久光製薬のサロンパス
最後は久光製薬のサロンパス。
これは筆者自身が大いに驚いたことだが、日本と同じようにインドネシアでも「サロンパス」自体が湿布を表す普通名詞と化している。
この現象自体、商品が人々の暮らしに定着しているということだ。そしてサロンパスも、上述のフマキラーの防虫用品と同じような意味合いを帯びている。
国民皆保険制度がない国、もしくはそれがあっても制度として未だ充実していない国は「初期症状を自分でどうにかしよう」という考えが強い。無論、それは筋肉痛や関節痛にも当てはまる。
インドネシアの小売店に陳列されているサロンパスは、何と1枚単位で売られている。1箱ではないのだ。これはこの国の小売の特徴でもあり、たとえば粉末コーヒーやビタミン錠剤、紙オムツなどもバラ売りされている。
去年まではタバコも1本単位で売られていたが、これは大統領令により禁止された。
どの商品も、1個もしくは1枚、1本から買えるとなると「その都度、必要な分だけ」という買い物ができるようになる。というより、それがインドネシア人の買い物に対する考え方だ。日系メーカーも、そのような現地の買い物事情に丈を合わせている。
ローカライズの重要性
以上、インドネシアで定着した日系メーカーの日用品ということで解説した。これらを観察して分かるのは、「ローカライズの重要性」だ。
ヒジャブ用シャンプーもバラ売りも、現地市民のライフスタイルに一度でも接しなければ心情的に理解できないだろう。
日本のカルチャーがインドネシアの若者に支持されているというのは事実だが、同時にローカライズを意識しなければ現地では成功できないだろう。
たった1本のシャンプー、たった1枚の湿布から様々な現地事情を見出すことができる。
【参考】
Fumakilla
https://www.fumakilla.co.id/
Lion
https://www.lionwings.com/en
Hisamitsu
https://id.hisamitsu/
ユニリーバ・インドネシアがイスラム教徒女性向け製品
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO21779180S7A001C1FFE000/
グローバルCSRを考える 久光インドネシア(PDF)
https://www.hisamitsu.co.jp/company/pdf/csr/CSR2017_06-09.pdf
取材・文/澤田真一