前回は、「ニッチコンテンツを特化することで競争を回避して成長を目指す」という生き残り戦略を採用して、活躍の幅を広げることに成功した「バーチャルセックスインフルエンサー」である由宇霧(ゆうぎり)さんに取材した。活動の独自性だけでなく、前向きに挑戦を続けることの大切さについてお話を伺った。
今回は、占い師として「占い」をメインコンテンツに据えてVTuberとして活躍している占い師VTuberの「華月エアリ」さんにインタビューを実施した。伝説のVTuber「キズナアイ」さんとのコラボをはじめ、数多くの有名VTuberの運勢を鑑定し、飾らない性格と的確に運勢を言い当てる占いで知名度を順調に伸ばしている。
YouTubeでの生放送以外にも、視聴者の運命鑑定やコロナ禍の副業ブームの中で好評を博している占いのコーチング、北海道のご当地VTuberとしての活動など、活動の幅は二次元だけに止まらない。
本稿では、本物の占い師さんがVTuberとして配信活動を行うようになった経緯から、活動の幅を広げ続けるためのビジネスマインドなどを中心に話を伺った。
華月エアリ(カゲツエアリ)
リリ数秘術の創設者。小池安雲先生との出会いをきっかけに数秘術を学び、2016年、プロ占い師「華月マリン」としてデビュー。都内人気占い館、LINEトーク占い、口コミでの個人鑑定でキャリアを積んでいく。2018年、大腸がんステージ4と診断される。当初手術は不可能・余命幾ばくと診断されたが、家族のサポートと抗がん剤治療などの現代医療の力により手術可能な状態まで回復。 その後4度の手術を経て2019年、腫瘍の全摘出に成功する。現在は経過観察中。 一度死線を潜ったのをきっかけに「ずっと残るような自分が生きた証を残したい」と思いたち、元々興味のあったバーチャル世界のアバター文化に触れていく。2020年6月30日に「華月エアリ」と改名、魔女としての姿を持ちVTuberとして活動開始。 バーチャルとリアルを自由に行き来し、様々な形で占いの楽しさを伝えていく事を使命としている。
きっかけは「ステージ4の大腸ガン」
――では、さっそくなんですけども……初手から重い話ですが、配信者になろうとしたきっかけはこのステージ4のガンだったんですね。えっ、どこまで聞いていいの??
華月エアリ(以下、華月) なんでも聞いてください!配信でも全部話していますので(笑)
――頼もしい! それでは、まずVTuberになった経緯を伺いますね。大病を乗り越えてVTuberになったのは、エアリさんご自身が元々配信業に興味があったからですか? それともVTuberファンだったとか?
華月 いやっ!(食い気味)全然見てなくてですね……。
元々、違う場所で占いの修行をして普通の仕事をしながら占いの館でもお仕事をしていたのですが、体調の悪い日が続いてどんどん体調悪くなって、メンタルの不調なのかと思ってお仕事を辞めて北海道に戻ってきて病院に駆け込んだら、突然ガンって診断されたのですよ。しかもステージ4。
――めちゃくちゃ大変じゃないですか!でも、どうしてそこから配信者になろうと?
華月 私の場合は家族のサポートもあって手術も成功し、それから「占い師として世間に露出する機会を増やしたい」って思うようになって、それでリハビリしながらできることを探しているときに、占いならオンラインでも最悪病室から鑑定もできると思って、ツイキャス(配信サイト)でトークとか占い配信を始めた感じ……だった気がします(笑)
――なるほど。病が大きな転機になったわけですね。ちなみに、配信を始めたときは生身の姿で配信されていたんですか?
華月 いえ、そのときもアニメアバターを使っていましたね。ちょうどそのときからVTuberが YouTubeで流行っているのを知って、「私もVTuber名乗ってやる?」みたいに割り切って活動の拠点をYouTubeに移して「華月エアリ」として本格的にVTuber活動を始めた感じです。
――なるほど。あまりVTuberを知らない状態からのスタートだったんですね。でも、デビューされたときの2020年当時は言い方悪くなりますが、ゲームや歌とかVTuberなら何をやってもバズるイメージあって……、
華月 確かにありましたね。
——でも、どうしてそんな中で「占い」をメインコンテンツに据えたんですか?前回のインタビューでも、特化することで業界での生き残りを図るみたいな感じでしたけども。
華月 私の場合はちょっと違う理由で……。
カッコつけて言えば、先が見えていたんですよね。
——めちゃ聞きたいです!