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「Web3」こそ新しい資本主義だ!孫泰蔵氏が語るWeb3の本質

2022.07.28

【不定期連載】孫泰蔵氏が語るWeb3の本質~〝みんなの幸せ〟を目指すサービスが続々登場!DAOを知ればWeb3がわかる~

みんなで基地局を設置すれば、激安のスマホネットワークができるはず。そんなことを手がけるWeb3スタートアップのHelium。ここの取り組みを知ると、Web3がもっと身近になってくるはずだ。

【第一回】なぜ日本から優秀な人材が流出しているのか?孫泰蔵が語るWeb3の本質

【第二回】キラキラしていたWeb1.0がアップグレードして戻ってきた?Web3は「コモンズ」を目指す

Web3でスマホ代が激安になる

皆さんも自宅でWi-Fiルーターを使っていると思うんですが、それと似たアクセスポイントを設置して周りの人に使ってもいいよ、と解放し、同時にそのサービスのメンバーになる。すると、世界中どこを旅してもメンバー向けのアクセスポイントがあるところでは、インターネットが使える。こんなプロジェクトに取り組んでいるのが、Helium(ヘリウム)って言う会社です。

これ、自分が解放したアクセスポイントを、誰かが使ってくれたら、チャリンチャリンとトークン(Heliumトークン)を稼げるんです。

しかも、Heliumトークンは上場されていて、マーケットがあります。Exchange(交換所)で取引されてて、これからは、いろんなトークン、たとえば、この会社の投票の権利などが持てるようになる。また、株式的な側面もあるんです。

 また、HeliumユーザーにPCやタブレットを売るメーカーを募ることもことも考えているようで、その際はHeliumトークンで購入できるしくみも考えているようです。

 こんな風になってくると、個人だけでなく会社でアクセスポイントを置こうか、というところも出てくる。オフィスだと使う人がいっぱいいるから、めっちゃHeliumトークンが稼げる。となると、Bitcoinのマイニングみたいになりますよね。そうすると、うちの会社は繁華街の一等地にあるので、そこにアクセスポイントをたくさん置こう、で、ガスガス稼ぐぞ、なんていうところも出てくるはず。で、稼いだトークンは、事実上の会社の資産になるし、株券のように、この会社は絶対に成長するね、となると、そのトークンの通貨としての価値が上がる。しかも、いろんなメーカーとかとタイアップして、Heliumトークンが使えるようにもなってくる。

 あと、世界中にHeliumのアクセスポイントが出来つつあるわけだから、旅行代理店と提携して、ホテルでもHeliumトークンで払えるようにするとかってこともあるようです。そうすると、これ、この先も伸びそうだから、いまのうちに買っておこう、なんて、投資家も出てくるでしょう。

 これって、通貨発行権を持った経済圏になりますが、じゃあ日本国の国債とHeliumトークンって、どっちが値上がりしそうですか? 10年後。そんなことが、すでに始まっているんです。

Heliumのウェブサイト。Heliumは、すでに米国の通信事業者DISHと提携し、5Gネットワークを構築していくことに合意している。泰蔵氏がいう話は、決して海の向こうの遠い国のみの出来事、というわけではないはず。

※記事初出時に事実と異なる記載がありました。お詫びして、修正します。

スマホのネットワークもコモンズにすべき

 でも、話はこれだけじゃないんです。Heliumは5Gを始める計画がある。そうすると、携帯電話会社はどうなりますかね。たとえば、各国ともスマホで使う無線の周波数帯をキャリア(通信事業者)に割り当てますが、一私企業に免許を与えるよりも、Heliumのほうが公共性が高いし、電波の有効利用もできるんじゃないですかね。

 これって、インターネットのような、みんなで作るネットワークになりますから、Heliumがオークションや周波数割り当て申請に手を挙げたら、どうなっちゃいますかね。資金も、目的がはっきりしているのでみんなから集まりますよね。いまはNTTドコモやソフトバンクとかのキャリアが利益をごっそりと持っていきますが、儲けはアンテナを置いた人たちで分配します、と。しかも分配の内容は、ブロックチェーンで全部ガラス張り。

