なぜ文章力のある人は仕事ができる人なのか
――最後にビジネスパーソンが文章力を身に付ける「意義」について教えてください。
藤吉さん ビジネスパーソンにとっては、基本的な文章力の有無が、仕事の成果につながります。文章力はどんな仕事をしていたとしても、活用できるスキルなのです。
また、他のポータブルスキルとも密接に結びついています。ポータブルスキルとは「どんな仕事をしていても、どこで働いていても必要になるスキルのことです。文章力をアップすると身に付く代表的なポータブルスキルは1)論理的思考力、2)読解力、3)コミュニケーション力、4)言語化する力、の4つです。
1)論理的思考力とは情報を整理し、筋道を立てて説明する力のことです。整合性のある企画やプレゼン資料をつくることができるので、評価を得やすくなります。
2)読解力とは言語化された情報を正確に読み解く力のことです。必要な情報を探したり、情報を精査して自分の考えをまとめることができるようになります。
3)コミュニケーション力とは自分の考えを正確に伝える力です。文章を使ったコミュニケーションは会話以上に「相手の立場に立って考える」姿勢が求められます。読み手を意識して書くことで、コミュニケーション力の向上が可能です。
4)言語化する力とは「頭の中のアイデアや気持ち」、「目の前の状況」を的確に表現する力のことです。現場の状況を正確に報告できるようになれば、上司や部下からの信頼を得やすくなるでしょう。
ビジネスの土台ともいうべき文章力。「速く、わかりやすく、正確に」情報をつたえる技術を、ぜひみなさんもすぐに習得して欲しいと願っています。
――ありがとうございました。
文章力をアップさせることは、単に業務の効率化につながるだけでなく、自分の評価にも関係すると知って、ますますやる気になった。藤吉先生の言葉を胸に、文章力をもっとアップさせたい。
※文中「藤吉」の「吉」は正しくは「士」ではなく「土」の下に口
インタビュー藤吉 豊さん
株式会社文道代表取締役。編集ユニット「クロロス」のメンバー。日本映画ペンクラブ会員。編集プロダクションを経て、出版社にて自動車専門誌2誌の編集長を歴任。2001年からフリーランス。文化人、タレントなど、インタビュー実績は2000人以上。ビジネス書の編集協力に注力し、200冊以上のライティングに携わる。大学生や社会人に対して、執筆指導も行なっている。著書に『「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』、『文章術が、最強の武器である。』『「社会人になったらすぐに読む文章術の本」』などがある。
聞き手/柿川鮎子