スターバックスのヴィーガンメニュー
世界的に展開しているチェーン店、スターバックスコーヒーは、他のチェーン店よりも早い2018年に世界各国でヴィーガン、ベジタリアンメニューを加えた。
ひよこ豆で作られたファラフェルを使用したメニューが初期のヴィーガンメニューで、中東なども含むほぼ全世界の店舗で販売を始めた。
ドリンクメニューでも、牛乳に変わる豆乳やアーモンドミルク、オーツミルクに代えられてヴィーガンになるのは日本でもお馴染み。
ウィーンでももちろんその選択肢はあるが、それ以外にもいくつかヴィーガンメニューが揃っている。
店頭に並ぶベジタリアンとヴィーガンのサンドイッチ。メニュー表示に「Vegitarian」「Vegan」と記載されていて一目で分かりやすい。
「ヴィーガンフィレストライプ&ベジタブルフォカッチャ」は大豆プロテインで作られたストリップス、グリル野菜、ほうれん草、オリーブペーストとバジルペーストをフォカッチャに挟んだものだ。
そして「ベジタリアンシーザーバゲット」は大豆プロテインで作られたヴィーガンのストリップス、シーザードレッシング、パルメザン、ドライトマトとサラダが挟まったバゲットでベジタリアン対応だ。
ヴィーガンのデザートもある。ストロベリークリーム、スポンジ生地、チョコレートチップが使われている「ヴィーガンストロベリースタック」、シナモン、アーモンドなどを使ったアップルパイ「ヴィーガンアップルケーキ」、ミューズリーとベリー類が入ったグラス入りデザート「ヴィーガンベリームーズリー」がヴィーガンだ。
リンゴとシナモン、アーモンドが入ったヴィーガンのアップルパイ
ダークスポンジの上に豆乳で作られたクリームと、フレッシュストロベリー、チョコチップが乗ったヴィーガンのストロベリーケーキ
肉だけではなく、植物性100%の魚も登場
1869年にドイツ・ブレーメンで開業した魚の加工会社が始めたレストランチェーン店「ノルドセー」。主にドイツとオーストリアに店舗展開するこのレストランは、シーフードを扱うファーストフード系レストラン。
このチェーン店では植物性100%の魚も登場。ドイツ語で魚を意味する「Fisch(フィッシュ)」ではなく、V「Vegitarian(ベジタリアン)」や「Vegan(ヴィーガン)」の「V」を付けて「VISCH(ヴィッシュ)」と名付けられた。
ノルドセーのカウンターに並ぶテイクアウト用の植物性成分で出来た”フィッシュ”バーガー。見た目は普通の魚製品と全く変わらず。
ヴィッシュ自体は大豆など100%植物性成分で作られているが、調理過程で通常の魚を使った商品商品と分けられていないのでヴィーガンではない。
魚のフィレのようなフライとサラダをバゲットに挟んだ「バックヴィッシュバゲット」、大豆プロテインで作られた”シュリンプフライ”は単品でも頼めるほか、バゲットに挟んだものもある。
ヴィーガンメニューは、大豆プロテインで作られたツナとミックスサラダを雑穀粉のパンに挟み、チェダーチーズのようなソースまで付いている「スパイシーツナバゲット」、植物性成分で作られたスモークサーモン、レモンソース、ミックスサラダ、トマトをカボチャの種の入ったパンで挟んだ「スモークドフラットブレッド」がある。
ヴィーガンとすぐに分かるように「V」のサインが付いているサンドイッチ。野菜もたくさん入っていてボリュームもたっぷりだ。
多様化するニーズに合わせて変化
不健康でジャンキーフードというイメージが強いファーストフードだが、ニーズの多様化に合わせてヘルシーで環境に優しい商品を提供しはじめたのは、近年の大きな社会現象の変化とも連動している。
オーストリアでは、単にベジタリアンやヴィーガンという「好み」というだけの理由ではなく、「なぜ肉を食べないのか」という理由や、「食べるものを選択」することは、サステナビリティに繋がっている事を認識している人も多い。
その為、ファーストフードチェーンも、その時代の流れや人々の考え方に合わせて変化しなければいけない時期を迎えているのだ。
だからこそお店の顔でもある大切なロゴや看板までベジタリアンやヴィーガンをイメージさせる緑色にして、その変化を強調しているのだ。
どのファーストフードチェーン店でも、食材を植物性に代えて既存のメニューを再現したものを作り出していて、値段設定も今まであった商品と同じ価格帯だ。
そしてどれも美味しく、動物性由来のものと味が変わらない商品も多い。どこにでもあって気軽に利用出来るファーストフードチェーン店は、今まではあまり気にしてこなかった人も試せることもあり、これからもこの変化は益々活発になっていくだろう。
<参考リンク>
KFC Veggie
Unsere Produkte – McDonald’s (mcdonalds.at)
Menu | Starbucks
100% veganer BURGER KING® – Burger King®
NORDSEE Plant based Visch: Nordsee.de
文・写真/バレンタ愛
2004年よりウィーン在住。うち3年ほどカナダ・オタワにも住む。長年の海外生活と旅行会社勤務などの経験を活かし、2007年よりフォトライターとしても多数の媒体に執筆、写真提供している。著書に「カフェのドイツ語」「芸術とカフェの街 オーストリア・ウィーンへ」など。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員。