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中国No.1インフルエンサーの竹内亮さんに聞く、日本では報道されない〝中国の素顔〟

2023.05.18

中国全土でナンバーワンのインフルエンサー(Weibo旅行関連)でもあり、リアルな中国を撮影し続けていることでも知られているドキュメンタリー監督・竹内亮さん。5月19日から東京都内で「竹内亮のドキュメンタリーウィーク」が開催される。新作『再会長江』は、タレント・小島瑠璃子さんがナレーションを担当し、イベントに登壇することも話題だ。

「中国に移住して約10年です。日本では報道されない“中国の素顔”に驚くはず」という竹内さんにインタビュー。前編ではコロナ禍を経た、最新の中国事情についてお話を伺った。

中国No.1のインフルエンサー竹内亮さんに聞く、日中の相互理解が進まない理由

中国全土でナンバーワンのインフルエンサー(Weibo旅行関連)でもあり、リアルな中国を撮影し続けていることでも知られているドキュメンタリー監督・竹内亮さん。5月...

現地に住んでみるとわかる中国のスピード感

――新作『再会長江』は約6300㎞の長江を、北京・南京・武漢・三峡・重慶・四川・雲南・チベットへと向かった壮大な作品。約2年かけて、都会から地方都市、そして秘境へと中国を横断しています。竹内さんは2010年に『長江 天地大紀行』の撮影でほぼ同じルートを撮影していますが、これらの撮影を通じて気付いたことをお聞かせください。

僕自身が中国語を話せるようになり、撮影対象者と本音で対峙できるようになったことは大きな変化です。前回は通訳の方にお世話になり、「お客さん」として撮影していましたが、今は長江沿いに住み、自分でコミュニケーションがとれます。だから撮影対象者の方は素顔を見せてくれて、食卓や台所まで招いてくださいました。「友人」として撮影したからこそ、中国の素顔を伝えることができたと思います。

僕が歩いたルートは、都会の超富裕層が住むエリアから、少数民族が昔からの生活を続ける秘境まで及んでいます。ひとつの国とは思えないほどの多様性もこの作品の見どころ。実際に走破して、約10年前と大きく違ったと感じたのは、情報化により文化が変わったことでしょうか。例えば、ある少数民族では、この約10年の間に「18歳になった女性は結婚する」という村の掟が変わっていました。

かつて訪問した、2010年当時、18歳の女性は親の決めた結婚相手に嫁ぐことが掟でした。しかし、2021年に再訪したときは、20歳以上の独身女性がたくさんおり、理由を聞くと「結婚したくないから、一生独身でいる」とのこと。彼女たちはスマホを通じ、TikTokなどで世界や上海など都会の価値観を知り、行動が変わっていったようです。マッチングアプリも使っていると言っていました。

中国は儒教の影響が強く、家父長制が強いと言われています。しかし、中国全土において、この10年間で女性の地位は向上しています。企業や団体の主要メンバーの多くに女性が多く、現場でいきいきと働いています。それは『ファーウェイ100面相』を見ても感じると思いますよ。

――この『ファーウェイ百面相』(原題『華為100張面孔』)も今回、日本で上映されます。この作品は、2022年3月、SNS『微博(ウエイボオ)』の動画再生数が全中国で1位を記録。多くの中国人に支持されました。竹内さんは中国のビジネスシーンに詳しいですが、日本との違いはどこにあるのでしょうか。

たくさんありますが、特徴的なのは中国のビジネスはトップダウンだということ。トップ同士がプロジェクトの内容と目標をまとめ、下にいる人はそれをより良くするためにブラッシュアップに全力投球します。結論ありきでスタートするので、無駄がないのです。

一方、日本では下の立場の人から、顧客開拓をして、プレゼンを繰り返して承認を得ながらトップまで上げていくという、ボトムアップ方式。それだといくら努力しても上の人がダメだと言えば、それまでかけた工数と時間が無駄になってしまう。どちらがいいかは別問題ですが、ここに違いを感じます。

また、見た目より実を取るのも、中国の特徴です。日本の企業と仕事をするときに毎回驚くのは、パワーポイントで作られた美しい資料です。僕は多くの中国企業と仕事をしていますが、この10年パワポの資料を見ることが減りました。ついでに紙で印刷さえしない企業も多いです。プレゼン時の資料は要点を箇条書きしたテキストのみで、それを説明するだけで終了する企業もあります。「内容がわかればいい」という考え方なのです。資料作りに時間をかけず、決定も早いから自ずと仕事のスピードは速くなります。

――「周回遅れ」とまでは言わないにしろ、日中のスピード感に差があることはわかります。竹内さんの著書『架僑 中国を第二の故郷にした日本人』(2022年・KADOKAWA)にも現地のビジネスパーソンや若者の姿がいきいきと描かれていました。

ビジネスのやり方とスピード感については、双方の長所と短所を知り、受け入れていけばいいと思います。ただ、「私のやり方に従え」という強権的な振る舞いは通用しません。中国は地方によって文化が異なります。これから中国でビジネスをする人や留学をする人は、『再会長江』を見るとローカライズ(文化の最適化)のヒントも得られると思います。

なぜ相互理解が進まないのか?

