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なぜ、企業は「ウェルビーイング」に取り組むべきなのか?

2023.02.28

ウェルビーイングは、企業が取り組むべきものとして話題に上ることの多い注目ワードです。社会人なら、知っておきたい言葉との一つといってもよいでしょう。ウェルビーイングの意味や注目される理由、企業の導入例を紹介します。

ウェルビーイングとは

ウェルビーイングには、どのような意味があるのでしょうか?似ている言葉である『ウェルフェア』との違いも合わせて見ていきましょう。

「幸福」とも訳される概念

ウェルビーイング(well-being)は、心身ともに良好で、満足した社会生活を送れる状態を指す言葉です。日本語では『幸福』と訳されることもあります。

厚生労働省ではウェルビーイングを「個人の権利や自己実現が保障され、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることを意味する概念」としています。

※出典:厚生労働省「雇用政策研究会報告書概要(案)」

また世界保健機関(WHO)憲章の前文にある以下の一節は、ウェルビーイングを定義する際によく用いられる文章です。

「Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.
健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが 満たされた状態にあることをいいます」

※出典:世界保健機関(WHO)憲章とは |公益社団法人 日本WHO協会

瞬間的な幸福というよりも、幸福な状態が長く続く様子を指しているのが、ウェルビーイングの特徴といえます。

ウェルフェアとの違い

ウェルフェア(welfare)は『福祉』や『福利』『幸福』を意味する言葉で、一般的には福祉事業に関して使われます。

福祉とは、主に『公的扶助によって生活を豊かにする』といった意味で、高齢者や障がいを抱える人、児童などをサポートする多義的な言葉である『社会福祉』は、英語でsocial welfareと記します。

その他にも、ウェルフェアは『福利厚生』という意味でも用いられる言葉です。福利厚生とは、社会保険や住宅手当・社員旅行・結婚や出産の祝い金など、企業が給与以外に従業員やその家族に提供する制度のことです。

社会保険については法律で決まっているためどの企業でも差はありませんが、住宅手当や祝い金などは、企業が独自に設けます。もし給与が同じ場合、福利厚生が充実している方が、従業員と家族の幸福度(ウェルビーイング)は高いといえます。

福祉事業・福利厚生どちらにしても、ウェルフェアは、ウェルビーイングを実現させる手段と考えてよいでしょう。

ウェルビーイングが注目される理由

勉強のイメージ

(出典) photo-ac.com

ウェルビーイングという概念は、なぜ近年注目されるようになったのでしょうか。政治的・社会的な背景を三つ紹介します。

価値観の変化・幸福度向上への期待

ウェルビーイングが注目される理由の一つに、ビジネスに対する人々の価値観の変化があげられます。従来のビジネスは、売上高や利益、効率性など、経済的な成長を重視していました。

経済活動の発展によって、安くて便利なモノやサービスが続々と登場し、豊かな生活を送る人が増えます。しかしその結果、人類は環境破壊や貧困、過労死などのさまざまな社会問題を引き起こしてしまいます。

このためモノの豊かさよりも、心の豊かさを重視する方向へと、考え方が変わってきたのです。価値観の変化は地球規模で起きています。

国連が発表する『世界幸福度ランキング2022年版』では、日本は146カ国中54位となっています。ただし、主要7カ国(ドイツ・カナダ・アメリカ・イギリス・フランス・イタリア・日本)中では最下位です。

今後日本では、国や企業が積極的に国民のウェルビーイング向上に取り組むことが期待されています。

参考:World Happiness Report 2022 | The World Happiness Report

働き方改革との関係

労働は、人生における重要な要素です。生活費を稼ぐことはもちろん、やりがいやプライベートとの両立など、個人がウェルビーイングを実感できるかどうかは、働き方に大きく影響されるといってもよいでしょう。

かつての日本では、長時間労働や男女間の賃金格差、年功序列などが当たり前でした。皆が同じように働くことが大切で、個人の意思や能力は二の次だったといえます。

しかしそれでは、誰もが心身ともに健康で満足した状態にはなれません。例えば子どもが生まれた直後にもかかわらず、毎日深夜まで残業させられるようでは、親としての幸せを感じられないまま時が過ぎてしまいます。

子どもが小さいうちは残業を控え、手が離れたら思い切り働くといった、柔軟な労働環境の実現を求める声が、ウェルビーイングが注目される一因となっています。

SDGsの一部でもある

ウェルビーイングは、持続可能な開発目標を指す『SDGs』の一部でもあります。SDGs目標3『すべての人に健康と福祉を(Good health and well-being)』に、福祉の意味でウェルビーイングが使われているのです。

