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ホテル、観光地、繁華街、コロナ禍を経て変わったベトナム・ホーチミンの今

2022.09.26

海外旅行再開の機運が高まってきた。「いよいよ海外へ行ける!」と、ウズウズしている人もきっと多いはずだ。しばらくご無沙汰していた間に、世界はどう変わったのか? 海外旅行の最新事情は? 

前回のタイに続き、コロナ明けの海外旅行第二弾としてベトナムへ訪問レポートの後編をお届けする。

前編はコチラ

地下鉄はいつ開通? 移動手段はアプリで確保

外国へ行くと、自分がその国へやってきたことを実感する瞬間がある。およそ3年ぶりに訪れたホーチミン。空港を出て、道路を埋め尽くす、おびたたしい数のバイクを目にした刹那、ああ帰ってきたんだなぁとしみじみした。ベトナムを代表する風景といえば、やはりこのバイクだらけの町並みだろう。

心なしか自動車が増えているような印象も受けたが、人々の日々の移動手段としてはまだまだバイクが主役のようだった。そういえば、3年前にこの街を訪れたときには、地下鉄を建設中だったことを思い出した。というより、3年前どころか、それよりも遥か前からもうずっと工事をしていたような気もする。

調べてみると、ホーチミンの地下鉄は当初は2018年開業予定だったようだ。そろそろ完成しているのだろうかと期待したが、コロナ禍の影響で開業がさらに遅れているのだという。
「地下鉄ねぇ……(苦笑)。家から駅までバイクで行くのなら、目的地まで直接バイクで行った方がいいよね」
現地の友人に聞いてみると、冷めたコメントが返ってきた。本当にそんなものができるのか半信半疑といった様子だ。

ただ、ホーチミンの地下鉄がなかなか完成しない一方で、北部の首都ハノイでは2021年11月に地下鉄が開通済みである。今回乗ってきたベトジェットのYouTube広告では、ハノイの地下鉄が映像で大々的に使われている。それを見る限りでは、バンコクのBTSと似た雰囲気の高架鉄道という印象だ。

地下鉄のような公共交通がない現状では、旅行者の移動手段はタクシーが基本となる。といっても、流しのタクシーを捕まえて乗るようなことはもうしない。活用したいのが配車アプリ「Grab」だ。今回の滞在中もすべての移動をGrabで手配したが、あまりに便利すぎてこれなしでの移動は最早考えられない。ベトナム旅行の必須ツールと言っても過言ではないだろう

Grabでは行き先を設定すると、近くを走っている車とマッチングしてくれる。料金が事前に分かるので、ぼられる心配もいらない。検索をかけると早ければ10秒以内、遅くても30秒以内には車が見つかる。呼んだ場所にもよるが、その後2~3分で、遅くても10分も待てば車がやってくる。一度だけ、大雨が降っていたときになかなかつかまらないことがあったが、それ以外はとくに問題もなかった。
現金ではなくカード払いができるのもGrabの利点だ。ベトナムの通貨ドンは桁数が多くて分かりにくい。移動する度にいちいち紙幣を数えて運転手に渡し、お釣りをもらうのもストレスである。

注意点としては、カード払いの場合にはベトナムに着いてからアプリにカードを登録する必要がある。日本のクレジットカードは使えるものの、ベトナム国外から登録しようとするとエラーが出て弾かれてしまうのだ。日本を出発するまでは、ひとまずアプリのインストールだけ済ませおけばいい。

ホーチミン旅行の拠点は「3区」が超オススメ

予約を入れたのは「3区」にあるホテルだった。近年はホーチミンでの滞在先としては3区を選ぶようになった。街の中心である1区のやや北側に位置し、タンソンニャット国際空港から1区へと南下していく途中に通るエリアだ。

約20年前に初めてこの街に来たときはデタム通り周辺で民泊していた。一泊5USドルもしないような気軽な宿だった。バンコクのカオサンと並び、アジア屈指の安宿街として、デタム通りやそれと交わるファングーラオ通り周辺エリアが名を馳せていた時代だ。

週末旅行で来るようになってからは、ドンコイ通り周辺に泊まるようになった。主要な観光地やショッピングスポットが集まる、1区の中でも最も賑やかなエリアで、ガイドブックなどでも必ずメインで紹介されている。東京でいえば銀座のようなところだ。

そんな変遷を経て行き着いたのが3区だった。1区のような煌びやかな感じはなく、適度にローカルな趣がある下町のような雰囲気が気に入っている。緑豊かな並木道が続いているのも散歩していて気持ちいい。

1区までもそう遠くない距離で、ドンコイ通りなどに用事があっても割とすぐに行ける好立地である。空港寄りなので、行き帰りの空港移動が楽なのもありがたい。ホーチミンでの拠点としては、3区は実は非常におすすめのエリアなのだ。

今回の宿泊先は「La Vela Saigon Hotel」。コロナ禍の2020年に出来たばかりの新しい5つ星ホテルと聞いてなんとなく勘で選んだのだが、これが大当たりだった。3区を拠点に快適な旅をするうえでの、決定版ホテルと言ってもいいかもしれない(補足しておくが自腹だ。「案件」ではないので、念のため)。

