リモートが定着してチャットやメールで伝達する機会がどんどん増えている。自分では普通に書いたメール文章なのに、誤解されたり、間違って伝わることがあって、改めてビジネス文章について学びたくなった。
今回はビジネスパーソンのための文章作成指導も行っている(株)文道の藤吉豊さんに、リモート時代のメール文章作成のポイントについてインタビューしてみた。
文章には、『読み手を前向きにする力』がある
――藤吉さんは2百冊以上の書籍のライティングに関わってきた文章の「超」プロフェッショナルですが、先生が文章の道を極めるきっかけは何だったのでしょうか?
藤吉さん 「これ」という、決定的なきっかけがあったわけではありません。ですが、「文章には、『読み手を前向きにする力』がある」ことをジワジワ意識するようになって、「であれば、その力をもっと磨き、伸ばし、極めていきたいな」と。
僕は自分のことを、「著者と読者を『文章』でつなげる人」だと思っています。「著者→ライター(藤吉)→読者」といった関係ですね。著者の持つノウハウを、ぼくが文章化する。その文章を読者に届ける。読者が読む。著者と読者の文章を介した対話の中で、読者は気づきを得たり、課題を解決したりします。
英語を教えることも、経営を教えることも、健康法を教えることも、お金の稼ぎ方を教えることも僕にはできない。でも僕が「文章の道」を極めていけば、英語教師や医師やコンサルタントに話をうかがい、彼らの知見を「わかりやすく、正確で、読みやすい文章にする」ことができるはずです。
――現在は文章作成を主な業務とする(株)文道という会社を経営されていますが、どうやって文章力を身に付けたのでしょうか?
藤吉さん 僕の場合は「量」、つまり「たくさん書く」ことで身につきました。
大切なのは、「実践」ではないでしょうか。たとえば、ゴルフの入門書を読んだからといって、すぐに「100切れる」わけではありませんよね。入門書を読んだら、練習場に行って実際にボールを打ってみる。ああでもない、こうでもないと試行錯誤を繰り返しながら、少しずつ上達していきます。練習は裏切らない。練習量は結果に比例する。文章力も同じではないかな、と。
「書く→フィードバックをもらう→自分の書き方のクセを知る→次に生かす」という経験を繰り返すことで、文章力は伸びていきます。