またSDGs目標5『ジェンダー平等を実現しよう』や目標8『働きがいも経済成長も』も、ウェルビーイングに深くかかわる目標といえます。

ウェルビーイングはSDGsの達成に大きく貢献する概念であり、世界的に必要と認識されている言葉なのです。

参考:外務省「持続可能な開発目標(SDGs)と日本の取組(PDF)」

世界中で行われている取り組み

スマホを操作する男性

(出典) photo-ac.com

ウェルビーイングを実現するために、早くから取り組んでいる国や企業もあります。世界で行われている、代表的な取り組みを見ていきましょう。

Google「デジタルウェルビーイング」

『デジタルウェルビーイング』は、スマホなどのデジタルデバイスの使い方を見直すことで、使い過ぎを防いで健康的な生活を送れるようにする考えを指します。

スマホの普及により、いつでも情報を得られ、人と簡単につながれる便利な世の中が実現しました。しかし便利過ぎるために、人はスマホを手放せなくなり、心身の健康を損なったり、ワークライフバランスが崩れてしまったりする弊害が指摘され始めます。

2018年、Googleは初めてスマホユーザーに対する、デジタルウェルビーイング向上の重要性について言及します。その後Appleもスマホ中毒への対策を発表し、世間の注目を集めるようになりました。

デジタルウェルビーイングを実現するための具体策としては、以下の機能があげられます。

  • 1日のスマホの利用状況が簡単に分かる
  • アプリの利用時間を制限できる
  • 受け取る通知を管理できる
  • 就寝中は起動しない

参考:Digital Wellbeing で Android スマートフォンの使用パターンを管理する – Android ヘルプ
Google – Google について、Google の文化、企業ニュース

オーストラリア「ABW」

ABWとは『Activity Based Working』のことで、就業時間や場所を自由に選べる働き方を指します。

社員の幸福度を高めることが、優秀な人材の定着につながるとの考えから、オランダで生まれた働き方です。オーストラリアでは、以前から国が積極的にABWを推進してきました。

個人デスクをなくす『フリーアドレス』だけでなく、自宅やカフェ、屋外などでも働けるワークスタイルを導入することで、一人ひとりの生活や価値観に合った働き方を選択できます。

企業にとってはコストの削減に、社員にとってはワークライフバランスの実現につながるため、両方にメリットがあるとされています。

企業がウェルビーイングを行うメリット

デスクワークをする男性

(出典) photo-ac.com

ウェルビーイングの推進は、企業経営にさまざまなメリットをもたらすといわれています。主なメリットを三つ紹介します。

健康経営の促進

従業員の健康管理は、企業経営にとって大変重要な課題です。従業員が、皆心身ともに健康な状態にあれば、生産効率が上がって業績アップが期待できます。

アメリカの企業の調査では、健康管理への投資1ドルに対して、3ドルのリターンが見込めるとの報告があるほどです。

またウェルビーイングの実践は『従業員の幸福度を優先する企業』といった、よいイメージにつながります。優良企業として社会的に認知されるだけでも、大きなメリットといえるでしょう。

参考:企業による「健康投資」に関する情報開示について|経済産業省

離職率が下がり人材も集まる

ウェルビーイングには、離職率を下げ人材確保が容易になる効果も期待できます。心身ともに健康な状態にある人は、仕事に前向きに取り組めるうえに、周囲を思いやる余裕を持てるようになるためです。

ウェルビーイングによって健康な従業員が増えれば、職場の雰囲気が良好になり、人間関係によるストレスで辞める人を減らせるでしょう。

職場の居心地がよい、働きやすい企業との評判を聞いて、優秀な人材が集まってくることも十分考えられます。

生産性の向上も期待

ウェルビーイングの実現には、それなりの費用や時間がかかります。従業員の業務時間を減らしたり、休暇を増やしたりすれば、生産量が減って業績に響く心配もあるでしょう。

しかし実際には、ウェルビーイングを実施する企業では従業員のモチベーションが上がり、生産性も向上することが期待できます。

快適な状態で、やりがいを持って働ける環境を整えることで、個々のパフォーマンスを最大限に引き出せるのです。一見すると遠回りな施策であっても、最終的には大きな利益につながるといえます。

企業が取り組むべきことは?

