コンセプチュアルスキルをどう高める?
これまで説明してきたコンセプチュアルスキルを高めるには、具体的に何をすればよいのでしょうか? 一朝一夕で磨くのは難しい能力ばかりですが、以下のポイントを押さえ、自分に足りないスキルを着実に高めていくことが大事です。
物事を抽象化・概念化して捉える努力をする
解決すべき問題・課題に直面した際、その原因と考えられる要素を挙げて、共通点を考えてみましょう。また、問題の原因を洗い出し、それぞれの関係性や重要性を検討してみるのも有効です。
共通点を見つけて抽象化したり概念化したりすることで、その奥にある本当の問題が何なのか分かるようになります。
一方で、抽象的な概念が具体的にどういった事例に当てはまるのかを考えることも大事です。抽象化・具体化を自分なりに繰り返すことで、本質を理解する力が養われます。これらは日常的に取り入れられる考え方なので、地道に取り組んでみましょう。
物事の構造を捉える訓練をする
物事を構成している要素には何があるか考えた上で、全体的な視点から構造を捉える工夫をしてみましょう。
ビジネスシーンで向き合う問題はもちろん、あらゆる事象は複数の要素が絡み合って表出しているので、構造がどうなっているのかを検討することで、最も大きな原因となっている本質的な問題が見えてきます。
要素同士の関係性を正しく理解するには、因果関係や相関関係などを正確に捉える力が必要です。基本となるロジカルシンキングをはじめ、クリティカルシンキングや分析スキルなどを集中的に磨いてみましょう。
定義を明確にして考える
物事の定義を明確にして、話や議論をするように意識することも大事です。定義を明らかにする習慣を持てば、話が伝わりやすくなり、自分の考えも整理しやすくなります。
ビジネスシーンで、会話がかみ合わなかったり、考えがまとまらなかったりする場面は珍しくないでしょう。
そういった場合には、個々の要素を言葉にして明確に定義することで、その性質や位置づけが分かるようになります。問題の全体像が明らかになり、本質的な問題は何か、自分なりに追求できるようになるでしょう。
定義を明確にする習慣は、プレゼンスキルを高める上でも重要です。言葉の意味や定義を明確にしながら論理を組み立てることで、説得力のあるプレゼンが可能になります。
社内でコンセプチュアルスキルを養成するには?
社内でコンセプチュアルスキルを養成するには、日常的にスキルを磨ける環境を作り上げることが重要です。以下のように、チームを組んでケーススタディに取り組んだり、コンセプチュアルスキルを構成する能力を磨くために、研修を実施したりするのがおすすめです。
チームでケーススタディに取り組む
社員にコンセプチュアルスキルの重要性とともに、スキルを高めるポイントを理解してもらった上で、社内研修やグループワークに取り組んでみましょう。
ビジネスで実際に直面する問題をテーマに、ロジカルシンキングやクリティカルシンキング、あるいは状況対応に求められるスキルなどを用いてケーススタディに取り組めば、社員のコンセプチュアルスキルを効果的に高められます。
複数の視点から問題について考え、話し合いの中で本質的な解決策を導き出す練習をすることが大事です。
階層別の研修を実施する
コンセプチュアルスキルの構成要素の中でも、特に社員が高めるべき能力を決めて、階層別の研修を実施してみましょう。
それぞれの立場の社員にどのようなスキルが求められるか、明確にすることが大事です。一般社員向けの研修はもちろん、管理職のための外部研修を提供している業者も存在するので、積極的に活用するといいでしょう。
適宜フィードバックを受けられる環境整備
ケーススタディや研修で必要な事柄を学んだら、日常業務で実践することが大事です。チームや部門・部署ごとに、管理者や周囲から適宜フィードバックを受けられる制度やルールを構築しましょう。
例えば、上司と部下による1on1ミーティングを通じて、日々の業務の進め方や問題解決の仕方について、コンセプチュアルスキルを発揮できたかどうか、フィードバックを受けられる環境にすると効果的です。
さまざまなやり方が考えられるので、自社の環境や業務体制に合った方法はどのようなものか検討してみましょう。
構成/編集部