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管理職に求められる3つの「しき」とは?部下を育成できない上司の特徴

2023.01.27

管理職に求められる3つの『しき』

Q、なぜ、社長や役員はそのような見方になるのでしょうか?

森:「管理職とは、こういう仕事をするものなのだ」とふだんから具体的に考えていないこともありえます。多くの会社は、非管理職から管理職に昇格させるとき、たとえば営業部なら稼いだ額など、個人としてのパフォーマンスだけをもとに、「この社員はいい!」と評価する可能性が高い。漠然とした理由で昇格させているから、何かの問題が生じたときも、「どこにどのような問題があるのか」と分解して、具体的に考えることができない。結果として、選んだ管理職を必要以上に性善説で見ることになりかねないのでしょう。

Q、ある意味で怖いですね。大企業であれば一定水準以上の社員が多く、競争も激しく、セレクトもし烈な傾向があるように見えます。部下を育成できない上司は淘汰されていくかに思えなくもないのですが…。

森:大企業ではあるものの、淘汰の仕組みが十分ではない会社は少なからずあります。管理職の中から役員や社長を選ぶ仕組みは整っていたとしても、下位の管理職を淘汰することができていない。「下位の管理職」の中に、部下を育成する力がない人たちがいることが考えられます。

下位の管理職であろうとも、その人は社長や役員、人事部から認められていると思い込むでしょう。仕事の仕方も含め、評価されたと受け止めている人が多いはずです。会社が、そのように仕向けてしまっている側面があることも否定しがたいと思います。

本来、管理職は自らが率いる組織やチームを動かしてナンボ、なのです。そのためには自分の仕事のやり方を標準化し、皆がそれに従えば、ある程度の成果が出せるようにするべきなのです。

日本企業の多くでは、こういう資質や能力を兼ね備えているか否かを管理職に昇格させるときに見極めていない。非管理職のときに、優秀な成績を残したプレイヤーがマネージャーになった後、きちんとしたマネジメントができるとは限らないのです。

とはいえ、トッププレイヤーであることは優秀なマネージャーになる素養を半分くらいはもっているとは私は考えています。高い業績を残し、昇格したならば、マネージャーになった後、しばらくの間は部下たちはある程度、納得するからです。

Q、「しばらくの間」ですか…。その後は、どうなるのでしょうか?

森:2つにわかれていくのです。1つは、化けの皮がはがれていく。ひとりで仕事をしてひとりで成果を上げようとして、部下の育成や指導ができない。もう1つは、試行錯誤をしながらも、チームをつくり、皆のレベルを底上げし、マネジメントを覚えていく。

化けの皮がはがれてしまった人は、数人の部下を率いることはできたとしても、30人の部署の部長や本部長をすることは難しい。ところが、こういう人を部長や本部長にしてしまうから、問題が生じるのです。さすがに役員になる可能性は低いのでしょうが…。

私のこれまでの印象でいえば、高い業績を残して昇格した人の7割ほどは化けの皮がはがれていきます。このことは、昇格のあり方に問題があったことを意味します。本来はトッププレイヤーではないものの、マネジメントの資質がある人を昇格させていくべきなのです。

最近は、社員の研修などをするアセスメント会社の協力を得て、管理職としての資質や素養を確認する会社が増えてきました。例えば、疑似会議をしてその場での会議の進め方や、多くの案件を限られた時間内で処理することができるか否かなどを判断するのです。この結果を1つの参考材料にしていくのです。私は、このような動きは好ましいと思います。

管理職には、生産性の高い仕事のやり方を開発し、標準化すること(式)、部下に目標を持たせ、その進捗状況を管理すること(指揮)、部下とよく話をしてやる気を喚起すること(士気)、の3つの『しき』が求められます。これらができない上司は部下たちから信頼はされない、と思います。

取材を終えて

森氏の指摘どおり、多くの企業では一般職(非管理職)の時の評価で昇格させるか否かをきめる傾向がある。部下を持ち、育成や管理監督ができるか、部署やチームをまとめ上げる力があるかのどうかを冷徹に検討するケースは少ないだろう。

あいまいな基準で昇格させるから、問題が絶えない。しかも日本では、管理職を降格にすることが難しい。多くの企業の人事制度は職能資格制度(成果主義を導入しようとも、この制度が大半)であり、等級が上がった社員を下の等級に下げるのは制度運用上、困難だ。また、法律の壁もある。裁判の判決では基本給の減額をしようとする会社にとっては厳しい内容が多い。結果として、課長や部長が一般職になることはめったにない。

こういう状態が続くと管理職は部下に対し、「常に自分は正しい」と思いがちになる。実は判断や指示、助言や指導の誤りは少なくない。だが、素直に認めるケースはあまりないのではないだろうか。認めなくとも、現在の立場を失うことはまずない。ここにパワハラやいじめがなくならない理由の1つがあるのだろう。

文/吉田典史

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