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金芽米と玄米はどう違う?東洋ライス雜賀社長が語る「おこめ秘話」

2022.08.18

[第2回]開発者が語る“金芽米、玄米とどう違う?”東洋ライス株式会社社長・雜賀慶二

[第1回]はコチラ

「金芽米」とは何か?

 玄米は体にいい、と言われます。しかし玄米は食べにくいと感じる方が多いのも事実。これは昔の日本人も同じだったようです。日本人は江戸時代まで、ほぼ玄米を食べて暮らしてきました。しかし江戸時代の終わり頃、白米が登場します。真っ白に磨かれたお米は当時の上流階級に愛されるようになりました。

 しかし、これが死に至る謎の流行病をもたらすのです。その病気にかかると足がしびれたりむくんだりし、次第に感覚が麻痺し始め、ひどくなると手足に力が入らず寝たきりになり、心不全で死に至ります。これは当時「江戸わずらい」と呼ばれ、14代将軍徳川家茂と、その妻である皇女・和宮もこの病で亡くなり、明治時代になると年間数万人が命を落とすようになります。

脚気患者。玄米食が白米食に変わったため、江戸時代末期から明治、大正時代にかけ流行した

 現代の病名は「脚気」です。原因はビタミンB1の不足。すなわち、脚気で亡くなった方たちは白米でなく玄米を食べれば死なずにすんだのです。

 お米が白いと書いて「粕(かす)」と読みます。一方、お米に健康と書いて「糠(ぬか)」と読みます。この漢字をつくった大昔の人は、お米の白い部分と、お米の糠のどちらが栄養豊富かを知っていたのかもしれません。

 しかも、予防できる病気は脚気だけではないのです。

ポイントは「亜糊粉層」を残すこと

 例えば毎食お茶碗一杯の白米を玄米に変えると、摂取カロリーは30%も減らせます。実際にハーバード公衆衛生大学院は、日常の食べるお米の3分の1である50gを、白米から玄米に置き換えるだけで、2型糖尿病の危険性は16%低下するという論文を発表しています。ほかにも糠層は食物繊維などの栄養成分が豊富です。現在はおかずの栄養が豊富なため脚気で亡くなる方はほとんどいませんが、これらの栄養素が不足することで、我々が気付かない「第二の江戸わずらい」が起きている可能性もあります。

 しかし、玄米はやはり食べにくい。そこで、私は精米機の会社の創業者であり、機械の技術にも精通している身として、何とか味は白米に近く、栄養分は玄米に近いお米を作ることはできないかと考えつづけていたのです。

 ここで下の図をご覧下さい。

お米の構造。デンプンに一番近い層が「亜糊粉層」。

 玄米の表面にはいくつもの層があり、一番外側は「ロウ層」です。その名の通りロウソクの“蝋”の性質に近く、水を弾きます。お米は水を含むことで発芽しますが、ちょっと雨に濡れただけでは発芽しないよう、実の周囲を薄いロウ層で覆っているのです。自然の神秘を感じますが、人間が玄米を食べることを考えると、このロウ層は必要ありません。玄米に水が染みこみにくく炊いても膨らみにくいのはロウ層の影響だからです。次に、ヌカ層があります。そしてヌカ層の奥、白米のデンプン層と接する部分には、亜糊粉層という部分があるのです。

 そして注目すべきはその亜糊粉層、こここそが非常に栄養豊富なのです。

 まず酵素が多く含まれています。炊飯時にお米を水に浸けると、この酵素の作用によって、でんぷんや蛋白質などが科学変化を起こしオリゴ糖などの多種多様の栄養成分を生み出します。加えて、LPS(リポポリサッカライド)をはじめ、ミネラルも豊富なのです。

 私は精米の時にロウ層とヌカ層をとり、亜糊粉層は残せる機械を開発しました。そして実際にお米を炊いて当社の研究所で調べると、面白いことがわかりました。食感は白米と同じ。それだけでなく、亜糊粉層は香ばしく、これを残したお米は白米よりおいしかったのです。

金芽米は栄養成分が多く、味は白米よりおいしい

 その後、私は自らが実験体となり、亜糊粉層を残したお米を食べ続けました。すると、驚くべき変化があったのです。

 幼少の頃から病弱で、成人になってからも病気のデパートと言われていた私が変わり始めたのです。最初に気付いたのは『最近口内炎にならないなあ』ということ。次に『しばらく風邪もひいてないなあ』となり、やがて糖尿病も含め全ての病が消え去ったのです。私は年齢だけを見れば「後期高齢者」です。そして後期高齢者には、平均で年間約100万円弱もの医療費がかっています。しかし私の医療費はこの数%。一言でいえば、健康そのものなのです。

雜賀氏がお米の研究に打ち込む(年代不詳)

 もちろん、私の体だけをもって証拠とするわけにはいきません。その後、私は当社を含む様々な企業の社員食堂に、この「亜糊粉層を残したお米」を納入し、食べてもらうことにしました。すると、この方たちが使う医療費がほぼ半額になったのです! もちろん地域差や業種による差があってはいけないので、全国で試験し、同業他社と比較しています。また、更に2年間の追跡調査を行った最新の研究では、依然として医療費の低減化が維持されており、更には新型コロナウイルス感染症についても、感染率が低水準であるという傾向が判明しました。これらは、まだまだ研究中の事項です。更に研究を進めていく予定でおります。

 皆さんも、そんなお米を食べてみたいと思いませんか? 実はそれが、亜糊粉層を残したお米「金芽米」なのです。

 私はこのように、医食同源と考え、お米と健康に関する様々な実証を繰り返しています。人類は文明の発展に伴い、食事を「よりおいしく」「より食べやすく」「より綺麗に」と進化させてきました。しかしこれによって失った「健康効果」はあまりにも大きく、それは進化でなく、実際は退化だったのです。

東洋ライス代表取締役社長 雜賀慶二

取材・文/夏目幸明

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