の執行を統括します。
例えば、商品開発や販促活動などの実務を担う組織全体への指示や、プロジェクト実現のために何をすればよいのか考えた上で、コストや人員などのリソース配分の最適化を担当します。
業務の遂行そのものに深く関わるCOOとは違い、CFOは財務面から組織を支えるのが大きな違いですが、どちらもCEOをサポートする立場である点に違いはありません。
技術面のトップ「CTO」
CTOは『Chief Technology Officer』の略で、意味は最高技術責任者です。Technologyは、製造技術・研究開発技術・情報技術など、企業活動に必要な技術活動を指します。
技術によって企業の成長を目指す企業では、特に重要なポジションとして認識されているケースが少なくありません。現場により近い位置から、技術チームの成果を最大限に高めるために必要な施策を考え、実行します。ときには、プロジェクトを担うエンジニアの選抜や、技術チームに必要な人材の選考に携わる場合もあります。
CFOは企業の財務に深く関わりますが、CTOは研究・開発技術の立案や方向性などを定めるのが役割です。業務内容は異なるものの、企業の成長のために経営陣をサポートする点は同じといえます。
企業のマーケティングを統括「CMO」
CMOは『Chief Marketing Officer』の略です。最高マーケティング責任者という意味があり、企業活動に必要なマーケティングを統括し、戦略立案や最適化を担当する立場です。
CFOと同じように経営視点を持ちながらも、特定の部署にとらわれず、マーケティング領域から企業に貢献する役割を持ちます。経営戦略により深く関わる点が、CFOとの違いです。
顧客のニーズや行動を正確に把握することは企業の利益と密接な関係があり、重要な役割であるといえます。時代の変化に伴いSNSやECサイトの活用が当たり前になった現代の企業活動において、今後ますます需要が高まっていく役職の一つです。
CFOとの接点はそれほど多くないものの、マーケティング予算の管理の面で関わる機会があるでしょう。
情報戦略の要「CIO」
CIOは『Chief Information Officer』の略です。日本語では最高情報責任者と呼ばれるケースが一般的です。企業を成長させるために必要な情報戦略を統括する役割を担い、経営方針に合わせて情報戦略の立案を行います。
ITリソースの導入や管理、デジタル技術を生かした業務改善などが主な業務内容です。企業だけでなく教育や行政の分野でもCIOが置かれるケースがあり、教育機関や地域全体の情報化に活用されています。
CFOとCIOが業務で直接的に関わるケースは多くありませんが、CIOの戦略が資金面で失敗しないようにアドバイスする可能性はあるでしょう。