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倒産した中小企業に共通する経営者の特徴【後編】

2022.03.04

■連載/あるあるビジネス処方箋

前回の記事「倒産した中小企業に共通する経営者の特徴」では、私がこの30年ほどで取材した、倒産した中小企業の計60人程の社長の共通項を取り上げた。今回はその続編で、さらに深堀をしたい。

1,責任感に乏しい

中小企業の場合、倒産すると、オーナーである社長が自宅や土地、株式、預貯金を銀行など金融機関や債権者に出して負債を補うケースが大多数。ところが、弁護士と話し合い、知恵を授かり、資産や財産をある程度残しておいて自己破産にする場合が目立つ。特に子どもの学費や養育費の捻出には熱心。世間相場からすると、相当にハイレベルなお金を我が子に投資する傾向がある。事実、学歴や職歴には恵まれた息子や娘が多い。倒産社長は、そのお金を社員や金融機関、役所、取引先に回す意識にまったく乏しい。事実上、踏み倒しが圧倒的に多い。無責任の塊とも言える。

2,強気を助け、弱気をくじく

自分を守るために雇う弁護士にはとにかく弱い。「先生、先生」と盛んに持ちあげるが、社員にはその姿勢がない。むしろ、「使えない連中だった」とののしる。利害関係があり、直接恩恵を被る相手には猫なで声になり、別人になる。社員のようなメリットがない相手を常に否定し、軽くあしらう。社員をほめた倒産社長は、私の取材では1人もいない。なお、自分を守り切れなかった弁護士は憎悪の対象になる。

3,相手に配慮をしない

取材の最中、からんできたり、感情論になりやすい。極度な劣等感を持っているのか、質問すら許さない場合もある。あくまで倒産社長一人が話し続けるパターンになるケースが多い。通常の会話がなかなか成立しない。こちらの自尊心を傷つけている自覚は、ゼロに近い。

4,愚痴や批判、非難が多い

1時間半の取材のうち、1時間15分ほどは愚痴や批判、非難になる。その対象は、銀行や取引先、社員。これらを認めたり、称えたり、評価することが絶対にできない。欲しているのは、自分への称賛のようだ。「倒産にはなったが、あなたは立派な経営者だった」と言ってほしいのかもしれない。相手を否定しておいて自分が認めてもらえると信じ込んでいること自体、通常はありえない感覚だ。

5,話すのは、常に過去のこと

今を語ることをしない。できないのかもしれない。話すのは、常に過去のこと。10年以上も前の自社(倒産した会社)の商品を誇らしげに語る。今の世の中の大多数はその商品を知らない。それでも真剣に、熱く話す。その分析は明らかに時代感覚がずれて、気の毒に思えるほどだ。市場や業界のことを語っても、10~20年前のことが多く、こちらからするとタイムスリップした感覚になる。

6,横柄、攻撃的な言動

取材の場が例えば、倒産社長の自宅そばのファミリーレストランだとする。そこの店員への接し方には非常識なものが目立つ。命令口調や小ばかにした物言いをする。「1度で、(注文を)理解しろ!」といったものだ。店員を殴るポーズをする人もいた。日々のストレスを発散するためにも、からむ相手が欲しくて仕方がないといった感じに見える。その際、常に立場の弱い人を狙う。強い人や怖い人には絶対にひるむ。

7,逃げるのは得意

倒産社長は車を運転するのが、好きなようだ。その理由を聞くと、最も多いのは「電車に乗ると、お金の支払いをしていない取引先や金融機関(この場合は、ファイナンス系)に会いたくないから」と答える。それらに説明やお詫びをする姿勢は感じない。常に逃げの姿勢。取材で会う場所を指定してくるケースが多い。人が多いところをとにかく避ける。なお、車は中古の外車が多い。特に白か、黒のBMW。

8,被害者意識が極端に強い

ある倒産社長が、取材時にタクシー運転手をしていた。そんな自分がふがいないのだという。そして、こう言う。「社員はいいですよ。次の会社へ移れば。私にはそれができない。借金を返さないといけないから。だから、今はタクシードライバー。みじめな日々ですよ」。常に自分は被害者で、犠牲者。そんな意味合いの言葉が多い。ちなみに、タクシー運転手としての稼ぎはその社内では相当に少ない部類に入る。それでも、常に自分は被害者。

9、理解できる範囲を超えている

つまり、常識が通じない。取材時に話す内容が10分ごとに、ころころと変わる。10分前に自分が何を話したのかも理解していない。思いつきで語り、思いつきで変える。もはや、理解できる範囲を超えている人が多い。信じがたいかもしれないが、取材の数日後に電話をすると、「取材なんて受けていない!」と大声を出す人もいた。完ぺきなほどに意味不明なのだ。

10、感謝や共有意識がない

家族以外の人との共存や共栄意識がなく、「支え合う、許し合う」ことができない。常に自分が正しく、常に社員や取引先、金融機関が悪く、常に自分の言い分を主張し、相手を退ける。周囲にはお世辞にも優秀とは言い難い、イエスマンか、イエスウーマンしかいない。絶対に自分への批判や異議申し立てを受けいれない。「支配、被支配」の意識しかない。社長だった頃、社員に「感謝の心を忘れるな」「共有意識を持て」と言っていたのは、きっと自分に言い聞かせていたのだろう。

前回と今回は、私が取材で接した倒産社長の共通項だ。世の中にはたくさんの倒産社長がいるから、これら以外の人ももちろんいるだろう。決めつけは偏見につながるからよくないが、メディアは事実を伝えることも大切だ。倒産社長は社員やその家族、取引先、金融機関、公的機関に多大な迷惑と負担、苦しみ、損害を与えた会社の最高責任者であることは事実であり、その非はいつまでも消し去るものではない。被害を受けた側を考慮すれば、「倒産し、自己破産し、社会復帰すればみそぎはすんだ」といった言い分は受け入れがたい。被害を受けた社員は、賃貸マンションの家賃や子どもの学費を払うことすらできないケースがあるのだから。メディアはなぜ、この事実を伝えないのだろう。

文/吉田典史

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