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フマキラー、ライオン、久光製薬、インドネシアの国民に支持される日系企業に学ぶローカライズの重要性

2023.06.19

ひとつの商品、またはそのメーカーがその国の社会問題を解決することがある。

或いは社会問題とまでは行かなくとも、市民の抱えるちょっとした煩わしさを解消してくれるような商品も存在する。

今回も筆者が3年ぶりに渡航したインドネシアで、日系メーカーが販売する製品を探してみよう。ただし今回は「日用品」、即ち「日常生活に必要な消費財」という区切りを設けたい。

何気ない生活の中で使うものだからこそ、そこには高クオリティーが求められる。広く流通している商品は、即ち現地市民に広く受け入れられているという意味だ。

フマキラーの『One Push VAPE』

インドネシアは熱帯の国である。部屋には様々な虫が飛んでくる。

デングウイルスを持った蚊や毒を体内に含むハネカクシ、そしてゴキブリ。これらの害虫をどう駆除するかで、熱帯地域での生活の快適度が大きく変化する。

フマキラーが販売する『One Push VAPE』は、文字通り1プッシュで部屋にいる虫を一掃してしまうエアゾール製品だ。

パッケージを見る限りは蚊にしか効かないような印象だが、実際はゴキブリにも効力を発揮する。というのも、筆者は滞在先の宿の自室でこれを使ってみた。

1プッシュして部屋を出て6時間後、部屋に戻ってみると前日に出くわして隙間に隠れていたゴキブリが仰向けになっているではないか!

こうした商品は、結果として現地市民の医療費負担を大幅に軽減させる。

筆者自身はデング熱に感染した経験はまだないが、日本人の友達が首都ジャカルタでこれにかかったことがある。曰く、あまりの苦しさに絶望すらしたそうだ。「骨から来る関節痛」がとにかく辛かったという。

このような病気なのだから、さすがに医者いらずで乗り切ることは極めて困難だ。

しかし、蚊を確実に駆除できる殺虫剤があればデング熱に感染する可能性も低くなる。そして、日本よりも国民皆保険制度が発達していない国では「病気を予防する」ということに大きな意味が発生するのだ。

ライオンのシャンプー

次に解説するのは、ライオンのシャンプーである。

ライオンが現地日用品メーカーWingsと合弁会社を設立したのは、1981年。現地日系メーカーの中では「老舗」の部類だが、それ故にライオンの商品はインドネシア人にとっての「当たり前」になっている。

フケに効き目のあるシャンプー『Zinc』や『Emeronヒジャブ用シャンプー』は、コンビニやワルン(個人経営の売店)でもよく見かける。

「ヒジャブ用シャンプーって一体何だ?」と感じる読者もいらっしゃるはずだが、イスラム教徒が大多数のインドネシアではヒジャブ(髪の毛を隠す布)を被っている女性をよく見かける。そのため、この国ではヒジャブの中の髪を健全に保てるシャンプーに大きな需要があるのだ。

インドネシアへ進出しようとする一般消費財メーカーは、必ず現地の宗教事情と向き合わなければならない。

日系メーカーではないが、2017年にユニリーバがインドネシアでボディー用保湿剤を発売した。これもヒジャブを着用する女性に向けた商品で、要はこのあたりに早い段階で石を置かなければインドネシアでは定着できないということだ。

現地市民は日系メーカーの商品はクオリティーが高いということは知っているが、だからといって日本で売られているものをそのままインドネシアで売っても成功するというわけではない。

ライオンがインドネシアで展開している商品は、その原則をよく教えてくれる。

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