シーズ志向のメリット・デメリット
シーズ志向は、良いことばかりではありません。メリット・デメリットをそれぞれ見ていきましょう。
メリット:市場を独占できる可能性がある
市場を独占できる可能性があるのは、シーズ志向で作り出された商品です。シーズは、自社の独自の技術力やアイデア、商品開発力が全面に出るため、革新的な商品が生まれ、市場の奪い合いが起こりません。
具体例として有名な話は、Appleが開発したiPhoneです。新しくスマートフォンというカテゴリーを生み出し、市場の独占に成功しました。そのほかにはワイヤレスのイヤホンや充電器などが記憶に新しいです。
デメリット:時間と費用が無駄になってしまう可能性がある
デメリットとしては、自社が新商品の開発や新サービスの創出に費やした時間や費用が無駄になってしまう可能性があるという点です。
シーズ志向によって生まれた革新的な商品やサービスは、発売後すぐに消費者に受け入れられるとは限りません。かけた時間や費用を回収するためには、その商品が消費者の興味を引き購入する行動につなげる必要があります。
新しく生み出された革新的な商品を購入してもらうには、なかなかハードルが高いというのが実情で、それがマーケティングの難しさでもあります。
シーズ志向によって成功した事例
最後にシーズ志向によって成功した事例を紹介します。この成功事例をからシーズ志向による商品開発や新サービスの創出のヒントにしてみましょう。
Appleの成功事例
上でも取り上げたAppleでは創業者スティーブ・ジョブズがこれまで世に存在していなかったさまざまな商品を開発し、シーズ志向の成功例としてよく取り上げられます。
商品開発におけるジョブズの手法は、革新的な商品ありきでニーズを消費者に教示するという考え方が根底にありました。ジョブズが開発したiPodやiPhoneは機能やデザインなどそれまで見たことのない商品で、多くのユーザーを魅了し大ヒットしました。
Appleの成功事例では、消費者が認知していなかった潜在ニーズが、商品が登場することによって顕在化していきました。ジョブズが持っていた思考力や開発力、企画力がシーズにあたります。
iRobotの成功事例
シーズ志向の成功例として、iRobotが生み出したロボット掃除機であるルンバも該当します。
これまで世の中にはたくさんの掃除機が存在していましたが、いずれも人間が手を動かして掃除機を操作しながら掃除をするのが当たり前でした。
ルンバの登場によって、AIで掃除が自動にできることや、手を使わなくても掃除ができるなど、作り手側が消費者に対して価値の提供を考え、消費者の思考にそもそもなかった潜在的な欲求を満たす大ヒット商品となりました。
構成/編集部