JAL、ANAの狙いは国内線需要を〝コロナ前以上〟の水準に引き上げること。その起爆剤となるのはインバウンドか、新しいマイル経済圏か──。コロナ禍でアップデートされた最新情報を紹介する。
JALはインバウンド、ANAは非航空事業を強化
コロナ禍を経た今年、復調してきた国内線を経営の基盤とするため、各社は大きな転換をした。
JALは今年4月、運賃体系の大規模リニューアルを実施。これまで9種類で展開していた国内線の運賃ラインアップを3種類に集約した。運賃体系をシンプルにした狙いについて航空アナリストの鳥海さんはこう解説する。
「ポイントは『国際線基準』への統一です。運賃体系の簡略化もそうですが、複数区間の乗り継ぎを行なった際に、国際線の乗り継ぎのように区間全体から運賃を算出するようにも変更しています。インバウンドで来日する観光客にもわかりやすく国内線を使ってもらいたいという狙いがあるのでしょう」
一方で、ANAはアプリを使った戦略に力を注いでいる。
「昨年4月『ANAアプリ』がリニューアルし、オンラインチェックインなどがよりスムーズになりました。また昨年10月には『ANAマイレージクラブ』アプリをリリース。マイルを貯める・使うの導線を整備し、〝非航空〟分野でのタッチポイントを増やそうという狙いが見えてきます」(鳥海さん)
TOPIC 01|JALが国内線運賃を全面リニューアル、利用しやすくなった割引制度
〈POINT 1〉運賃体系がシンプルに。〝なるはや〟で買うのがお得
国内線の運賃体系がこれまでの9段階から3段階に統合された。搭乗日当日まで購入できる「フレックス」、前日~21日前で購入できる「セイバー」、28~75日前に購入できる「スペシャルセイバー」だ。これまでどおり、できるだけ事前に予約しておいたほうが安く買えるという基本的な部分は変わっていない。
3つの運賃体系に変更でわかりやすく
〈POINT 2〉 「往復セイバー」と「子供料金」でさらにお得に
往復チケットの購入で、さらなら割引が受けられる「往復セイバー」という枠組みを新設。また、変更以前は予約日にかかわらず「小児普通運賃」と定めていた子供料金を、フレックスやセイバーの運賃から25%の割引額で算出する「ディスカウント方式」を採用している。〝早いタイミングで予約する子連れ旅行〟がよりお得になるはずだ。
往復セット購入の「往復セイバー」がマスト!
以前まで割引運賃には往復割がなかった。しかし、変更後5%割引がある「往復セイバー」が導入。往復航空券の同時購入時でしか適用されないので注意しよう。
※行き8月21日、帰り8月23日の最安料金
子供割引は早割運賃から25%オフできるように
〈POINT 3〉国内特典航空券の使い方に要注意!
マイル利用の国内線特典航空券にも変更がある。「搭乗希望日の前日までの予約」なのは変わらないが、予約後の便変更は不可となり、便変更をしたい場合には一度キャンセルをしたうえで再予約が必要だ。キャンセル時には1名・1特典当たり1000円がかかる。左図に主な変更点をまとめた。
特典航空券の主な変更条件