火にもかけない「トマトめんつゆ」に驚嘆!【DEEN池森の絶品蕎麦レシピvol.2】
今や、芸能界随一の蕎麦好きとして知られる、人気ロックバンドDEENのボーカル・池森秀一氏。大手スーパーにも池森氏監修の乾麺蕎麦コーナーができ、6月にオープンした自身の蕎麦カフェも終日大行列の盛況。5月30日に発売された
初のレシピ本(『分とく山・野﨑洋光監修 DEEN池森の「創作」乾麺蕎麦レシピ』)も、この出版不況にあって絶好調だ。
15年以上、365日ほぼ毎日食べ続けるほどの蕎麦マニアの池森氏。
※参考「365日毎日食べるほど蕎麦が大好き!?DEEN池森秀一氏が蕎麦にハマった理由」
『分とく山・野﨑洋光監修 DEEN池森の「創作」乾麺蕎麦レシピ』
池森秀一・著 小学館・刊 定価1650円(税込)
ちなみにこの本の監修は、日本を代表する料理人「分とく山」の野﨑洋光氏。池森氏が提案するポップで自由奔放な創作蕎麦レシピ25品と、それにヒントを得た野﨑氏の創作蕎麦レシピ25品が対になっていて、合計50品が紹介されている。
前回は、池森氏の創作レシピ第一号である「冷やしトマトバジルそば」を作って食べてみた。今回もトマトと乾麺蕎麦を使い、野﨑氏の創作レシピを作ってみた。日本料理のレジェンドともいえる野﨑氏の料理を、自宅で作れるのか? と思うかもしれないが、これが常識を覆す簡単さだった。
材料は3つだけ、出汁もひかない、火にもかけない
この料理は、池森氏が考案した「サルサそば」からインスピレーションを得た野﨑氏のレシピ。池森氏の「サルサそば」は、冷やしたぬきそばから連想した超簡単レシピで、揚げ玉の代わりに砕いたトルティーヤを使用。トルティーヤに合わせてつゆは、市販のサルサソースにめんつゆ、オリーブ油をミックスしている。
野﨑氏はこの「サルサそば」をヒントに、さらに手軽な「トマトめんつゆ」を考案。それを使用したのが今回作ってみた「アボカドそば」だ。
池森氏の「サルサそば」をヒントに、野﨑氏が考案した「アボカドそば」
「トマトめんつゆ」の材料は、驚くなかれ、なんと「トマトジュース」「うすくちしょうゆ」「水」の3つだけ。(分量は『分とく山・野﨑洋光監修 DEEN池森の「創作」乾麺蕎麦レシピ』参照)。これを冷蔵庫で冷やしておき、冷たい蕎麦にかけるだけ。
トッピングは、乾燥ゆばとアボカド、葱、レモン。乾燥ゆばはスーパーで200円前後で売っている。無ければ揚げ玉で代用してもいいとのこと。
出汁なしで、めんつゆとして成立している!しかも美味しい!
「トマトめんつゆ」を味わってみて、驚いた。出汁をひいてないのに、なんとも絶妙な出汁のうまみを感じる。トマトには旨み成分グルタミン酸が豊富といわれるが、それがしょうゆとこんなに調和するとは。そしてトマトジュースがベースなのに、見事に洗練された「和」の味に仕上がっている。さすが野﨑料理長。
ちなみにこのレシピの最重要ポイントは、「うすくちしょうゆ」を使うこと。「うすくちしょうゆ」とは関西の料理によく使われる、淡い色をで香りが穏やかなしょうゆ。 普通の濃い口しょうゆを使うよりも、上品ですっきりした味わいになる。だから、トマトの中の出汁のようなうまみを邪魔せず、引き出せるのだ。
試しに普通の濃い口しょうゆでやってみたが、全くの別物になった。うすくちしょうゆは、実は濃い口しょうゆよりも塩分が強い。だからつゆとして成立するくらいの塩分まで濃い口しょうゆを入れると、しょうゆの香りが強くなりすぎて、一体感が生まれないのだ。ここはぜひ、(野﨑氏への敬意もこめて)スーパーまで足を運んでうすくちしょうゆを購入して欲しい(そのついでに干しゆばも)。
というのも、この干しゆばの繊細な食感が、本当にこのトマトめんつゆとよく合うからだ。
最初はパリパリ、後になるとトマト麺つゆを吸ってつゆと一体化する。残ったトマトめんつゆに、どんどん干しゆばを追加したくなる。
代用の揚げ玉も悪くない。トマトめんつゆがあっさりし過ぎていると感じる人は、揚げ玉がいいかもしれない。
「冷やしている時間が無い」問題を一挙に解決する方法を発見!
トマトめんつゆは混ぜるだけなので、作るのは一瞬だが、ネックは「冷やしておく」時間。今すぐ食べたい、冷えるのを待っていられない、という時におすすめなのが、コンビニで売っている冷凍のアボカドを使う方法だ。
付け合わせのレモンも、冷凍のカットレモンがあれば常備しておける。どちらもコンビニで購入可能
冷凍アボカドを使えば、「アボカドの皮をむいてカットする」手間が省けるし、ちょうどいい具合に熟したアボカドをいつも食べられる。
何よりいいのは、凍ったままのアボカドをトマトめんつゆに入れれば、つゆも冷えるし、アボカドも瞬時に食べごろに解凍される。つまり、一石四鳥だ。
この方法なら、室温のトマトジュースを使っても適度に冷えるし、アボカドも冷え冷えだが柔らかい状態で食べられる。ぜひ試してみて欲しい。
取材・文/桑原恵美子