笑顔でミーティングをする様子

(出典) photo-ac.com

ウェルビーイング実現のために、企業が取り組むべき事案はたくさんあります。働きやすい職場に変える、具体的な方法を見ていきましょう。

風通しのよい人間関係

従業員が言いたいことを言えない風通しの悪い職場では、連携がうまくいかずに生産性が下がる恐れがあり、注意が必要です。悩みを誰にも相談できないため、離職者の増加にもつながるでしょう。

風通しのよい人間関係を作るためには、以下のとおり、自然なコミュニケーションを促す施策が有効です。

  • 感情的な結びつきを強める『雑談』
  • 先輩社員が後輩をサポートする『メンター制度』
  • 上司と部下がお互いを知る機会となる『1on1ミーティング』

特に雑談は、わざわざ制度を設けなくても高い効果を得られる方法として注目されています。

働きやすさをバックアップ

従業員にとって、休みにくい会社や残業・休日出勤が多い会社は、決して働きやすいとはいえません。満員電車での通勤や長距離通勤も、幸福度を下げる要因です。

時短制度やリモートワーク環境の整備など、企業が積極的に働きやすい環境を提供することで、ウェルビーイングの向上が見込めるでしょう。

ただしどんなに素晴らしい制度を用意しても、活用されなければ無意味です。例えば育児休暇の取得率を上げるためには、男性の取得を後押しする制度を作る必要があります。

リモートワークができない職種の人には、時差出勤や住宅費補助なども検討するとよいでしょう。残業を減らしたり、有給休暇を一定以上取得したりした人に、本来支払うはずだった残業手当を支給する方法もあります。

心身の健康管理を補助

従業員に心身ともに健康でいてもらうためには、医療面での費用補助や健康増進イベントの実施などが有効です。

医療面では、定期健診以外にも、好きなタイミングで人間ドックを利用できる制度や、歯科健診・予防接種費用を補助する制度が効果的とされています。同じ制度を家族も利用できるようにすれば、より満足度が上がるでしょう。

健康増進対策としては、カウンセリングやジム費用の補てん、ウォーキングイベントやラジオ体操の主催などがあげられます。特にイベントの実施は従業員の健康意識を高めるだけでなく、企業姿勢のアピールにもつながるため取り入れるケースも多いようです。

ウェルビーイングを導入している国内企業例

オフィスビル

(出典) photo-ac.com

近年は国内の企業でも、ウェルビーイングの導入が進んでいます。ウェルビーイングに取り組み、成果を上げている企業を3社紹介します。

キヤノン株式会社

キヤノン株式会社では、創業当時から行動指針の一つに『健康第一』を掲げてきました。現在も、がんや生活習慣病の予防およびメンタルヘルスに対して、戦略的な取り組みを継続しています。

また2004年からは禁煙対策を、2007年からは睡眠改善施策を取り入れているのも特徴的です。睡眠改善施策では、睡眠キャンペーンでの啓発活動や睡眠計を使った個別の保健指導により、睡眠によって休養がとれた人の割合が2007~2018年の10年間で10%以上増えたといいます。

その結果、従業員の血圧や血糖値に改善がみられ、経済産業省から『健康経営優良法人2022』の認定を受けています。

参考:「健康経営銘柄2022」および「健康経営優良法人2022」に選定 | キヤノングローバル
キヤノン(Japan)

味の素株式会社

味の素株式会社では、2018年に『味の素グループ健康宣言』を制定し、ウェルビーイングを実現できる職場環境の整備に取り組んでいます。​​​​

健康面においては、従業員が自身の健康状態をチェックできるウェブサイトを設置しているほか、全員に対して個別面談によるメンタルサポートを実施中です。

所定労働時間の20分短縮や会議や研修時間を9~16時までに定めるなど、働き方改革にも積極的に取り組んでいます。

また国内だけでなく、世界のグループ企業にも健康増進の責任者を任命し、国の事情に合わせた施策を実施しています。会議のやり方を見直し、労働時間の短縮につなげるなど、働き方改革にも積極的です。

参考:テレワークをいち早く実施!味の素グループの働き方改革 | ストーリー | 味の素グループ
味の素株式会社 ~Eat Well, Live Well. ~AJINOMOTO

楽天グループ株式会社

楽天グループ株式会社では、代表取締役社長を頂点とした『健康・安全・ウェルネス経営の推進体制』を構築しています。Body(健康的な体)・Mind(健康的な心)・ Social(健康的な社会とのつながり)の3要素を軸に、従業員が健康的にいきいきと活躍できる組織風土作りを目指しているのが特徴です。

具体的には、従業員のストレス傾向を把握するために、産業医・保健師の協力の下で『ストレスチェック』を実施し、ストレスへの気づきを促しています。

肩こり改善や目のケア、理想的な体の作り方といった『ウェルネスセミナー・イベント』を定期的に行い、実践的な改善策を提供している点にも注目です。2022年9月時点で、セミナーの総参加者数は6,788人にのぼっています。

楽天のさまざまな試みは、個人や組織のウェルビーイングの向上が、社会全体のウェルビーイングの向上につながるという考えが基本になっています。

参考:従業員の健康・ウェルネス|楽天グループ株式会社
楽天グループ株式会社コーポレートサイト

構成/編集部

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