立地的には、空港から1区へと向かうメインロード沿い。どこへ行くにも便利な場所である。最大の特徴は高層タワーであること。この手の眺望をウリにしたようなホテルは、ベトナムでは案外珍しい。上層階の客室でもしっかりテラスがあって、外へ出られるのも気に入った(危ないので要注意だが)。

極めつけは最上階の27階に設けられたプールだ。建物の縁ぎりぎりまで水があって、そのまま空に繋がっているかのように見える。昨今流行りの、いわゆるインフィニティ・プールなのだが、この手のプールの中でもとくにスケールが大きく、絶景度合いがずば抜けていると感じた。

分かりやすく言うなら、シンガポールのマリーナベイサンズも顔負けの「天空のプール」なのである。マリーナベイサンズのプールでは、目の前に高層ビルがずずんと立ち並んでいるが、こちらは周りに高い建物がほとんどないせいで、「天空感」がより強い。眼下に広がるパノラマの景観を眺めながら泳いでいると、神様になったような気分だ。

料金がお手頃なのも魅力的だ。デラックスダブル・ルームが朝食付きで1万円程度だった。シンガポールの物価高に円安も加わり、マリーナベイサンズは現在料金が驚くほど高騰している(安くても一泊7万円ぐらい、日によっては10万円を超える)。天空プールが目的ならば、ホーチミンのこのホテルもアリだろう。

ピンク教会とピンクのネオン街

3区の見どころを紹介すると、「タンディン教会」は主役級の存在といえるだろう。外壁がピンク色の可愛らしい教会は、これぞ「映え」スポットという感じで大変絵になる。

ホーチミンの教会といえば、1区の外れにある「サイゴン大教会」も定番だが、こちらは筆者が訪れた2022年9月時点では改修工事中で、建物が完全に工事用の足場で覆われていた。当初は2023年に工事が完了する予定だったが、コロナ禍の影響もあって2027年に延期となったという。地下鉄同様、気長に待ちたい。

タンディン教会から徒歩数分の距離にある「タンディン市場」も必見だ。規模はそれほど大きくないものの、昔ながらのローカルな市場の雰囲気が残っていて懐かしい気持ちになる。観光客が比較的少ないせいか、客引きが控えめ(ゼロではない)なのもいい。

正面入口から市場内へ入ると、布屋さんがズラリと並んでいる。タンディン市場は布市場として有名なのだ。女性ならば生地を選んで採寸してもらい、アオザイを仕立ててもらうなんて楽しみ方も。今回は一人旅だが、以前に夫婦で来たときに妻がここでアオザイを作ったことがある。

タンディン市場から道路を挟んで反対側が3区で、市場自体の住所は1区になる。ちょうど1区と3区の境目付近に位置するわけだ。

1区の市場としては「ベンタイン市場」のほうが有名だろう。こちらはモロに観光客向けの市場という感じで、土産物がたくさん売られている。客引きが割と力強く、値段も高めではあるが、そういうものと割り切ってしまえば案外楽しめる。久しぶりに行ってみると、コロナ前とほとんど変わらないお馴染みの光景が広がっていて安心した。

ベンタイン市場の前には大きなロータリーがあったはずだが、今回訪れたら広大な敷地が更地になっていて柵で囲われていた。工事用の車両も停車している。現在建設中の地下鉄「メトロ1号線」の始発駅「ベンタイン中央駅」がここに作られるのだという。

また、ベンタイン市場では夜になると周辺に屋台が立ち並び、ナイトマーケットが開かれていた。ホーチミン名物のひとつだったのだが、そのナイトマーケットもコロナの影響を受けて休止中となっている。いつ再開されるのか何人かに聞いてみたが、誰も分からないようだった。そういえば、前回訪れたバンコクでもナイトマーケットが閉鎖されていた話を書いた。残念な限りである。

ナイトマーケットがやっていないとなると、ほかに夜遊びスポットとしては「ブイビエン通り」が有力候補になるだろう。こちらは健在である。というより、むしろますますパワーアップしていて呆気に取られた。

通りの両側にバーが何軒も立ち並び、ケバケバしい色のネオンで彩られている。ドカドカとダンスミュージックが鳴り響き、お立ち台の上で若い女性ダンサーたちがクネクネと腰を揺らしている。ホーチミンで、いやベトナム全土においてここは最も勢いのあるナイトスポットといえるかもしれない。

バーは基本的にオープンエアで、道にはみ出すようにしてテーブルや椅子が並べられている。空いている席に座り、ビールを頼んだ。爆音が耳をつんざく。まるでその音量を競い合うかのように、ドカドカ音が四方八方から聞こえてくる。現地の友人と一緒に飲みに来たのだが、耳元に顔を近づけて話さないと会話の音も聞こえないほどだ。

