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2022年度の倒産件数は6799件、前年度から800件以上の大幅増加

2023.04.27

今後の見通し

企業倒産「潮目」が変化 22年度は3年ぶり増加、コロナ融資返済本格化前に

2022年度の倒産件数は前年度を883件上回る6799件が発生し、3年ぶりに増加した。22年5月以降、23年3月まで11カ月連続して前年同月を上回っており、増加期間はリーマン・ショック後の08年6月-09年8月(15カ月連続)にせまった。

特に3月は800件(前年同月587件、36.3%増)となり、長く続いた月間500件台の水準を大幅に超えて単月としてはコロナ禍直後の20年7月以来2年8カ月ぶり、3月としては17年以来6年ぶりに800件台を突破した。

23年度半ばと想定されるコロナ融資の返済本格化を前に足元の企業倒産は増加基調を強めており、倒産動向の“潮目”が明らかに変わりつつある。

2022年度の倒産動向の特徴は、手厚い資金繰り支援が終了したところに「物価高(インフレ)」「人手不足」「コロナ融資」「円安」など四重・五重の苦境が襲い、事業継続を断念した中小企業が多い点だ。

「物価高倒産」や「コロナ融資後倒産」はそれぞれ前年度から急増、「人手不足倒産」も建設や運輸業を中心に146件判明し3年ぶりの増加となった。

負債総額は5年ぶり2兆円台 倒産の7割が中小零細

負債総額は2兆3385億9100万円となり、2021年度(1兆1828億7100万円)のほぼ2倍に膨らんだ。1兆円を超える負債を抱えて経営破綻した自動車部品製造のマレリHD(22年6月民事再生)、有機ELディスプレイ製造のJOLED(23年3月同)など、負債100億円を超える大型倒産が12件発生し、4年ぶりに前年度を上回った。

2022年度の負債総額はエアバッグ製造大手の「タカタ」(17年6月民事再生)が破綻した17年度(2兆5932億2600万円)以来、5年ぶりに2兆円台を超えた。

企業倒産の7割超が負債1億円に満たない中小・零細企業で占める状況に変わりはないものの、20年度をピークにその割合は低下している。一方、負債1~10億円クラスの割合は高まり、中堅クラスの倒産も増加の動きが強まっている。

2023年度は「ゾンビ」の動向注視 抜本的再生が必要な企業は3万社規模

帝国データバンクの推計では、稼いだ利益で借入金の利子を支払えない、国際決済銀行(BIS)の定義に基づく「ゾンビ企業」の数は、2021年度に全国18.8万社にのぼる。

20年度(推計16.6万社)から2年連続で増加するなど増加傾向が続いており、自社の経営体力に見合わない過大な借入金を背負った中小企業の出口戦略が早急に求められている。

実際、推計した18.8万社のうち、経常赤字など「収益力改善」が課題の企業(=経常赤字)はゾンビ全体の6割に上る。また、「過剰債務解消」や、債務超過など「資本力の改善」が課題の企業もそれぞれ4割前後を占め、これら3つの課題がすべて該当する企業も約2割の3.3万社を占めた。

これらゾンビはすぐに倒産するわけではないが、年間倒産件数の約5倍に匹敵する規模の企業が“潜在的な倒産リスク”を抱えていることを示している。

コロナ融資の返済本格化や今後予想される金利上昇局面などを踏まえると、これらの企業群が事業継続を断念し、倒産件数を押し上げる影響力は過小評価できない。

企業倒産、コロナ前水準への到達視野に緩やかな増加局面続く

国内景気はアフターコロナに向けた前向きな動きが加速している。企業の景況感を示すTDB景気動向指数(DI)も、2022年度中は期初→期末にかけて3.1ポイント改善し、17年度(+3.9)以来5年ぶりの景気改善幅を記録した。

こうした局面では、「景気の変わり目に倒産が増える」と謂われるように、仕入増や人件費増、設備増強に伴う運転資金需要に資金調達が追い付かない「黒字倒産」の発生も懸念され、今後の倒産増加を後押しする可能性がある。

コロナ禍の企業支援として特例的に認められた社会保険料など公租公課の支払い猶予も終了し、滞納が続く企業ではその支払いが強く求められるようになる。各種コスト増も重なり、こうした資金繰り負担に耐えきれない中小企業の「淘汰」「選別」が一段進む可能性もある。

2023年度の企業倒産は、コロナ禍前の水準(年間8000件台)も視野に、緩やかな増加局面が続きそうだ。

<調査概要>
集計期間:2022年4月1日~2023年3月31日
発表日:2023年4月10日
集計対象:負債1000万円以上法的整理による倒産
調査機関:株式会社帝国データバンク

出典元:帝国データバンク

構成/こじへい

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