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管理職やリーダーに求められる「コンセプチュアルスキル」を高める方法

2023.02.26

あらゆる物事の本質を判断し、ビジネス上の問題解決や意思決定につなげる『コンセプチュアルスキル』は、特にリーダーの立場にある人に欠かせないスキルとして知られています。コンセプチュアルスキルを構成する要素や、スキルの磨き方を紹介します。

コンセプチュアルスキルとは何か?

コンセプチュアルスキルは、ビジネスシーンにおける問題解決や意思決定、リスク回避などに必要なスキルで、管理職やリーダーの立場にある人に求められます。まずはスキルの概要から、確認していきましょう。

物事の本質を理解する能力

コンセプチュアルスキルは物事の本質を正確に捉える能力を指し、日本語では『概念化能力』と呼ばれています。ビジネスシーンで頻繁に直面する正解のない問題に対して、その本質を見極め、周囲の納得感を得られる解を導き出す力といえるでしょう。

日々複雑な問題の解決を迫られている、マネジメント職に必要なスキルとして知られています。コンセプチュアルスキルは、ビジネスパーソンに必須とされるロジカルシンキングや多面的な思考、俯瞰力などを含めた、複合的なスキルとされています。

コンセプチュアルスキルが高い人とは?

問題を構成する重要な部分を素早く見極め、冷静に解決できる人が、コンセプチュアルスキルの高い人といえるでしょう。本質的な問題はどこにあるのか、何を解決するべきか、どこにフォーカスすべきかなどをすぐに見極められる人は、リーダーとして優秀です。

何をコンセプチュアルスキルとみなし評価するかは、人によって異なるものの、もともと管理者に必要なスキルとして広く認識されてきたため、問題解決能力と結びつけて考えられるケースも多いでしょう。

問題解決のためには、問題の本質を正確に捉え、定義し、客観的なデータや根拠に基づいて、妥当な解決策を導き出さなければいけません。これらの多くは、後述するコンセプチュアルスキルの構成要素です。

コンセプチュアルスキルの代表的モデル

ノートに書き込むビジネスマン

(出典) photo-ac.com

コンセプチュアルスキルは、提唱した経済学者による基本モデルに加えて、ピーター・ドラッカーによるモデルも有名です。それぞれ簡単に解説します。

ベースとなったのは「カッツモデル」

コンセプチュアルスキルはもともと、経済学者のロバート・L・カッツが1950年代に提唱したモデルがベースになっています。

カッツは企業のリーダーを経営層(トップマネジメント)・管理者(ミドルマネジメント)・監督者(ローワーマネジメント)の3階層に分類し、立場が上になるほどコンセプチュアルスキルが求められると考えました。この考え方が広く受け入れられ、現在でもリーダーに必要なスキルの一つとされます。

最もコンセプチュアルスキルが必要なのはトップマネジメントであり、ミドルマネジメントは主にヒューマンスキル、ローワーマネジメントには主にテクニカルスキルが必要というのが、カッツモデルの骨子です。

「ドラッカーモデル」も有名

カッツモデルでは、管理者の立場が上がるに伴い、コンセプチュアルスキルの重要度が上がるとされます。一方で、マネジメントの発明者とされるピーター・ドラッカーも、コンセプチュアルスキルのモデルを提唱しました。

ドラッカーは、管理者だけでなく、企業のあらゆる役職や社員に、同じだけコンセプチュアルスキルが必要であると説明しています。めまぐるしく変化するビジネス環境において、すべての社員がコンセプチュアルスキルを身に付け、自発性や柔軟性を高めなければならないという考え方です。

近年はドラッカーモデルに基づき、あらゆる社員にコンセプチュアルスキルを身に付けさせるために、さまざまな取り組みを実施する企業が増えています。

コンセプチュアルスキルの構成要素

考え事をするスーツの女性

(出典) photo-ac.com

コンセプチュアルスキルを構成する要素は多岐に渡りますが、大きく「思考に関するスキル」と「状況対応スキル」「物事を探求・追求するスキル」にカテゴライズできます。それぞれのカテゴリーに属するスキルを確認しましょう。

