上位モデルとの差分がさらに埋まり、お勧めの1台に
もっとも、ハードウエアも先代の「Pixel 6a」と比べると、大きく進化している。1つが、サクサク感にも影響を与えるリフレッシュレート。同モデルはPixel aシリーズとして初めて90Hzの書き換え頻度に対応しており、スクロール時などの滑らかさが明らかに向上している。リフレッシュレートのような仕様は、AIやソフトウエアだけではカバーしきれない部分なだけに、対応は評価したい。
ディスプレイのリフレッシュレートは最大90Hz。スクロールなどの動作が滑らかになった
もう1つの新機能が、ワイヤレス充電だ。チャージャーに置くだけですぐに充電を始めることができ、手軽さが増した。ケーブルを抜き差しする手間がなくなったことで、間接的に、本体にすり傷がついてしまうのを防止できるのもうれしい。ワイヤレス充電は7.5Wとケーブルを使った充電より遅いものの、寝る前や仕事中にサッと充電できる手軽さは、一度使うと離れられなくなる。
さらに、日本特有の事情として、5Gの対応周波数が拡大した。具体的に言えば、これはドコモのn79(4.5GHz帯)のこと。同社がPixelシリーズの取り扱いを再開したための対応とみられる。単なる周波数の1つと思われるかもしれないが、n79はドコモが5Gのエリアを拡大するうえで、基盤としている周波数帯だ。衛星通信との干渉が少なく、1つの基地局で広い範囲をカバーしやすいため、幅広い場所で利用されている。
これがあるとないのとでは、ドコモ回線利用時に5Gに接続する頻度が大きく変わってくる。実際、ドコモのn79に接続できたエリアで、Pixel 7aも5Gに切り替わっており、通信も非常にスムーズだった。都市部では4Gの周波数帯がひっ迫しているスポットもあるため、やはり5Gはきちんと使えた方がいい。廉価モデルながら、上位モデルのPixel 7、7 Proよりドコモ回線で通信性能を発揮できる場面が多く、この点は逆転現象が起こっている。
東京・渋谷のn79対応エリアでスピードテストを行った。周囲の4Gは混雑で速度が低下しがちなだけに、きちんとドコモの周波数を網羅しているのはうれしい
もちろん、おサイフケータイなどにも対応しており、防水・防塵仕様といった日本のユーザーに求められる仕様はきちんと満たしている。バッテリーの持ちもよく、普段使いに向いたスマホと評価できる。これだけの性能を持ったスマホが、6万2700円で販売されているのは驚きだ。キャリアによっては早くも割引販売を始めているところもあり、そのコストパフォーマンスは健在と言えるだろう。
【石野’s ジャッジメント】
質感 ★★★★
持ちやすさ ★★★★
ディスプレイ性能 ★★★★
UI ★★★★
撮影性能 ★★★★★
音楽性能 ★★★★
連携&ネットワーク ★★★★★
生体認証 ★★★★
決済機能 ★★★★★
バッテリーもち ★★★★
*採点は各項目5点満点で判定
取材・文/石野純也
慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。