ハードオフのフランチャイズ加盟からの脱退で単独運営に切り替え
ブックオフはデュエル・マスターズやポケモンカードゲームなどのイベントを主催し、トレーディングカードファンの取り込みに注力しています。増収効果への貢献が高いのはもちろんですが、別の理由もあります。利益率が高いのです。
下のグラフは商材別売上高と、商材別仕入高から各商材の原価率を割り出したものです。書籍は原価率が3割程度で、実入りの良い商材であることがわかります。
ソフトメディアとトレーディングカード・ホビーが5割程度。トレーディングカードと同じく売上の伸びが激しい貴金属やブランドバッグは原価が高く、利益への貢献がありません。
CDとDVDは配信サービスの台頭で市場が縮小しています。ブックオフもその影響を受けるでしょう。残るはゲームソフトですが、ゲームもオンライン化が進んでおり、パッケージソフトは縮小すると見られています。
ブックオフが書籍、ソフトメディアの次に業績を支える商材として、トレーディングカード・ホビーを狙っているのは間違いありません。カードイベントを開催して市場を盛り上げようとしているのでしょう。
よく、店舗のデザインが似ていることから、ブックオフとハードオフの運営会社を混同する人がいますが、この2つは全く別の会社が運営しています。かつてハードオフの公式Twitterが、運営会社が違うことを投稿すると、驚きの声が上がりました。
ただし、全く関係がなかったわけではありません。ブックオフは1996年8月にハードオフにフランチャイズ加盟し、家電製品やOA機器の取り扱いを開始しています。しかし、2015年3月にフランチャイズ加盟契約を解約しました。
ブックオフは独自に家電製品のリユース業を営む決断を下したのです。複合店の出店をすでに進めており、書籍やソフトメディア以外の商材で稼ぐ道が見えていたのでしょう。
ブックオフはチェーン全体の8割を占める単独店を主力から外し、複合店の「BOOKOFF SUPER BAZAAR」や「BOOKOFF PLUS」をメインパッケージに位置付けています。
アプリによる集客戦略も奏功しており、販売客数に占めるアプリ会員の割合は3割を超えました。アプリはプッシュ型のマーケティング活動が行え、クーポンの発行などで来店フックを作ることができます。
実店舗運営とIT技術を組み合わせて拡大を進めています。
取材・文/不破 聡