思考に関するスキル

本質的な問題や課題を理解するためには、次のような思考や考え方に関するスキルを身に付ける必要があります。

  • ロジカルシンキング(論理的思考):物事を筋道立てて体系的に考える思考法
  • ラテラルシンキング(水平思考):既存の枠組みや固定観念に固執せず、多角的な視点で自由に発想する思考法
  • クリティカルシンキング(批判的思考):物事の前提や構造を疑い、客観的・俯瞰的に考える思考法

『ロジカルシンキング』はすべてのビジネスパーソンに必要とされる基本スキルで、その重要性は広く知られています。

さらに、既存の枠組みにとらわれず水平方向に発想を広げていく『ラテラルシンキング』や、批判的に物事を捉え、分析することで問題の本質をあぶり出す『クリティカルシンキング』も、特にリーダーが身に付けるべき重要なスキルです。

状況にうまく対応するためのスキル

ビジネスシーンでは、簡単に答えが出せない複雑な状況にも、うまく対応しなければいけません。以下のスキルは、状況を正しく認識し、適切な行動を取るために必要です。

  • 多面的視野:さまざまな視点から物事を捉え、アプローチする能力
  • 俯瞰力:物事を高い視点から捉え、全体像を正しく認識する能力
  • 洞察力:表面上の問題ではなく、その奥にある本当の問題を捉える能力
  • 柔軟性:想定していなかった事態にも、落ち着いて臨機応変に対応できる能力
  • 受容性:自分の考え方や意見、価値観とは異なるものも受け入れる能力

適切な意思決定のためには、直面した状況を冷静に観察し、全体的かつ多角的な視点から物事を捉える力が必要です。さらに他者の意見や考えも参考にしつつ、想定外の状況でも思考がぶれることなく「本質的な問題は何か?」「何を解決すべきなのか?」を考え続けることが大事です。

物事を探求・追求するスキル

物事を深く探求・追求する姿勢も、コンセプチュアルスキルを構成する重要な要素です。以下の能力が該当します。

  • 知的好奇心:未知の事象や物事、考え方に興味を持って知ろう・学ぼうとする姿勢
  • 探究心:さまざまな事象・物事に対して深く考察・分析する姿勢
  • チャレンジ精神:経験したことのない分野でも、失敗を恐れず挑戦する姿勢

いずれもスキルというよりはマインドセット(心構え)に関するもので、日頃の意識付けが重要です。

コンセプチュアルスキルを磨くメリット

書類をチェックする男性

(出典) photo-ac.com

コンセプチュアルスキルを意識的に磨くことで、以下のように問題解決のスピードアップや、業務パフォーマンスの向上など、さまざまな効果が期待できます。上記の構成要素のうち、自分に足りないものを積極的に磨くとよいでしょう。

問題解決のスピードが上がる

コンセプチュアルスキルを磨けば、問題の本質を適切に捉えられるようになり、最短距離で解決のための施策を打ち出せるようになります。その結果、スピーディーに問題を解決できるようになるでしょう。

複雑な事象が絡み合った問題でも、ボトルネックとなっている部分や、センターピン(最も重要な部分)を素早く見極められるので、有効な施策を打ち出せるようになり、組織としての行動も最適化されます。

組織のパフォーマンスが向上する

組織の業務効率化やパフォーマンスの向上にも、コンセプチュアルスキルが役立ちます。コンセプチュアルスキルの高い管理者の下では、管理者自身の仕事の生産性はもちろん、チーム全体の業務生産性が向上する傾向にあります。

個々のメンバーが何をすべきか分かるように指導できるので、組織としての行動が早くなり、企業の競争優位性の確立にも寄与できるでしょう。経営方針や目標の浸透もスムーズになります。

創造性が高まりイノベーションにつながる

コンセプチュアルスキルを磨くことで、常に本質を追究できるようになり、既存の枠組みや概念をベースにした施策では対応できない問題・課題に対しても、解決の糸口を導き出せるようになります。

ビジネスの世界で注目されるイノベーションの多くは、担当者のコンセプチュアルスキルから生み出されたものが数多くあるのです。

例えば、自ら物流センターを管理し、世界の多くの場所に荷物を届けられるようにしたAmazonや、スマートフォンから簡単にタクシーを配車できるUber、携帯電話のデザインに革命を起こしたAppleなどが該当します。

これらは従来の考え方や常識、枠組みにとらわれず、自由な発想で製品・サービスを考え出した事例といえるでしょう。

管理職だけでなく、社員のコンセプチュアルスキルを磨き上げることで、顧客ニーズを的確に捉えた、革命的な商品を生み出せる可能性が高まります。

コンセプチュアルスキルをどう高める?

