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希望の職種が叶わず不本意な就職をした新入社員は早めに転職を検討すべき?

2022.04.28

■連載/あるあるビジネス処方箋

 前回、新入社員に勧める転職をテーマにした。特に業界ランキングを切り口にした内容だ。今回は、希望する職種の観点から考えたい。

 4月に入社した会社が新卒時に職種別採用で、不本意な職種で入った場合は速やかに転職活動をしたほうがいいと私は思う。例えば、編集者を希望し、業界ランキングのBグループ(4位~20位)の出版社に入ったが、営業部に配属となった場合だ。営業部に一定の期間、在籍した後、編集部に人事異動になる可能性があるならば残留したほうがいいだろう。

 職種別採用、つまり、編集、営業、人事・経理など管理部門ごとに採用する場合は、いったん営業職として入社したら、その後は編集部に異動になるケースは相当に少ない。そのわずかな可能性を信じて、営業でがんばればいつかは編集者になれる、と邁進するのは美しい姿ではあるが、私が知る限りではキャリア形成において致命的な過ちとなる可能性も高い。

 仮に編集部に移ることができたとしても、30歳を過ぎていたり、30代後半以降になる場合すらある。その年齢になり、編集の仕事を覚えたところでかなり厳しいだろう。特に業界ランキングのBグループ(4位~20位)の出版社ならば、毎年新卒採用をして一定の水準以上の人材を採用し続ける。後輩が次々に入ってきて、編集者の仕事をしているのだ。いったん営業職で入社した社員が編集部にシフトしても、活躍はなかなか難しいだろう。

 だからこそ、早いうちに退職し、Cグループ(21位以下)も含め、編集者になることができる道を模索すべきだ。理想は、Bグループの出版社の編集者になることだろう。
気をつけるべきは、現在の出版社で営業部員としてキャリアを詰めば、いずれは Bグループのほかの出版社の編集者になれると信じ込むことだ。

 私が知る限りでは、こういうケースはほとんどない。特に30代になると、20代のそのキャリアは営業部員として評価される。転職市場では、編集者としてはほとんど認められない。

 たとえ、Cグループ(21位以下)であろうと、編集者として10年のキャリアを積めば、立派な編集者として転職市場では認められる可能性が高い。その時、30代前半から半ばまでに一定の実績があれば、Bグループの出版社に転職することは十分に可能だ。私が知るだけでも、こういう編集者は20人を超える。例えば、社員数が20人ほどの編集プロダクションから、Bグループの出版社に30代半ばで転職し、40代前半で編集長となり、活躍する女性がいる。この女性が営業を10数年していたら、おそらく、この出版社にシフトすることは難しかったはずだ。こういう事例は出版界以外では、ITやメーカー、建設、不動産、新聞、通信など広い業界で見聞きする。

 なお、Cグループ以下の会社では、賃金をはじめ、労働条件、人間関係、上司のレベル、仕事、育成、キャリア形成、会社の安定や将来性を考えると、AやB、その下のC以下の間には前回紹介したような「ルビコン川」がある。この川は渡らないと、ビジネスにおいては幸福になれないと私は思う。この30数年、この川を渡れないから、不満や不平を抱え込む人を数えきれないほどに見てきた。

 不本意な就職をした新入社員には、そんな人になってほしくない。不満で仕方がなく、転職をしようと思うならば、前回と今回の双方を読んでほしい。そして、未来を切り開いてほしい。苦しいかもしれないが、きっとできるはずだ。

文/吉田典史

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