――竹内さんは、日本の映像制作・編集技術を用いつつ、中国でドキュメンタリー映像を作り続けています。現地の対日感情のリアルをお聞かせください。

対日感情については、僕の知る限り「ない」といってもいい。確かに、第二次世界大戦時の歴史はありますが、世代が交代しています。10~50代の中国人の多くは日本のドラマやマンガに親しんでおり、日本に対するリスペクトは強い。僕は中国版グリーンカードである『外国人永久居留身分証』を取得して中国で生活していますが、差別を受けたことはありません。むしろ日本人だからと親切にしてもらうことが多いです。

だから、日本人が中国人を下に見たり、留学生などが差別を受けている現実を知ると、とても悲しくなります。今回、「竹内亮のドキュメンタリーウィーク」で上映する作品を観てもらうと、相互の誤解が溶けていくと思いますよ。

――日本において、中国は独裁国家で強権的だという意識も強いです。前代未聞のロックダウン、人権を無視したゼロコロナ政策などに、恐怖を覚えた人も多いです。

確かにあの政策はやり過ぎだと僕も思いました。でも、中国国民は14億人もいて、民族もバラバラです。これは僕の意見ですが、中国国民の多くは自由で勝手気ままな気風が強いです。多くの日本人のように「上に言われたら従う」という国民性ではないと感じます。それゆえに、権力で押さえつけなければ、何も進まない事情があり、その上で国をまとめるための政策だったと感じています。

なんでもそうですが、一部の意見だけを見て、それが全てだと思っては、物事の本質、社会全体が見えなくなってしまいます。日本の常識で考えるのではなく、現地に行ってみると気づくことも多いです。

今回、上映される『お久しぶりです、武漢』は、1000万人がロックダウンした、武漢市のコロナ復興をテーマにしています。政策のポジティブな面と、混乱で生じた市民の被害やロックダウン下の人々も紹介しています。

竹内さんの作品を観て、何を感じるか……そこで考えたことは、きっとビジネスの血肉にもなるはずだ。

「⽵内亮のドキュメンタリーウィーク」

2023年5⽉19⽇~25⽇「⾓川シネマ有楽町」にて4作品を上映
https://www.wanoyume.com/jp/takeuchi-ryo-documentary-week
約6300キロの大河・長江を源流までたどった『再会⻑江』。コロナ禍の武漢を3年間独自取材した『お久しぶりです、武漢』。四川省の山奥の最も貧しい地域で少数民族の生活を追った『⼤涼⼭』。3年の密着取材で最先端企業の活動に密着した『ファーウェイ 100 ⾯相』 を公開。19日の『再会長江』の初回上映には小島瑠璃子さん登壇、それ以後のすべての回でも上映後にトークイベントが入り、様々なゲストも参加する。


<ゲストリスト(50音順)>
阿部力(俳優)/熊江琉衣(モデル・タレント)/小島瑠璃子(タレント)/周来友(ジャーナリスト)/朱建栄(大学客員教授)/徐静波(ジャーナリスト)/段文凝(中国語講師・タレント)/中国女子の呟き(インフルエンサー)/陳淑梅(大学教授・NHK テレビ中国語ナビ講師)/富坂聰(大学教授)/東京大明白(動画クリエイター)/むいむい(YouTuber・通訳MC)/山下智博(プロデューサー)/ヤンチャン(YouTuber)/李姉妹(YouTuber)

竹内亮(たけうち りょう)/1978年生まれ。ドキュメンタリー監督・番組プロデューサーとして、多くの映像を制作。2013年に中国人の妻と中国に移住し、翌年南京市で映像制作会社「和之夢文化伝播有限公司」を設立。2021年Newsweekの「世界が尊敬する日本人100」に選出。同年、江蘇省人民対外友好協会から“江蘇省人民友好使者”杯受賞。2023年Weiboの微博红人节(インフルエンサーアワード)で、「2022年度 最も商業価値の高いインフルエンサー」「2022年度 トップ動画クリエイター100」等に選ばれる。文化人として中国の人気トーク番組などの出演多数。中国で絶大な人気を博している中国在住日本人。YouTubeチャンネル『竹内亮の中国ここだけの話』などで日本人向けにも情報発信をしている。

取材・文/前川亜紀 撮影/ANZ

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