 そうなったとき、NTT株とHelium株、どっちが伸びますかね? Heliumは確実に民主的で、透明性があり、公共性も高い。だって、トークンが株券でもあるので、誰が、どれだけ保有しているか、そうしたことは誰もが、全部見られる。完全に透明な口座に入ったお金で電波オークションに入札します、プラチナバンドを割り当ててもらいます、といったことができる。

 日本では、菅総理のときに、料金が高止まりしているということで、楽天が参入しましたが、スマホ代を安くしたかったらWeb3にすればいい。だって、ネットワークって、本来コモンズであるべきですよね。昔は日本中にネットワークを張り巡らすのは電電公社やNTTじゃないと出来なかったけれど、それでは効率が悪いということで民営化されました。で、いまの基地局は、どんどんコンパクトになっているので、Wi-Fiルーターと大差なかったりもする。巨大資本がなければできない時代ではないんです、現在は。

 であるならば、みんなでネットワークを作り、限りなく安くしようってなるじゃないですか。だって、企業じゃないから、高くしようというインセンティブは働きませんから。

 こういうのは、まだ日本では知られていないんです。Heliumのようなことって、みんなが幸せになるインフラみたいなものになりそうじゃありませんか?

PCの空き領域で、Web3版クラウドストレージ

 Amazon Web Services(AWS)ってあるじゃないですか。クラウドのストレージとか、データセンターを提供している。あれを、みんなのPCの空きスペースを実現しよう、というのがFilecoin(ファイルコイン)です。

 この人たちが提供しているソフトをインストールすると、自分のPCの空きストレージに暗号化されたデータが入ったフォルダができる。で、これを置いておくと、チャリンチャリンとFilecoinが稼げるんです。このサービスがあると、AWSは要らないってなりますよね。 Heliumは企業でしたが、Filecoinを運営しているのは財団です。これも、メチャクチャ伸びています。

Filecoinは、第1回で触れた、ホアン・ベネット氏らのProtocol Labsが中心となって開発を進めているオープンソースプロジェクト。IPFS(InterPlanetary File System)というコンテンツ指向型プロトコルを用いることで、特定の管理者への依存を減らすことも試みている。

1ページビューから投稿者に利益を分配

 似たようなものでTheta Token(シータ トークン)は、パソコンの空きスペースを提供して、ストリーミングクラウドを実現するWeb3。一言でいうと、YouTubeのWeb3ですね。

Theta Tokenは、2018年に公開されたWeb3サービス。YouTubeの共同創業者のSteve Chen氏が関わっている。日本のGREE、gumi、Sony innovation fundなどが出資している。

 ここだと、YouTuberの1ページビュー目から、広告の報酬を返してくれる。ピンハネしない。なぜなら、このストリーミングクラウドはコモンズだから。

 よく考えると、おかしいですよね。YouTuberは一生懸命動画を投稿しますが、10万人くらいの登録を超えないと、一円ももらえない。それまでの何万人分の広告は、Googleが全部持っていくんです。で、10万人を超えるあたりから、ちょびっとだけYouTuberにも分配する。100万人ぐらいになると、少し増えるよ、とか言って。

 でも、よく考えると、おかしくねーか、となる。みんなのコンテンツが投稿されるから、企業がYouTubeに広告を出す。Googleは、YouTubeのサービスをするために、膨大なクラウドを用意している、それには、めっちゃ金がかかってる。だから、先に回収させてもらっている、ってことで、ちょびっとしか分配しない。

 Theta Tokenは、みんなのPCの空きを使ってるだけだから、金がかかってない。だから、投稿者にお金が戻せる。

 このTheta Tokenには、YouTubeのSteve Chen(スティーブ・チェン)さんもファウンダーになっている。彼が若い頃は、一緒にコモンズをやっていたのでよく知っているんだけど、なんか、こういうコモンズを作ることに、キラッキラしているのかもしれませんね。

Web3が可能にした科学者のギルド、DeSci

 vita DAOは、Decentralized science (DeSci:ディーサイ。分散型科学)を標榜するものです。本来、科学研究は人類全体のためのもので、これこそコモンズであるべきです。けれど、実際には、一部の企業が、その成果を独占してしまっていることは否めない。

