安定した走行性能と先進運転支援機能のMI-PILOTでストレスなく走れる
走り出せば、シートのかけ心地の良さとともに、乗り心地の良さにも感動できる。悪路走行での乗り心地にもこだわったという大径165/60R15サイズのタイヤ、専用チューニングされたサスペンションの面目躍如というところだろう。以前、ハードなジャリ道をテスト走行した時も、タイヤのジャリへの当たりが優しく、頼りがいある操縦性を示し続け、ジャリ道でゴトゴトガタガタする乗り心地とは無縁であることを確認済みだ。
目的地までのルートはアクアライン~館山自動車の高速道路が主だが、高速走行では1830mmもの全高を感じさせない直進性の良さとフラットな乗り心地、マイルドハイブリッドのターボエンジンによる2名+犬1頭+大荷物でもまったく不足ない加速性能、巡航性能を体感することができた。レーンチェンジ時を含めた安定感の高さもなかなかと言っていい。
高速走行での、先進運転支援機能のMI-PILOT(高速道路同一車線運転支援機能)に含まれる全車速追従機能付きACC(レーダークルーズコントロール)、および車線維持支援機能(LKA)によって、ステアリングに軽く手を添え、ペダルから足を放した状態でクルージングできる、カーブもトレースしてくれる運転の快適さが、ロングドライブでドライバーの肉体的・精神的ストレスを最小限にしてくれることを改めて実感させてくれたのだった。
そうそう、スーパーハイト系軽自動車の大空間の後席は、あきれるほど広々としている反面、真夏のドライブでは後席エアコン吹き出し口がないため、空調環境に疑問符がつく。が、デリカミニのPremiumグレードには後席用のサーキュレーター(プラズマクラスター付き)が標準装備され、実際に後席に座ってみたところ、インパネのエアコン吹き出し口から排出される冷気が後席にもやんわりと伝わり、涼しく乗車できることを確認。スライドドア部分の窓のロールサンシェードと併用すれば、夏でもかなりの快適空間が得られることになる。暑がりの犬を乗せていれば、なおさらメリットがあると思えたのもほんとうだ(試乗当日の外気温は32度)。
高速走行中の車内の静粛性に関しては、さすがに合流、追い越しなどでターボエンジンを高回転(およそ3500回転以上)まで回すシーンではそれなりのノイズが車内に侵入する。が、スーパーハイト系軽自動車×高速走行につきものの風切り音、ロードノイズの高まりもあって、感覚的にはほぼ気にならない。無論、80~100km/hでのクルージング中は、後席に陣取った愛犬がスヤスヤ寝ていられるほどの、軽自動車としては、聴覚に優れた犬の耳にもやさしいハイレベルな静かさが保たれる。
一般道に降り、山の上にあるオートキャンプ場に至る道では、デリカミニの軽自動車規格の全幅がありがたかった。とにかく軽自動車の対向車とも絶対にすれ違えないような、想定外のデリカミニでもけっこうギリギリの獣道を延々と登っていくことになったのだが、デリカミニの車幅、ボディの見切りの良さ、最低地上高の余裕、フルタイム4WDの威力によって、自信を持って極狭かつ路面の悪い(ところどころに大穴もあった)道を突き進み、一見さんを寄せ付けないようなオートキャンプ場にスイスイとたどり着けたのである。そんな大荒れの道での乗り心地も評価すべき点であると思えた。
そうした予期せぬ悪路に遭遇しても終始、安心していられたのは、フルタイム4WDに加え、グリップコントロール、ヒルディセントコントロール、ヒルスタートアシストといったデリカミニ4WDのパフォーマンスを支える神器が備わっていたからでもある(実際にはそこまでのお世話にはならなかったが)。大雨、雪道などで威力を発揮してくれることはもちろんだ。