裁判所の判断は?
裁判所は「解雇は有効ね」と判断。いろいろと問題を起こしていたからです。
しかし!「給料の減額はダメ〜。Xさん同意してないじゃん。約324万円払いなさい」と命じました。
ーーー 会社さん、不服そうですね。
会社
「だって、Xさんは説明会で異議を述べなかったし、それから3年間も文句を言わずに給料をもらい続けてたんですよ。これは減額した給料に合意してた証拠です」
裁判所
「のんのん。異議を述べなかった=合意【じゃありません】」
ーーー なぜですか?
裁判所
「給料って最も大事な事柄じゃないですか。なので、給料の減額について合意が成立したというためには、ココロから納得していたことが必要なんです(むずかしい言葉でいえば【真意に基づいて減額を受け入れたと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在】することが必要)
ーーー ココロから愛しますレベルの熱いヤツですね!
裁判所
「・・・・」
ーーー こ、今回はどうでしたか?
裁判所
「Xさんが真意に基づいて減額を受け入れたとはいえないですね。理由は以下のとおりです」
==== 理由 ====
・対象者がたった3名なので説明会などで反対の声を上げることは難しかった
・減額幅が20%という強烈なものなのに緩和措置や代替的な労働条件の改善策は盛り込まれていない。
・説明会での社長の説明は抽象的だ
Xさんらの理解を得るために財務諸表などの資料を示して説明をしたわけじゃない
裁判所
「というわけで減額合意は成立してません」
「会社さん!未払い分の約324万円を払いなさい」
社員は弱い立場
社員は弱い立場なので、裁判所は給料のダウンについて「ココロの底から合意してたのか?」を慎重に判断します。
社員としては、今回のように「なんか納得いかね〜な〜」と思いながらも経営陣に声を上げにくいからです。少人数の企業なら特に。
Q.
ダウンした給料を受けとり続けたとしても戦える可能性はあるんですね?
A.
そうですね。他の裁判でも社員さんが勝ったケースがあります(医療法人大生会事件:(大阪地裁 H22.7.15)一方的に給料が減額されてそれを受けとり続けていたケースです。
しかし!
裁判官によっては「文句を言ってないんだから同意してたってことでしょ」と判断する可能性もあります。
だって、どんな業界にも突拍子もないことを言うヤツは1%くらいいるじゃないですか(林よ、オマエもな)
なので、一方的な減額に納得できない方は早めに動きましょう。
▼ 相談するところ
まずは労働局がいいですね(相談無料・解決依頼も無料)。
労働局からの呼び出しを会社が無視することもあるので、そんな時は社外の労働組合か弁護士に相談しましょう。
今回は以上です。「こんな解説してほしいな〜」があれば下記URLからポストして下さい。ではまた次の記事でお会いしましょう!
取材・文/林 孝匡(弁護士)
【ムズイ法律を、おもしろく】がモットー。
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