エヌビディアと競合他社
GPU市場はエヌビディア、AMD、インテルの3社が競合しています。
そもそもコンピュータのプロセッサーは、CPU(中央演算処理装置)とGPU(グラフィックスプロセッシングユニット)の2つの種類があります。
主にCPUはコンピューターの計算処理を行い、GPUはリアルタイムで画像処理を行います。
またGPUには内蔵GPUと単体GPUがあり、内蔵GPUは性能が低く安価であり、通常利用のPCで使用されています。ゲーミングPCなどは単体GPUが使われており、高速な処理性能を活かしてディープラーニング開発や暗号通貨のマイニングなどにも利用されています。
このGPU市場において、内臓GPUはインテルが圧倒的なシェアを握っており、エヌビディアは合計シェアでは3社のなかで最下位です。
しかし、単体GPUではデスクトップ・ノートPCの両方でエヌビディアが圧倒的なシェアを持っているのに加えて、単体GPUは高い収益性を持っています。
ここにエヌビディアのビジネスモデルの強みがあるといえるでしょう。
エヌビディアとeスポーツ市場
エヌビディアの強みとしてeスポーツ市場の拡大があります。
2020年時点でのeスポーツの市場の売り上げ規模は約1165億円でした。2023年には約1758億ドルに達するという調査データもあるように、今後も市場規模は拡大するでしょう。
その理由は下記のような要因があるからです。
【視聴者数の増加】eスポーツの視聴者数は急速に増加しており、これは市場規模の増加に大きく関わっています。また視聴者数の増加は、さらなるスポンサーシップ、広告、メディア権の売却などの収入機会を創出する可能性が極めて高いはずです。
【大手企業の参入】大手企業がeスポーツ市場に注目し、スポンサーシップやパートナーシップを通じて投資を行っています。このような投資は、eスポーツのプロフェッショナリズムと信頼性を高め、市場規模を拡大する要因となるはずです。
【新たなビジネスモデル】eスポーツは新たなビジネスモデルを探求しています。例えば、一部のリーグはフランチャイズモデルを導入し、安定した収益と競争力のある環境を保証しようとしています。また、eスポーツベッティングも世界中で盛んになっています。
【新興市場の成長】アジアや南米、東欧、アフリカなどの新興・フロンティア市場では、インターネット接続とゲームへのアクセスが増えるにつれ、eスポーツの人気が急速に高まっています。
こうしたeスポーツにも欠かせない単体GPUをエヌビディアは提供しています。
エヌビディアとAI市場
世界のAI関連の企業売上高は2017年時点では147億ドルでしたが、2025年までの8年間で3109億ドルと実に約21倍まで拡大することが予測されています。
調査会社グランドビューリサーチによると、2020年のAI市場規模は約625億ドルで、2028年までには1兆ドルを超えると予測されています。これは、2021年から2028年までのCAGR(年平均成長率)が実に40.2%という驚異的な数字です。
市場が拡大するということは、単体GPUシェア1位のエヌビディアの事業成長が加速することを意味しています。