 たとえば、不老長寿、アンチエイジング、生命科学って、ものすごく関心が高く、アンチエイジングのすごい薬とか、アルツハイマーが治る薬とかが出来たら、とてつもないインパクトじゃないですか。で、それを開発するために大学の研究所などもがんばっているんですが、結局は製薬会社の資金力にはかなわない。

 研究者も、環境がすばらしいので、製薬会社の研究所に入るわけです。でも、そこに入っちゃうと、知的所有権は企業のものになってしまう。そうすると、すごいお金をかけて研究開発して、他に競争相手もいないなら、めちゃくちゃ薬価が高くなる。

 でもね、長寿のための技術とか、アルツハイマーの治療薬って、人類全体のものとサイエンティストは思っているわけです。でも、製薬会社の研究所でやったから、その成果はそこの会社のものとなるのはわからなくはないけれど、モヤモヤする。

 それをなんとかすることが、Web3になると可能かも、というのが、さっき触れたvita DAOなどのDeSciです。ここには、世界的権威のサイエンティストが集まり、すごい研究特許を持ち寄った。で、vitaトークンを買うじゃないですか。そうすると、ここのDAO(分散型自立組織)にお金が入る。そして、それが研究予算になる。そうして研究が行なわれ、すごい特許とかを取れたとしたら、それを安く薬を作りたいという製薬会社に、安いロイヤリティで出す。すごいものだったら、みんな作りたいから、あっという間に薬が普及して、治療が進む。で、その薬のロイヤリティがめっちゃが入ってくるから、それを次の研究に回す。

 そういうことをしていくと、ここのvitaトークンって上がるよね。そして、ここには既に数十億円の資金が集まっている。まだスタートして1年ちょっとなのに、5000人以上のDAOメンバーがいて、200プロジェクトが進んでいる。パブリックな科学者組合、ギルドみたいなものですよ。

 こういうことは、Web3だから、可能になっていることなんです。

vita DAOは、トークン発行などによる研究資金調達を可能にしただけでなく、特許技術のNFT化で、研究成果をコモンズ化も目指す。こうした動きが、他の科学分野に波及すると、とてつもないインパクトになるはずだ。

 でも、前にも触れたように、日本で、こうしたWeb3スタートアップをやろうとすると、なにも出来ない。まぁ、できるけれど、税金とか、面倒くさくて、やってらんないという話になる。岸田さんがどれくらい理解されているか存じ上げませんが、「新しい資本主義」って言うなら、Web3こそ、「新しい資本主義」ですよ。

 ちょっとフォローをしておくと、はっきり言って、どこの国も似たような壁はあって、シンガポールやドバイは、多少マシという程度。だから、Web3を歓迎するという姿勢を見せれば、まだまだ間に合います。富士登山に譬えるならば、いまのWeb3って、一合目を登り始めたくらいだから。ただ、ボォーっとしていると、よそが五合目までクルマで登ってしまうということになりかねないので、早く対応すべきでしょう。

 ちなみに、アメリカのワイオミング州では、2021年7月にDAO法が施行され、LLC(有限責任会社)としての要件を満たしていれば、LLCでのDAOの利用が認められました。ヨーロッパではベルリンが熱かったんですけれど、いまは規制を作り始めちゃったので、いまWeb3系の人たちはポルトガルに移っちゃいました。なので、リスボンはホットですよ。あとアジアでWeb3がホットなのはベトナム。若いコたちのクリプト保有率が世界一なんです。

孫泰蔵(そん・たいぞう)
日本の連続起業家、ベンチャー投資家。大学在学中から一貫してインターネットビジネスに従事。その後2009年に「アジア版シリコンバレーと言えるようなスタートアップ生態系をつくる」という大志を掲げ、ベンチャー投資活動やスタートアップの成長支援事業を開始。そして2013年、単なる出資に留まらない総合的なスタートアップ支援に加え、未来に直面する世界の大きな課題を解決するための有志によるコミュニティMistletoeを設立。
社会に大きなインパクトを与えるスタートアップを育てることをミッションとしている。

取材・文/橋本 保 hashimoto.tamotsu@gmail.com


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