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産業廃棄物処理施設と里山が共生するサステナブルフィールド「三富今昔村」誕生秘話

2023.03.15

■連載/阿部純子のトレンド探検隊

「廃棄物を再資源化するプロセスが体感できる工場見学」の記事はこちら

埼玉県三芳町にある「三富今昔村」は、産業廃棄物中間処理業の石坂産業が運営する体験型施設で、自然との共生を目指して作り上げた “サステナブルフィールド”だ。

都心から車で1時間ほどの場所にあり、くぬぎの森、ビオトープ、アスレチック、カフェ、工場見学など、子どもから大人まで楽しめる施設が充実しており、四季折々で様々な楽しみ方ができる。

建築系廃棄物処理を扱う石坂産業は、廃棄物の98%を資源に再生するという建築系廃棄物リサイクルのトップ技術を持つ企業で、「廃棄物の再資源化」と「里山保全」の2本の「循環」を大きなテーマに掲げ事業活動を行っている。

かつては不法投棄のごみの山だった場所を里山に戻し、保全活動や環境教育を積極的に行っている石坂産業の取り組みについて、石坂産業 専務取締役 石坂知子氏に話を伺った。

所沢ダイオキシン問題の誤報がきっかけで地域・自然と共存する道を模索

石坂産業が環境問題に取り組むきっかけとなったのが1999年の「所沢ダイオキシン問題」。所沢の葉物野菜から高濃度のダイオキシンが検出されたとニュース番組で報道され、結果的にこれは誤報だったが、地域住民の同社に対する風当たりは強く、農業と産廃は共存できないと大規模な反対運動が起こった。

「1997年に他社に先駆けてダイオキシン恒久対策炉にリニューアルした、そのわずか2年後に所沢ダイオキシン問題の誤報が起きました。当時この一帯は、自社のみならず他社の煙突も58基建っていたことから『産廃銀座』と呼ばれており、その中で一番真新しく背の高い煙突を建てていた当社がターゲットになったのです。

地域住民による『石坂産業の煙を止める会』が発足、24時間監視小屋が建てられ、毎日のようにマスクをして騒音測定器を持った方々が工場周辺をパトロールしていました。

ダイオキシン対策を行ってきたのにターゲットにされ『ごみを出すのは誰ですか?』と反論したい気持ちをぐっと抑えていました。その渦中に2代目社長に就任した石坂典子が中心となって、里山保全や事業改革を進めていくことになったのです」(石坂氏)

石坂産業のある三富地区は江戸時代から開拓され農作地が多く、地元の農家では雑木林を保有し、落ち葉を発酵させて堆肥にする循環農法が行われており、三富地区の「落ち葉堆肥農法」は日本農業遺産にも認定されている。しかし時代を経て雑木林を管理できなくなり、同社周辺のうっそうとした里山は不法投棄の温床になった。

「ごみが散乱する林は、『かつてはヤマユリが自然に群生していた里山だった』と地権者の方からお聞きし、里山を保全することがミッションではないかと、不法投棄されたゴミを拾う『里山再生プロジェクト』を2000年からスタート、同時に地域の『公道のごみゼロ運動』という清掃活動も社員と経営陣で始めました。

当初、『あなた方の工場に来る客が汚しているのだから片付けるのは当たり前』という地域の声が次第に変わっていき、『いつもきれいにしてくれてありがとう』と感謝の言葉をいただくようになり、社員のモチベーションも上がっていきました。

社員の家族も参加して人数が増えていき、ダイオキシン誤報の時に対応していたNPO法人もその活動に参加したいと申し出ていただき、今では一般、NPO法人の方々も含めた活動になりました。

回収したごみの量は東京タワー、スカイツリーの高さを超え、残念ながらそれだけ多くのごみを拾い続けてきたことになります。本来守られるべき“ごみを捨てない”というモラルが定着するまで、この活動は続けていきます。

ダイオキシン問題で反対運動をしていた方のお子さんも大学4年生で清掃活動に参加、さらに石坂産業で働かせてくれないかと申し出があり正社員として採用し、結婚、出産を経て、現在も社員として働いています。

細々と長く続けてきた活動により、地域の方に『誇り』と言われるまで変化したことは大きな成果でした。始めたときはここまで大きくなるとは想定していませんでしたが、点と点がつながり線となり、ようやく今、面となりつつあると感じています」(石坂氏)

減量化・再資源化率98%の屋内型の再資源化プラントは一般の見学も行っている。地域にほこりや騒音を出さないようにプラントはすべて建物内に入れており、業界でも革新的な取り組みとして注目された。

「ごみとして捨てられてしまうものを新たな資源に変えていく仕事に誇りを持っており、だからこそ地域に必要とされる会社になりたいという思いで活動を続けてきました。

工場見学も当初社内では『誰がごみを見に来るんだ?』と賛否両論ありました。しかし、私たち経営陣もまだ20代で若かったこともあり根拠のない自信があったのです。社員が汗水たらして手でごみを選別している姿を見てもらえれば、ごみを出すことについて考えるきっかけになり、きっと多くの方が石坂産業のファンになってくれるのではないだろうかと。社員も、自分から見せ方を工夫する、社内をきれいな状態にするなど意識が変わり、相乗効果もありました。

産廃業界の価値を高めたいと活動してきましたが、直線型のリニアエコノミーから、循環型のサーキュラーエコノミーに変わり、川上も川下もない状態になりつつある今こそ、多くの方々に発信しなければと考えています。

里山保全や体験型の環境教育を展開しながら、本業である中間処理を知ってもらい、ごみを出すだけの暮らしを見直し、ライフスタイルを変えてもらうきっかけ作りになればと思っています」(石坂氏)

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