あまり昔話をするのも気が引けるが、ずいぶんと様変わりしたなぁというのが素直な感想だ。ブイビエン通りはデタム通りの安宿街から近いこともあって、元々旅行者には馴染み深い通りだった。泊まっていた頃は美味しいローカル食堂や、格安の洗濯屋さんなどがあったのを覚えている。

ベトナムの急速な発展に歩を合わせるようにして、ブイビエン通りは進化し続けてきた。どんどん人が集まってきて、どんどん賑やかになっていった。土地柄外国人も多かったが、発展の原動力となったのはベトナム人の若者たちだったと思う。

久しぶりにやってきたら、以前と比べて立ち並んでいるバーがやたらと大箱ばかりになっていた。バーというよりも、最早クラブと表現したほうがいいかもしれない。
「コロナでつぶれたお店も多くて。そうしたら隣の店がそこを吸収して大きくなって」という現地友人の説明を聞いて納得した。

ドカドカ音が途切れる奥のほうまで通りを歩き、右折して少し歩くとファングーラオ通りと交差する角に行きつけのフォーのお店がある。安くて、美味い。飲み歩いた後のシメにちょうどいい。半生状態の牛肉が乗ったフォーを頼んだ。麺と一緒に香草がドサッと出てきたので、それをお椀からあふれるほどたっぷりかけてわしわし食べた。

マスクでバイク、ベトナムのコロナ事情は?

旅行中はこれをしたい、あれもしたいと次々と欲求が生まれてくる。だから自分がやりたいことをリスト化しておくと分かりやすいのだが、ベトナム旅行ではそのリストの大部分が食べることになったりする。美味しいものだらけなのだ。

街じゅうに大小さまざまなカフェがあって、歩き疲れたら気軽に小休止できるのもベトナムの魅力である。コンデンスミルクがたっぷり入って、甘くて冷たい「カフェ・スダー」がお気に入りだ。

小腹が減ったらバインミーをテイクアウトして、カフェに持ち込んだりもする。他店で買った食べものはダメ、などとうるさいことは言われない。近頃は日本でもすっかり知名度が上がったバインミーだが、やはり本場で食べると格別だ。

気になった街の変化として、テイクアウトできるお店が増えたように感じるのはコロナの影響なのだろう。以前はイートインもできたのに、いまはテイクアウトのみになっている店もある。ご飯物のようなお弁当化しやすいものだけでなく、スープ入りの麺なんかも普通にテイクアウトできる。スープと麺と具をそれぞれ別の袋に分けて入れてくれたりして、器用だなあと感心させられる。

本記事に掲載した写真を見て頂いて分かるとおり、街中での人々のマスク着用率はあまり高くない。7月に訪れたバンコクではほぼ日本同様で、9割以上の人々がマスク姿だった。あれから2ヵ月経ってはいるものの、タイと比べるとだいぶゆるい。国民性の違いもあるのだろう。

ただし、バイクに乗っているときは必ずマスクを着用しなければならない。違反が見つかると60万ドンの罰金なのだという。この国では元々、バイク乗車時にはマスクをする文化が根づいていたから、マスク姿のバイクの大群を見てもあまり違和感は覚えないのだが。ほかにも飛行機の機内や、空港内ではみなきちんとマスクをしていたことは補足しておきたい。

今回乗ってきたベトジェットでは、到着後にベトナム国内でPCR検査が無料で受けられるサービスを提供している。自費で受けると結構高額なので、必要な人にはありがたいサービスだ。筆者がフライトを予約した時点ではまだ日本の水際対策が緩和されていなかったから、この無料PCR検査があることも同社を選ぶ決め手となったほどだった。

ところが冒頭で前述した通り、9月7日から帰国時の陰性証明の提示が撤廃されたため、このサービスを受ける必要もなくなった。

3泊4日の短い旅だったが、今回は欲ばってホーチミンのほかに中部の都市ダナンにも行ってみた。主要都市だけでなく、その国の国内線を活用して地方都市へも足を運ぶ。かつては当たり前だったそんな自由気ままな旅も、いよいよ本格的に実行できる時代が戻ってきた。

ダナンの旅の模様はここでは割愛するが、念願だった「バーナーヒルズ」へ遂に行くことができたのは自分にとって大きな収穫だった。ダナン郊外の山の頂上に作られた「神の手」と呼ばれる巨大な手と黄金の橋の風景が話題だ。神の手のように、コロナのせいで行き逃している最新スポットはまだまだ世界中にあるから、これから徐々に巡っていければと思っている。

吉田友和(よしだ・ともかず)
旅行作家。1976年千葉県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。旅先からリアルタイムに更新し続け話題になった旅行記サイトの書籍化『世界一周デート』で作家デビュー。これまでに約90カ国を訪問。雑誌やWEBメディアへの寄稿のほか、編集者として旅行ガイドの制作なども手がける。著書『ハノイ発夜行バス、南下してホーチミン』(幻冬舎文庫)がTVドラマ化された。2020年に小説『修学旅行は世界一周!』(ハルキ文庫)を刊行。近年は「子連れ旅」「半日旅」にも力を入れている。
公式サイト:旅行作家★吉田友和 Official Web

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