勉強机

(出典) photo-ac.com

これまで説明してきたコンセプチュアルスキルを高めるには、具体的に何をすればよいのでしょうか? 一朝一夕で磨くのは難しい能力ばかりですが、以下のポイントを押さえ、自分に足りないスキルを着実に高めていくことが大事です。

物事を抽象化・概念化して捉える努力をする

解決すべき問題・課題に直面した際、その原因と考えられる要素を挙げて、共通点を考えてみましょう。また、問題の原因を洗い出し、それぞれの関係性や重要性を検討してみるのも有効です。

共通点を見つけて抽象化したり概念化したりすることで、その奥にある本当の問題が何なのか分かるようになります。

一方で、抽象的な概念が具体的にどういった事例に当てはまるのかを考えることも大事です。抽象化・具体化を自分なりに繰り返すことで、本質を理解する力が養われます。これらは日常的に取り入れられる考え方なので、地道に取り組んでみましょう。

物事の構造を捉える訓練をする

物事を構成している要素には何があるか考えた上で、全体的な視点から構造を捉える工夫をしてみましょう。

ビジネスシーンで向き合う問題はもちろん、あらゆる事象は複数の要素が絡み合って表出しているので、構造がどうなっているのかを検討することで、最も大きな原因となっている本質的な問題が見えてきます。

要素同士の関係性を正しく理解するには、因果関係や相関関係などを正確に捉える力が必要です。基本となるロジカルシンキングをはじめ、クリティカルシンキングや分析スキルなどを集中的に磨いてみましょう。

定義を明確にして考える

物事の定義を明確にして、話や議論をするように意識することも大事です。定義を明らかにする習慣を持てば、話が伝わりやすくなり、自分の考えも整理しやすくなります。

ビジネスシーンで、会話がかみ合わなかったり、考えがまとまらなかったりする場面は珍しくないでしょう。

そういった場合には、個々の要素を言葉にして明確に定義することで、その性質や位置づけが分かるようになります。問題の全体像が明らかになり、本質的な問題は何か、自分なりに追求できるようになるでしょう。

定義を明確にする習慣は、プレゼンスキルを高める上でも重要です。言葉の意味や定義を明確にしながら論理を組み立てることで、説得力のあるプレゼンが可能になります。

社内でコンセプチュアルスキルを養成するには?

ミーティング風景

(出典) photo-ac.com

社内でコンセプチュアルスキルを養成するには、日常的にスキルを磨ける環境を作り上げることが重要です。以下のように、チームを組んでケーススタディに取り組んだり、コンセプチュアルスキルを構成する能力を磨くために、研修を実施したりするのがおすすめです。

チームでケーススタディに取り組む

社員にコンセプチュアルスキルの重要性とともに、スキルを高めるポイントを理解してもらった上で、社内研修やグループワークに取り組んでみましょう。

ビジネスで実際に直面する問題をテーマに、ロジカルシンキングやクリティカルシンキング、あるいは状況対応に求められるスキルなどを用いてケーススタディに取り組めば、社員のコンセプチュアルスキルを効果的に高められます。

複数の視点から問題について考え、話し合いの中で本質的な解決策を導き出す練習をすることが大事です。

階層別の研修を実施する

コンセプチュアルスキルの構成要素の中でも、特に社員が高めるべき能力を決めて、階層別の研修を実施してみましょう。

それぞれの立場の社員にどのようなスキルが求められるか、明確にすることが大事です。一般社員向けの研修はもちろん、管理職のための外部研修を提供している業者も存在するので、積極的に活用するといいでしょう。

適宜フィードバックを受けられる環境整備

ケーススタディや研修で必要な事柄を学んだら、日常業務で実践することが大事です。チームや部門・部署ごとに、管理者や周囲から適宜フィードバックを受けられる制度やルールを構築しましょう。

例えば、上司と部下による1on1ミーティングを通じて、日々の業務の進め方や問題解決の仕方について、コンセプチュアルスキルを発揮できたかどうか、フィードバックを受けられる環境にすると効果的です。

さまざまなやり方が考えられるので、自社の環境や業務体制に合った方法はどのようなものか検討してみましょう。

構成/編集部

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