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コロナ禍で急成長したサブスクビジネスが抱える課題

2023.07.18

企業向け経済インフラプラットフォームであるStripeは、「サブスクリプションと課金請求管理の現状」に関する報告書を発表し、1500社のサブスクリプション企業のリーダーが今後12ヵ月間の戦略についてどのように考えているかを分析した。

サブスクリプションビジネスの成長を紐解くStripeの最新レポート

サブスクリプションビジネスは、コロナ禍において、消費者や企業からの需要が急増したことを受けて急成長した。そして、パンデミックに後押しされた成長が減速しても、サブスクリプションモデルはより広範な、オンライン経済を上回る成績を維持している。

Stripeで処理される定期的な支払い額は、一回限りの支払いよりも16%速く成長していた。同時に、サブスクリプション企業のリーダーたちは、より複雑な環境に対応するための準備を進めているようだ。

調査に参加したビジネスリーダーの43%が、「世界経済の変動に対応して顧客が支出を削減することで、解約率が増加する」と予想していた。

同時に、81%が定期的な収益の予測可能性がこれまで以上に重要であることに同意しており、既存の顧客を維持するための新たな方法を模索していることも判明。

サブスクリプションビジネスのリーダーたちは、価格設定の最適化、継続的な国際展開、不本意な解約を減らすための自動ツールの使用という3つの主要なアプローチで、この複雑な環境の舵取りをしているようなので、詳細をお伝えしよう。

価格設定の最適化

高インフレの中、大半のサブスクリプションサービスにとって、自社のコストも増加していることから、価格の引き下げという選択肢はないようだ。

「値下げによって顧客離れに対応している」と回答したビジネスリーダーは25%に過ぎず、代わりに、40%が「顧客の期待により適切に応え、自社のサービスの価値を示すために、新しい価格戦略に投資することを計画」している。

定額料金での価格設定は依然として最も一般的な価格設定モデルではあるものの、マクロ経済の不確実性から、より柔軟なアプローチが求められている。

回答者の67%は、「価格に敏感な新規加入者の影響を受けて、使用量ベースの価格設定がより広く採用される」と予想していた。

同時に、サブスクリプションビジネスは、価格に敏感でない顧客向けにより高いレベルのプレミアムオプションを作成している。

調査対象である金融サービスのサブスクリプション企業の52%と、テック分野のサブスクリプション企業の42%が、「より高価格となるプレミアムプランを提供する予定である」と回答した。

MidjourneyのCFOであるNadia Ali氏は次のように述べている。

「段階的なサブスクリプション価格と利用量に基づくトップアップを組み合わせることで、画一的なアプローチではなく、より多くの人々に製品を展開することができます。Stripeを使用することで、私たちのツールに対する異なる関心や用途を持つ顧客に対応することができます。Stripeでよりオーダーメイドなサブスクリプションプランを構築することで、AI愛好家から始めたばかりの人まで、幅広い顧客層にアプローチすることができます」

無料トライアルは導入が簡単で、価格最適化への入り口としては魅力的だが、同時に課題も抱えている。

新規加入者がトライアルが終了する前にサブスクリプションのキャンセルをし忘れることで、サポートチケットや返金要求が発生するため、支払いとトライアルのキャンセルを管理することで、コストと負担がかかってしまうのだ。

SaaSスタートアップのTangoは、支払い方法を必要としない無料トライアルを提供することで、これを解決した。これにより、加入者は払い戻しサポートの管理リスクを負うことなく、製品の価値を体験できる。

継続的な国際展開

コロナ禍の急成長が終わりに近づいている中、サブスクリプション企業は海外市場に目を向けることで、顧客の獲得を続けている。国際的な拡張性は、物理的に物流を必要としないことが多いため、多くのサブスクリプションサービスの重要な利点だ。

回答者の半数以上が、「今後1年以内に国際展開を計画」と答えた。その際、企業は支払い習慣が世界各地で異なること、そして異なる地域の顧客が自分好みの方法で支払いができることを期待しているということを理解している。

そのため、71%の回答者が「今後1年間で少なくとも1つの新しい支払い方法を追加する予定」と述べた。

不本意な解約の削減

サブスクリプション事業者が海外で新規顧客を探しているのと同時に、既存顧客を維持するためのツールにも投資している。

特に、支払い情報の不備により意図せずサブスクリプションが途切れるなど、不本意な解約を防止するツールが重要だ。

調査対象である企業の41%が不本意な解約の増加を報告しており、そのうちの3分の1(32%)が、それが発生する可能性を自動的に減らすことができるツールを利用していないことが分かっている。

これらのツールには、機械学習アルゴリズムを使用して、失敗した支払いを再試行する最適なタイミングを決定するStripeのSmart Retries機能や、有効期限切れのカードを新しい決済情報に自動的に置き換える、自動カード更新機能などがある。

売上回収ツールは、不本意な解約を大幅に減少させ、機会損失による収益への影響を低減し、顧客の購入やサブスクリプションの価値を最大化する。Stripeの自動収益回収機能により、2022年にStripeユーザーは38億ドルの追加収益を得た。

Stripeの情報責任者であるEmily Glassberg Sandsは次のように述べている。

「定期的な収益モデルは、インターネット経済全体と共に過去数年間で急成長しましたが、それらは企業や消費者が投資に対する予測可能なリターンを簡単に得られるために定着しています。ビジネスリーダーたちは、サブスクリプションエコノミーの次の章に着手しており、サードパーティのツールに頼って新市場に展開し、さまざまな価格設定モデルを試行し、忠実な顧客からの収益をさらに増やすことを確実にしています」

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