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マーケティング用語としてよく見かける「シーズ」って何?

2022.11.20

『シーズ』という言葉をご存じでしょうか?『ニーズ』は聞いたことがあるけれど、シーズは聞いたことがないという人も多いかもしれません。シーズとは何か、ニーズとの考え方の違いなどを解説します。

シーズとは?

『シーズ』とはビジネス的な観点からそもそもどういった意味があるのか紹介します。技術シーズ・研究シーズ・特許出願情報としてのシーズも解説します。

マーケティング用語としての「シーズ」とは?

元来、シーズ(Seeds)は、日本語に訳すと、『種』という意味になります。商品やサービスの開発に必要な独自の技術やノウハウなど、ビジネスを展開している企業が持っている種となるものを指します。

よく似た言葉で、『ニーズ』という言葉がありますが、こちらは消費者ニーズに代表されるように需要や欲求、必要性を意味します。

言い換えれば、消費者はさまざまな不具合や不都合(ニーズ)を抱えており、その不具合や不都合を生産者側の技術やノウハウ(シーズ)によって解消してあげることで、顧客が幸せになるという関係性になります。

技術シーズ・研究シーズ・特許出願情報としてのシーズ

技術シーズは、新製品を生み出すためのアイデアや新事業を立ち上げ進めていく上で必要な技術のことを指します。

研究シーズは、科学技術などさまざまな研究をする上で種となるもので、進めている研究が実を結び、大きな成果が表れる可能性が高い研究のことです。

特許出願情報としてのシーズは、特許出願を通して企業独自の技術・ノウハウに事業化の見込みがある技術のことを特許出願情報としてのシーズと呼んでいます。

シーズ志向・ニーズ志向の違い

シーズやニーズにはそれぞれシーズ志向・ニーズ志向という考え方が存在します。それぞれの特徴や、ニーズと混同されがちなウォンツについて紹介します。

シーズ志向とは

自社の技術力や開発力を活用しながら、新商品の開発や新サービスの創出を行うことで、新たな市場を開拓していくことを『シーズ志向』と呼びます。

他社が簡単にはまねできないことから市場で優位に立つことができますが、独創的すぎると消費者に受け入れてもらえないという可能性もあります。

成功のためには潜在的な消費者ニーズを正しく読み取ることが大切で、生産者目線に寄りすぎない感覚も重要となってきます。

ニーズ志向とは

『ニーズ志向』は、消費者がどんなものを求めているのか把握するために市場調査などを行い、ニーズを把握・追求した上で商品を市場に投入することを指します。

消費者ニーズを把握しているので、市場に受け入れられやすい半面、同業他社による類似商品・サービスが先行していたり、価格競争に巻き込まれたりする可能性もあります。

市場で優位性を保っていくためには、類似商品・サービスとの差別化や消費者への訴求方法など、自社の独自性を生かしたアプローチが必要になります。

ニーズと混同されがちなウォンツとは?

『ウォンツ』はニーズとよく混同されがちですが、ニーズ(欲求や需要)を「手段」として特定の商品やサービスに求めることを指します。

例えば「お腹が空いた」という欲求が消費者に起こった場合、食べものであれば何でも良いと考えるのがニーズで、「ラーメンが食べたい」だとウォンツになります。

ウォンツには自分にとって今は必要ないけれど、突発的に欲しいという欲求が生まれることも含まれます。例えば、現在使っているスマートフォンに不満があるわけではないものの、新型のiPhoneが発表されたら欲しいと考えるのは、消費者の感情にウォンツが潜んでいると考えることができます。

シーズの見つけ方とは?

自社のシーズを考えていく上で、いくつかのポイントやコツがあります。ここでは、シーズの見つけ方を解説していきます。

自社にどんなシーズがあるのか洗い出し、シーズの価値を分析する

世の中にはさまざまな企業が存在しますが、どの企業でも自社の強みが存在するはずです。まずは、自社のシーズを洗い出してみましょう。

自社と他社の商品やサービスの違いを探し、他社よりも秀でている部分が何かを探します。気になったことや気づいたことは何でも良いので、メモに書き出していきましょう。

シーズを洗い出すことができたら、次は価値の分析をします。価値の分析をする際に意識しておきたいのが、シーズの事業化が実現した場合にどれだけコストがかかりそうか、また消費者に受け入れられそうかということです。

上述のようにいかに優れたシーズが自社にあっても、消費者ニーズからかけ離れすぎたものは市場を形成することは難しく、事業化を見送る判断も必要となる場合があります。

シーズ志向のメリット・デメリット

シーズ志向は、良いことばかりではありません。メリット・デメリットをそれぞれ見ていきましょう。

メリット:市場を独占できる可能性がある

市場を独占できる可能性があるのは、シーズ志向で作り出された商品です。シーズは、自社の独自の技術力やアイデア、商品開発力が全面に出るため、革新的な商品が生まれ、市場の奪い合いが起こりません。

具体例として有名な話は、Appleが開発したiPhoneです。新しくスマートフォンというカテゴリーを生み出し、市場の独占に成功しました。そのほかにはワイヤレスのイヤホンや充電器などが記憶に新しいです。

デメリット:時間と費用が無駄になってしまう可能性がある

デメリットとしては、自社が新商品の開発や新サービスの創出に費やした時間や費用が無駄になってしまう可能性があるという点です。

シーズ志向によって生まれた革新的な商品やサービスは、発売後すぐに消費者に受け入れられるとは限りません。かけた時間や費用を回収するためには、その商品が消費者の興味を引き購入する行動につなげる必要があります。

新しく生み出された革新的な商品を購入してもらうには、なかなかハードルが高いというのが実情で、それがマーケティングの難しさでもあります。

シーズ志向によって成功した事例

最後にシーズ志向によって成功した事例を紹介します。この成功事例をからシーズ志向による商品開発や新サービスの創出のヒントにしてみましょう。

Appleの成功事例

上でも取り上げたAppleでは創業者スティーブ・ジョブズがこれまで世に存在していなかったさまざまな商品を開発し、シーズ志向の成功例としてよく取り上げられます。

商品開発におけるジョブズの手法は、革新的な商品ありきでニーズを消費者に教示するという考え方が根底にありました。ジョブズが開発したiPodiPhoneは機能やデザインなどそれまで見たことのない商品で、多くのユーザーを魅了し大ヒットしました。

Appleの成功事例では、消費者が認知していなかった潜在ニーズが、商品が登場することによって顕在化していきました。ジョブズが持っていた思考力や開発力、企画力がシーズにあたります。

iRobotの成功事例

シーズ志向の成功例として、iRobotが生み出したロボット掃除機であるルンバも該当します。

これまで世の中にはたくさんの掃除機が存在していましたが、いずれも人間が手を動かして掃除機を操作しながら掃除をするのが当たり前でした。

ルンバの登場によって、AIで掃除が自動にできることや、手を使わなくても掃除ができるなど、作り手側が消費者に対して価値の提供を考え、消費者の思考にそもそもなかった潜在的な欲求を満たす大ヒット商品となりました。

構成/編集部

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