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Be Real、TikTok Now、炎上リスクを回避して内輪で楽しむリアルタイムSNSは浸透するか?

2023.01.01

TikTok Nowを試してみて感じたコト

もう一つ似たような機能を持っているため紹介したいアプリが、TikTok Nowである。

中国のByteDance傘下であるアメリカの動画共有サービスTikTokが提供するサービスで、これ単体でも独立したアプリとしてリリースされている。

2022年の9月15日から実装された生まれたてのサービスで、基本的にはBe Realと全く同じコンセプトとなっている。

要は……まあ、インスパイアというべきか。

日本のZ世代にとってTikTokはかなり認知度の高いSNSであるが、不特定多数に自分の短い動画を観てほしいと思っている利用者が、Be Realと同じコンセプトのこのサービスにどこまで魅力を感じているのか。

アラフォーの筆者にとっては、これはまるで未知の領域。

 ということでインストールしてみたところ、基本的にはBe Realそっくりの仕組みなんだけど、細かいところで若者向けに仕様が変更されている。

たとえば通知から撮影、投稿までの時間的猶予はBe Realが2分だったのに対し、コチラは3分。

そしてTikTok Nowは10秒以内であれば動画も投稿出来るという利点もある。 

さらにメインターゲットの要望に寄り添ったためか、撮影時はシャッターを押すと、まずアウトカメラが撮影を完了する。

その数秒後にインカメラが撮影するため、まず景色を撮ったあと、ちょっとだけ映えを意識した顔を作ることが出来るのだ。

撮影完了が同時ではないのは、今どきの若者には嬉しい要素かもしれない。

これによって景色を撮りつつ、ある程度角度を考慮した自撮りをアップすることも可能。仲間内でもこうして、見映えに気をかけることが可能というのがBe Realとの差異となる。

こちらもまた、ランダムに通知が来る撮影チャンスの間にいそいそと撮影から投稿までこなす必要があるため、忙しい社会人には向かない。

従来のSNSにおけるリアルタイム性と、上記2種SNSの指すリアルタイム性の違い

ところでSNSと言えば、リアルタイム性が重視されており、これをマーケティングにも活用する動きもある。

それでなくても事故が起きれば居合わせた人が写真付きですぐ投稿し、あっという間に拡散されてトレンドに入るということもあり、それが良いか悪いかは別として、情報の鮮度はもはやテレビや新聞の比ではなくなっている。

ネットで既にバズり終わった出来事が、数日後に満を持してワイドショーで取り上げられることも珍しくない。

一方でBe RealもTikTok Nowも、そのような速報性とは完全に無縁の、拡散も炎上もない極めてクローズドかつ安全な環境で繰り広げられる投稿の応酬となっているのがウリ。

言ってみればこの2種のSNSは、仲間内でのリアルタイム性だけを重視し、世間で言うところのリアルタイム性とは別のベクトルで楽しむことが前提のコンテンツなのだ。 

だからたとえば、中学・高校の同級生たちが咄嗟に来る通知にてんてこまいして撮影した写真をみんなで共有して楽しむとか、大学の仲良しグループがなんとなく利用してなんとなく参加できる人だけ通知に応じて緩く楽しむとか。

そういう目的でやる分には面白いサービスではないかという気がする。

ちなみに筆者の周りにもBe Realをやっている人がいたので、その用途を聞いてみたところ「恋人が浮気してないか見張るために、GPSアプリと併用して使っている」という怖い返事をもらってしまった。

ま、まあそういう使い方も出来るということなんだろう。

親密に連絡を取り合えるグループがある人にとっては魅力的だが、肝心の承認欲求とはどう向き合うのかという問題も残る…

率直な話をすると、やっぱり筆者のような40手前の、しかもそこまで社交的ではないおじさんにとっては、これはかなり持て余すサービスである。

逆にこの年齢でBe Realをバリバリ活用してる人がいたら、僕はちょっと引いてしまう……。 

親密な友人は同世代にもいるが、わざわざ2、3分以内に写真を撮って共有し合うほどではないと言おうか、LINEの細々としたやり取りで十分と言おうか。 

TikTok Nowについては、リリース以来の反響は正直芳しいものではないし、Googleのサジェストでも「いらない」などネガティブなワードが並ぶ一方で、Be Realに関してはアメリカで流行しているとのことなので、このフォーマットが日本でも若者にウケる余地はあるのかもしれない。

でも、TikTokで投稿するユーザーの場合、「私を見て!」というような強烈な承認欲求を満たす目的で利用している人ばかりだろうから、そうするとTikTok Nowのユーザー像とはズレがあるような……。

 最初から「これはその名の通り、従来の映え目的で使うSNSではないのだ」というコンセプトがあって送り出されたBe Realと違って、TikTokの名前を背負わせることは妥当なのか? というようなことを、他人事ながら考えてしまった。

それと、これは根本的な問題になってしまうのだけど、双方のアプリを利用することって、不便を楽しむ肝要な気持ちが必須となる。

忙しい人はそもそも参加出来ないまま通知からの時間が終わってしまうし、そうなるとアプリをスマホに入れておくのも邪魔になってしまう。

また、結局は既存のSNSだってたとえばDM機能を使えば身内同士の密談も画像のやりとりも可能で、さらに便利なことに加工フィルターも使うことまでもが出来てしまうわけなのがちょっとこう、新鮮な感性が錆びつきつつある40手前のおじさんには響かなかったと言うか。

 わざわざこの時代にパソコンからワープロに買い替えて満足出来る人がいないように、炎上リスクなどがあるものの自由に使えるSNSをかなぐり捨ててまでコチラに走るという人は、そう増えないのではないだろうか。

極論、SNS疲れや炎上リスクにおびえてしまったらBe RealやTikTok Nowを始める必要なんかなく、SNSそのものを止めるという最強の一手もあるわけだし、SNS疲れに陥った人にとってはこの手のサービスだって通知が来るたびに、結局は「ああ、ノルマをこなさねば」と億劫になるような気がする。

この手のサービスがそこまでガッツリと普及するビジョンは、個人的にはなかなか見通せない。

後はZ世代の目にどう映るかがブームのカギなのだろう。

いつの時代だって、僕ら世代よりも10代、20代の若者が支持するものの方が面白く、新しいのだから。

文/松本ミゾレ

【参考】

Be Real

https://play.google.com/store/apps/details?id=com.bereal.ft&hl=ja&gl=US

 TikTok Now

https://apps.apple.com/jp/app/tiktok-now/id1641062073

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