企業が取り組むべきことは?
ウェルビーイング実現のために、企業が取り組むべき事案はたくさんあります。働きやすい職場に変える、具体的な方法を見ていきましょう。
風通しのよい人間関係
従業員が言いたいことを言えない風通しの悪い職場では、連携がうまくいかずに生産性が下がる恐れがあり、注意が必要です。悩みを誰にも相談できないため、離職者の増加にもつながるでしょう。
風通しのよい人間関係を作るためには、以下のとおり、自然なコミュニケーションを促す施策が有効です。
- 感情的な結びつきを強める『雑談』
- 先輩社員が後輩をサポートする『メンター制度』
- 上司と部下がお互いを知る機会となる『1on1ミーティング』
特に雑談は、わざわざ制度を設けなくても高い効果を得られる方法として注目されています。
働きやすさをバックアップ
従業員にとって、休みにくい会社や残業・休日出勤が多い会社は、決して働きやすいとはいえません。満員電車での通勤や長距離通勤も、幸福度を下げる要因です。
時短制度やリモートワーク環境の整備など、企業が積極的に働きやすい環境を提供することで、ウェルビーイングの向上が見込めるでしょう。
ただしどんなに素晴らしい制度を用意しても、活用されなければ無意味です。例えば育児休暇の取得率を上げるためには、男性の取得を後押しする制度を作る必要があります。
リモートワークができない職種の人には、時差出勤や住宅費補助なども検討するとよいでしょう。残業を減らしたり、有給休暇を一定以上取得したりした人に、本来支払うはずだった残業手当を支給する方法もあります。
心身の健康管理を補助
従業員に心身ともに健康でいてもらうためには、医療面での費用補助や健康増進イベントの実施などが有効です。
医療面では、定期健診以外にも、好きなタイミングで人間ドックを利用できる制度や、歯科健診・予防接種費用を補助する制度が効果的とされています。同じ制度を家族も利用できるようにすれば、より満足度が上がるでしょう。
健康増進対策としては、カウンセリングやジム費用の補てん、ウォーキングイベントやラジオ体操の主催などがあげられます。特にイベントの実施は従業員の健康意識を高めるだけでなく、企業姿勢のアピールにもつながるため取り入れるケースも多いようです。
ウェルビーイングを導入している国内企業例
近年は国内の企業でも、ウェルビーイングの導入が進んでいます。ウェルビーイングに取り組み、成果を上げている企業を3社紹介します。
キヤノン株式会社
キヤノン株式会社では、創業当時から行動指針の一つに『健康第一』を掲げてきました。現在も、がんや生活習慣病の予防およびメンタルヘルスに対して、戦略的な取り組みを継続しています。
また2004年からは禁煙対策を、2007年からは睡眠改善施策を取り入れているのも特徴的です。睡眠改善施策では、睡眠キャンペーンでの啓発活動や睡眠計を使った個別の保健指導により、睡眠によって休養がとれた人の割合が2007~2018年の10年間で10%以上増えたといいます。
その結果、従業員の血圧や血糖値に改善がみられ、経済産業省から『健康経営優良法人2022』の認定を受けています。
参考:「健康経営銘柄2022」および「健康経営優良法人2022」に選定 | キヤノングローバル
キヤノン(Japan)
味の素株式会社
味の素株式会社では、2018年に『味の素グループ健康宣言』を制定し、ウェルビーイングを実現できる職場環境の整備に取り組んでいます。
健康面においては、従業員が自身の健康状態をチェックできるウェブサイトを設置しているほか、全員に対して個別面談によるメンタルサポートを実施中です。
所定労働時間の20分短縮や会議や研修時間を9~16時までに定めるなど、働き方改革にも積極的に取り組んでいます。
また国内だけでなく、世界のグループ企業にも健康増進の責任者を任命し、国の事情に合わせた施策を実施しています。会議のやり方を見直し、労働時間の短縮につなげるなど、働き方改革にも積極的です。
参考:テレワークをいち早く実施!味の素グループの働き方改革 | ストーリー | 味の素グループ
味の素株式会社 ~Eat Well, Live Well. ~AJINOMOTO
楽天グループ株式会社
楽天グループ株式会社では、代表取締役社長を頂点とした『健康・安全・ウェルネス経営の推進体制』を構築しています。Body(健康的な体)・Mind(健康的な心)・ Social(健康的な社会とのつながり)の3要素を軸に、従業員が健康的にいきいきと活躍できる組織風土作りを目指しているのが特徴です。
具体的には、従業員のストレス傾向を把握するために、産業医・保健師の協力の下で『ストレスチェック』を実施し、ストレスへの気づきを促しています。
肩こり改善や目のケア、理想的な体の作り方といった『ウェルネスセミナー・イベント』を定期的に行い、実践的な改善策を提供している点にも注目です。2022年9月時点で、セミナーの総参加者数は6,788人にのぼっています。
楽天のさまざまな試みは、個人や組織のウェルビーイングの向上が、社会全体のウェルビーイングの向上につながるという考えが基本になっています。
参考:従業員の健康・ウェルネス|楽天グループ株式会社
楽天グループ株式会社コーポレートサイト
構成/編集部