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解雇規制のメリットとデメリットを考える

2022.04.06

■連載/あるあるビジネス処方箋

前回、男性社員の解雇(この場合は、普通解雇)について書いた。今回は、その続編としたい。解雇についての報道は多数あるが、その判断や意思決定に関わった者が赤裸々に公にする記事はほとんど見たことがない。その意味では希少価値がある、と思うので書き残しておきたい。

私は、この会社の人事コンサルティングに関わってきた。総務部の管理職や担当役員などからこの1年で計30回は男性の扱いをめぐり、意見を求められた。ほぼ毎回、こう答えていた。

「懲戒、整理、普通など解雇の種類はいくつかあるが、解雇にするのは可能な限り避けるべき。男性が不当解雇だとして、労働相談情報センター(旧 労政事務所)や外部組合(ユニオンなど)、弁護士などいわゆる第三者を立てて解雇を撤回せよ、と交渉をしてきたら、会社として苦戦を強いられる可能性がある。

それでもなお、解雇にするならば第三者を争いの場で論破できるだけの材料、例えば始末書や業務命令違反文書などを、少なくとも30~50枚はそろえる。男性の仕事上のトラブルや問題をできるだけ具体的に記録し、社員らの証言も録音するなどして集める。数えきれないほどに集めたほうがいい」

男性の上司であるマネージャーやその上司(担当部長)は、顧問弁護士にも相談のうえ、証拠を1年にわたり、かき集めた。今年2月に男性が無断欠勤を続けた際に、大量の証拠を私たちは見せられたが、憂うつな気分になるばかりだった。

私がもっとも問題視したのは、男性が数人の女性社員を常識では考えられない言葉で、大きな声で揶揄していたことだ。音声ファイルに記録されていた。怒りを感じた他の社員がスマホのアプリを使い、録音したようだ。この女性たちは仕事にはやや不慣れな一面があったが、立派に取り組んでいたという。うちの1人は、男性からそのような言葉をしつこく浴びせられるのを苦にして、昨年暮れに退職した。ノイローゼ状態になり、精神的に滅入ってしまったようだ。

男性の多くの言動は前回の記事で紹介したとおり、会社員として重大な職務違反であり、大きなペナルティーを課せられるべきものだ。それなのに始末書を書くことを拒み、会社から渡された業務命令違反文書も受け取らない以上、解雇は仕方がない判断だったのだと思う。

日本のマスメディアの人事労務に関する報道の多くは、ゆがんでいるとかねがね思う。前回の記事で紹介したような「解雇規制の緩和」を相変わらず報じるメディアがある。規制があるとするのは事実誤認であり、実際、解雇は行われているのだ。解雇と言えば、その社員が「かわいそう」と被害者としてしか伝えない報道もある。雇用をある意味で奪われるのだから、気の毒な一面はある。

しかし、実は加害者の場合もありうるのだ。例えば、前回と今回の2回連続で取り上げた男性はその類だ。感情にまかせ、上司や同僚らを罵倒し、ののしり、自尊心や人権を踏みにじる発言を執ように繰り返す。言われた側の心は、癒されないだろう。

私は、この会社の社員20人ほどに男性の言動を知るために聞き取り調査をしたが、その7割に共通した認識や言葉があった。次のようなものだ。

「(男性は)個人事業主として会社から仕事を請け負い、自由気ままに生きていくのがいい。これ以上、ここに残ると迷惑」

「あの発言は私たちにとって精神的な虐待であり、異常としか言いようがない。言われた側はどうなるのか。責任をとってほしい」

「あんな人を雇い、1年も在籍させていることに疑問と怒りを感じる。早急に辞めさせるべき」

男性の口癖が、「あの社員を辞めさせろ!」だった。マネージャーや担当部長に命令口調で言い放っていた。50代のヒラ社員が、上司に命令をするのだ。信じがたいが、事実なのだ。

周囲への暴言が、「解雇」といった形で返ってきたとも言えよう。まるでブーメランのように。男性が解雇になったことで、職場の雰囲気は変わりはてたという。60人の部員のうち、半数近くが「(いなくなって)よかった」「清々した」とマネージャーや担当部長らに口にするらしい。とても喜んでいたのは、前述の女性だったそうだ。精神をわずらい、無念の思いで退職したのだから当然かもしれない。

経済雑誌やビジネス雑誌、ニュースサイトではなぜか、報じられない解雇の裏側を前回と今回で伝えたかった。読者諸氏は、何を感じるだろう。

文/吉田典史


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