こんにちは。
弁護士の林 孝匡です。
今回はニュースのザックリ解説です。
「残念ながら、労災認定は、できませんね」
労働基準監督署が不支給を決定しました。
理由は、自宅に持ち帰っての仕事については会社の具体的指示がなかったというもの。
男性が激怒!
「持ち帰り残業を強いられたんですよ..」
「月200時間ですよ…」
裁判所に提訴しました。
以下、
・ニュースの内容
・持ち帰り残業は労働時間になるのか?
・裁判例
などを解説します。
ニュースの内容
訴えた男性は、半導体検査装置メーカーに務めている30代のエンジニア(男性)。
長時間労働で・・・うつ病になってしまいました。
労災申請を決意します。
「月200時間に上る持ち帰り残業を強いられた」と主張して労災申請をしたのですが・・・労災は下りず。2回に渡る不服申し立ても、・・・功を奏さず。
提訴となりました。
報道によると、Xさんは平成28年10月から新製品開発を担当。
Xさんの主張は「膨大な業務を課される一方、残業が月9時間を超えた場合、本人と上司を懲戒対象とするルールを定めていたため、自宅で残業せざるを得なかった」というもの。
時間外労働は、月100時間超がザラで、最長200時間超だったようです。
ポイントは「自宅で残業せざるを得なかった」状況だったかどうか、になると思います。
以下、解説します。
自宅で残業せざるを得なかったとすれば
自宅で残業せざるを得なかったとすればXさんが勝訴する可能性が高いと思います。
なぜなら、
自宅で残業せざるを得なかった = 会社の指揮命令下に置かれてたといえる
↓
なので、その時間は労働時間といえる
↓
月100時間から200時間であれば労災が下りる可能性は高い
からです。
持ち帰り残業は、労働時間になるのか?
会社の指揮命令下に置かれていると認定されれば、労働時間になります。
持ち帰り残業について言えば「自宅で残業せざるを得なかった」と認定されれば労働時間になる可能性が高くなります。
ここをどう立証できるかがカギになります。
会社は必ず、
「あなたが勝手に持ち帰ってやっただけでしょ」
「持ち帰りせざるを得ないほどの仕事量を与えていない」
と主張してくるので。