業種別の自己資本比率の目安
自己資本比率は業種によって違いがあります。同じ業種にもかかわらず、極端に高かったり低かったりする場合は注意が必要です。業種別の自己資本比率をチェックし、自社と比べてみましょう。
製造業、卸売業、小売業の目安
『2022年経済産業省企業活動基本調査速報(2021年度実績)調査結果の概要』によると、2021年度の継続企業主要産業の1企業当たりの自己資本比率は、製造業が51.2%、卸売業が39.5%、小売業が44.1%です。
2020年度のデータと見比べると、製造業が0.2%、小売業が1.5%上昇していました。卸売業は前年より0.8%減少しています。
※継続企業とは、前年・当年ともに調査票の提出があった企業を指す
参考:経済産業省企業活動基本調査 統計表一覧-速報(概況) 2022年企業活動基本調査速報-2021年度実績- | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口
自己資本比率を上げる方法
自己資本比率が低いと投資が集まりにくく、経営の安定性に欠ける心配があります。あまりに低い状態が続いている場合は、対処が必要です。自己資本比率を上げる上でどのような方法があるのか確認しましょう。
他人資本を減らす
金融機関からの借入を減らし他人資本の割合が少なくなれば、分母となる総資産が減るので、自己資本比率が上がります。
そもそも資金が足りないから借りているわけですが、必要がないのに過剰に借りているというケースも考えられます。『借入金が必要最低限に抑えられているか』を、点検してみましょう。
返済できる分は早めに返し、できるだけ掛けで買わないようにするなどの工夫も効果的です。繰り上げ返済をすればそれだけ支払利息が減るため、返済総額を減らせるといったメリットもあります。
経営を黒字化させ利益剰余金を増やす
多くの利益を出して利益剰余金を増やす方法も、自己資本比率を上げることにつながります。利益剰余金は企業の自己資本であり、返済の必要がない純資産です。利益を積み立てることで、増やしていけます。
経営を黒字化させるには『経営計画』を練り直し、あらゆる角度から目標経常利益を確保する方法を考え出さなければなりません。
成り行きにまかせていると、資金不足に陥り赤字の状態になります。何も対策をしなければ、自己資本比率を上げられないばかりか、金融機関からの融資を受けるのも難しくなってしまうでしょう。
不要な設備や固定資産の処分
事業に使用していない建物や土地などがあると、管理費や税金がかかります。ほとんど使用していない倉庫や事務所などを所有し続けても、出費が増えるだけです。
持っているだけで損をしている状態になってしまいます。長期にわたって利益を生み出していない資産がないか調査し、不要なものは思い切って処分しましょう。
処分すれば、出費を抑えられるだけでなく総資産額が小さくなり、自己資本比率を上げられます。売却したお金を返済に充て、他人資本の割合を減らすことも可能です。
増資により資本金を増やす
増資によって自己資本が増えれば、自己資本比率を高められます。増資とは資本金を増やすことです。金融機関などからお金を借りる場合とは違って資本金には返済の必要がなく、利子もないので資金繰りが悪化する心配がありません。
増資には、新たに株式を発行する『有償増資』と、利益剰余金や資本準備金を資本金に組み入れる『無償増資』があります。
どんなときでも簡単に増資できるわけではなく、債務超過の状態では出資してくれる人を見つけにくい点や、根本的な解決にならない場合がある点に注意しましょう。
債務超過に陥っている企業に出資したいとは思わないのが普通なので、ほとんどの場合は経営者が自らの資金を使って、資本金を増やすことになるケースが珍しくありません。
構成/編集部