ジネスにおいて重要な考え方である「率先垂範」の読み方や意味、類義語、使い方を解説します。さらに率先垂範の実践のポイントにも触れます。
目次
「率先垂範」はビジネスにおいて重要な考え方です。しかし日常生活では耳馴染みのない四字熟語であるため、今回初めて知った人もいるでしょう。
「率先垂範」の読み方や意味、類義語、使い方を解説します。さらに率先垂範の実践のポイントにも触れます。
「率先垂範」とは
まずは「率先垂範」の読み方と意味を確認します。また「率先垂範」の類義語も紹介します。類義語を覚えておけば、とっさに言葉が出てこなかったときにも柔軟に対応可能です。
読み方と意味
「率先垂範」は「そっせんすいはん」と読みます。「率先垂範」とは「人々の先頭に立ち、自らの行いをもって模範を示す」ことです。例えば何の心掛けもなく、ただ仕事をこなしている部下に対して、顧客を大切にする姿勢を見せる様は率先垂範といえます。
率先は先頭に立つ。垂範は手本や模範を示す四字熟語
「率先垂範」は先頭に立つ意味の「率先」と手本となる意味の「垂範」が組み合わさった四字熟語です。
語源は何?
「率先」は史記の『絳侯周勃世家(こうこうしゅうぼつせいか)』、「垂範」は宋書の『謝霊運伝(しゃれいうんでん)論賛』に記された語句で、いずれも中国の歴史書に由来します。
言い換えると何? 類語表現
「率先垂範」と似た意味を持つ表現には、「率先励行(そっせんれいこう)」「範を示す」「自ら手本となる」「身をもって示す」が挙げられます。それぞれの表現は似た意味を持っていますが、わずかにニュアンスが異なるため、誤解を与えないよう注意が必要です。
「率先励行」は人々の先頭に立ち、努力に励むという意味です。率先垂範は模範を示すのに重きが置かれているため、自身が努力することを重視する「率先励行」とは厳密には異なります。「実践躬行(じっせんきゅうこう)」も「率先励行」と同様のニュアンスを持つ表現です。
「範を示す」「自ら手本となる」「身をもって示す」には、模範を示す意味が含まれている点で、率先垂範と類似した表現といえます。ただし先頭に立つという意味合いは含まれないため、仕事への取り組み方を示すのではなく、技術的な指導に留まる場合によく使われます。
「率先垂範」の使い方
「率先垂範」の意味を理解した上で積極的に使ってみれば、自分の言葉として定着して語彙力を増やせるでしょう。「率先垂範」をビジネスの場で口にするときの言い回しに加えて、使うときの注意点を解説します。
ビジネスシーンでの例文
「率先垂範」はプロジェクトリーダーや課長など、役職を与えられた人に対して使われる表現です。特定の人を称賛するのに使うときもあれば、自分自身に対して身を引き締めるために用いるときもあります。
例えば課長を褒めるときには、「課長は仕事ができるのに加えて、人当たりも良いため、多くの社員の率先垂範となっている」のように使います。逆に「部長には率先垂範の姿勢が見られないため、誰も慕っている人がいない」と、批判的な使い方も可能です。
さらに自分自身に対して使うときは、「プロジェクトリーダーになったからには、率先垂範を心掛けてプロジェクトの成功を目指します」のように謙虚な気持ちを持って伝えるのが適切です。
二重表現に注意
「率先垂範」と口にするときは、二重表現になってしまう恐れがあるため、冗長な表現にならないよう注意が必要です。よく陥ってしまう間違いとしては以下の例が挙げられます。
- 率先垂範してチームを引っ張った
- 模範を示して率先垂範とした
「率先垂範してチームを引っ張った」では、先頭に立つ意味の率先と「チームを引っ張った」が同じ意味になっています。
「模範を示して率先垂範とした」では、「模範を示して」と手本を見せる意味の垂範が同じ意味の二重表現です。「頭痛が痛い」のような二重表現を使うと、教養がないと判断されて信頼を失う恐れがあるため、誤用しないように気を付ける必要があります。
率先垂範の姿勢、行動を部下に見せるポイント
率先垂範の行動を通してチームをまとめるためには、三つのポイントを意識することが重要です。率先垂範の実践に欠かせない要点を解説します。
部下との信頼関係がベース
率先垂範の基本は部下との信頼関係です。いくら仕事ができても部下との関係性が悪ければ、模範とされることはありません。先頭に立って行動したときに部下がついてくるように、普段から良好な関係性を築いておく必要があります。
役職に就いて部下を持つと、自分は偉いのだと勘違いしてしまう場合もあるでしょう。しかし上司と部下の関係を上下関係として捉えているだけでは、部下の心が離れていく一方です。フラットな関係を築けるようになって初めて、部下も心を許して信頼を置くようになるものです。
泥臭い仕事に取り組む謙虚な姿勢
技術的に優れているところを見せれば、率先垂範の姿勢になるわけではありません。誰もが面倒だなと思い避ける仕事や難易度の高い仕事にも、上司が自ら積極的に取り組む姿勢が重要です。上司が率先して大変な仕事に取り組んでいれば、上司の負担を減らそうと考えて部下も積極的に取り組むようになるでしょう。
ただし誰も取り組まない泥臭い仕事を上司の自分がしたからといって、部下を非難したり横柄な態度を取ったりしては、仕事へのネガティブな印象を与えるだけで逆効果です。率先垂範の姿勢を見せるには、部下の立場に立って考えることが大切です。
感謝と評価の気持ち、言葉を忘れずに
自分の背中を見て行動してくれた部下に対して、感謝の気持ちを伝えるのも率先垂範の一環です。ポジティブなフィードバックを与えれば、部下はその後も自発的な行動をするようになるでしょう。
部下の行動が自分の想定とは異なるアプローチだったとしても、頭ごなしに否定するのは不適切です。新しい視点を評価した上で、より良い行動のためにはどうしたらいいかアドバイスする姿勢が不可欠です。
さらに行動と成果に見合った評価を示すことも、部下の積極的な行動を後押しするでしょう。ただし評価のポイントや軸が、会社の人事評価制度と方向性がずれないように注意する必要があります。
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構成/編集部