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部下を容赦なく攻撃するような超パワハラ上司とどう向き合うべきか

2022.04.17

■連載/あるあるビジネス処方箋

ここ数回、ある会社での50代後半の社員の解雇について私の考えを述べている。その男性社員は上司を含め、周囲の社員を徹底して批判、非難し、罵倒していた。こういう攻撃を繰り返す人の周囲で過労死や過労自殺が発生する場合があることを今回はテーマとしたい。

まず、一例を挙げる。20年程前、大手メーカーで上司のパワハラにより、長時間労働をするように仕向けられ、心身ともに疲れ果てたうえ、脳梗塞になってしまった男性がいた。当時は50代前半。脳梗塞になる数年前からは、月平均残業は120~150時間になっていた。男性は入学難易度で言えば、国立の理系で1~2番を争う大学の学部を卒業し、有名な大手メーカーに研究者として入社した。当初から優れた研究業績や論文は学会でも知られ、いずれは卒業した大学の教授として迎え入れられるのではないか、と言われていたようだ。

このエリートの部下をねたましく思う上司がいたという。上司も学歴や研究業績はすばらしいのだが、部下である男性を脅威と感じたのか、激しいパワハラを繰り返したようだ。男性を皆の前で批判、非難したり、論文の中身を否定に次ぐ否定をした。さらには残業が増えるような雑用を命じたり、地方への出張にほかの研究者よりははるかに多く行くようにした。

ほかの部下や同僚、研究者への接し方とはまるで違い、男性には別人のようになり、批判、非難した。生真面目な男性は精神的に滅入りながらも、働き続ける。だが、限界を超えたうえ、脳梗塞となってしまった。勤務ができないようになり、退職し、リハビリを続けることになる。

ここまでの話は、2005年10~12月に数回にわたり取材した弁護士から聞いたものだ。この弁護士は男性と家族から依頼を受け、会社と交渉し、一定の和解となった後だった。男性は過労死には至らなかったが、その1歩手前に近い状態になっていたという。

私が問題視するのは、男性の上司だ。自分よりも優秀な人を認めない傾向があり、部下であろうと目の敵にする場合があったようだ。この上司と、私が30代の時に仕えた上司(40代後半、部長)とは似ている。私はエリートとは程遠いが、上司からライバル視されていたようで、不気味だった。他の社員には指摘しないようなところまで、重箱の隅を楊枝でほじくるように問題を指摘され、批判や非難をされる。上司はまじめではあるのだが、仕事は会社員生活15年で仕えた上司11人の中で最もレベルが低かったと感じた。部下である30代の私たち数人とほとんど変わらない。だからなのか、必死に抑えつけようとしていた。

私も血気盛んな頃。何かを信じていた時期だった。きっと、こう思っていたのだろう。「がんばれば、上司は自分をほかの社員と同じように扱う。会社はこんな上司よりも、自分を認めるはず」。

ほかの社員の倍近い量の仕事を抱え、残業は部内で最も多く、月平均80~90時間になっていた。このペースが2年程続くと、バカバカしくなった。このレベルの上司のもとで人生の貴重な時間を消化していいのか、と自問自答する日々だった。阿保らしく、心底、嫌気がさしてきたのだ。結局、2005年、38歳で退職し、フリーランスになった。17年が経ったが、つくづく辞めてよかったと思う。

私は、前述の研究者のように責任感や使命感を持ち合わせてはいない。無責任と言われようとも、人を批判、非難し続ける人からはひたすら離れることを強く心がけている。この人たちを観察していると、周囲の人と対立や摩擦だらけで、相手を壊すことしか考えてないように見えるからだ。

人を批判、非難するのは、ただ単に自分中心でありたいだけのこと。自己顕示欲や自己重要感に飢えていて、それらを満たしたいだけであるのだ。

こういう内容は、新聞や雑誌、ニュースサイトではほとんど見かけない。あたかも、上司や経営層が性格や気質が常識的で、部下ならばこの人たちに認められることが尊いと言わんばかりに思える内容が多い。私は、メディアがこういう内容だけを伝えるのは好ましくないと考えている。ここでは、上司の中には部下を徹底して攻撃する人がいることを強調しておきたい。そんな人からは離れて、縁を切るのも必要な場合がありうることも伝えたい。読者諸氏が、攻撃を繰り返す上司に心身を潰されないように願っている。

文/吉田典史

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