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海外事業好調で大躍進、ユニクロの業績が絶好調でも油断できない理由

2023.05.18

中長期的なファンを抱えることができるかどうかがポイント

ユニクロの海外事業は、2022年8月期の売上収益が前期比20.3%増の1兆1,187億円となりました。このときも中国エリアは不調で、中国の売上収益は前期比1.2%の微増に留まりました。大幅な増収となったのが、アメリカとヨーロッパでした。

ロシアがウクライナに侵攻したのが2022年2月。ファーストリテイリングは、2022年8月期上期のヨーロッパにおいて防寒衣料の販売が特に好調だったと説明しています。また、この年はドイツやイギリスでは記録的な猛暑に見舞われました。下期も機能性の高いユニクロの服が売れたのでしょう。

2023年8月期の海外ユニクロ事業の売上収益は、上期の売上構成比率と通期の業績予想を加味して独自に計算すると、1兆3,000億円を突破する見込みです。

決算説明資料より

ヨーロッパ特需の影響に加え、中国のゼロコロナ政策が終了して日常生活が戻ることも、業績の伸長に一役買うでしょう。

アメリカのユニクロは、コロナ禍を迎える前の2019年8月期は未だ黒字化できておらず、苦戦していました。ヨーロッパは売上規模が1,000億円で海外事業全体への収益貢献は1割程度と小さなものでした。

2023年8月期の海外事業の一番のポイントは、ユニクロが中国依存から脱しつつあることであり、伸びきらなかったアメリカ・ヨーロッパで業績拡大の糸口を見つけたことです。

ユニクロはZARAやH&Mのように新たなデザイン、トレンドを取り入れるタイプのブランドではありません。機能性を高め、普段着として身に着けるというポジションを獲得しました。

日本ではシンプルなデザインが親しまれていますが、アメリカやヨーロッパではそれが浸透しきっていませんでした。そのため、売れ行きが天候に大きく左右されていたのです。

コロナ禍やエネルギー不足に端を発する生活の大変動により、アメリカやヨーロッパではユニクロの服を手にする人が増えました。この変化を捉えて成長できるかどうかが、ユニクロの一つの分水嶺となるでしょう。もし、これが単なる特需の影響だったとすると、ユニクロの海外事業は伸び悩む可能性があります。しかし、新規購入者をリピーターに引き上げることができれば、更なる業績拡大に弾みがつくでしょう。

取材・文/不破 聡

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